旧森村家住宅(伊勢崎市連取町)概要: 森村家は豪農として広大な農地を所有していた有力者で、領主である駒井家の代官職を歴任しました。駒井家は旗本として連取領1800石を領しましたが、旗本は江戸詰が常とされた為、領内の有力者森村家が代官職を担い税の取り立てや治安維持などが行われました。現在の主屋は明治9年(1876)に再建されたもので、木造2階建、入母屋、桟瓦葺、平入、2階は1階の外壁より前に張り出し梁桁で支える「せがい造」で約千坪の敷地には土蔵(2棟:土造2階建、切妻、桟瓦葺)、長屋、表門(切妻、桟瓦葺、薬医門)、裏門(長屋門、切妻、桟瓦葺、外壁は白漆喰仕上げ、腰壁は下見板張り)、馬屋などが建てられています。主屋は享和元年(1801)に建てられた伊勢崎藩陣屋が明治維新後に払い下げとなり、それを森村家が買い取り、取り込んだもので、唐破風屋根の式台付の玄関は陣屋御殿玄関、西側の書院は陣屋御殿書院が移築されています。その他は柱や梁などの建材として再利用され慶応4年(1868)に発生した打ち壊しで出来た刀傷や藩主が利用した座敷の床の間などが見られます。旧森村家住宅は数少ない伊勢崎陣屋の遺構、明治時代の上級屋敷の遺構として貴重な事から平成15年(2003)に伊勢崎市指定重要文化財に指定されています。
一番大きいのは享保雛
旧森村家住宅主屋 春には桜がきれいです
時代を感じさせる享保雛
伊勢崎市連取町にある歴史的建造物旧森村家住宅。ひな祭りのこの時期に、旧森村家に代々伝わる内裏雛の展示が行われました。
旧森村家住宅は平成15年10月31日は市指定重要文化財に指定された歴史的建造物です。3月1日から4日までの4日間、旧森村家に代々伝わる内裏雛が展示されました。なかでも貴重な雛人形は享保雛です。
◆享保雛とは
江戸時代の中頃、次第に庶民に経済力がつくようになり、文化的な発展がみられました。18世紀はじめ享保期になると経済的に豊な商家などは、お節句に飾る雛人形をこぞって大型のものや豪華な雛道具としてあつらえるようになりました。こうしたことから江戸時代に作られた大型の雛人形を一般に「享保雛」と言っています。しかし、享保の改革で緊縮財政を進めた江戸幕府は、庶民に対し、享保20(1735年)に人形の高さを8寸(約24cm)までとし、それ以上の大型の雛人形や金蒔絵の道具の製作を禁止する触れを出しました。(資料「旧森村家に残された内裏雛」より)
◆旧森村家の享保雛
旧森村家の享保雛の制作年代は判りませんが、大型であることから享保雛と考えられます。連取村は幕府の旗本である駒井氏の知行地でした。森村家はその地方(じかた)の代官を務めた裕福な農家でした。
明治維新後、駒井氏は領地と職を失い、もともと持っていたこの享保雛と脇差を森村家に売り立て、森村家では値段の折り合いのついた享保雛だけを手元に置き、脇差は送り返したという記録が残っていたそうです。(資料「旧森村家に残された内裏雛」より)
間近に見ると違いました
明治時代のお雛様
立ち雛 大正時代のもの
女性の方は特に感慨深そうでした
旗本 駒井甲斐守朝温(こまいかいのかみともはる)
享保雛の特徴は大きいことですが、そのほかにも面長の顔に切れ長の目が特徴。記者は以前、赤堀歴史民俗資料館で旧森村家の享保雛をガラス越しに見ました。
今回は旧森村家の雰囲気ある建物内で拝見したことで、記者は、代々大切に保管されてきた重みと人形でありながらも『時代を生き抜いてきた』というちょっと頑固そうな表情も感じました。
そのほかにも旧森村家に伝わる明治、大正時代のお雛様が展示され、訪れたお客さんも人形の持ち物や衣装、顔立ちの違いを見比べ楽しんでいました。
今回のお雛様の展示は4日間だけですが、旧森村家住宅は毎月第1,3日曜日、一般に公開されています。興味のある方はぜひご覧下さい。
伊勢崎市指定重要文化財「旧森村家住宅」(連取町)での「春の展示」が4日から6日まで開かれている。表門前に立てられた案内板によると、旧森村家住宅は享和元年(1801)に建築された伊勢崎藩陣屋遺構を取り込み、明治9年(1876)に再建された。森村家は旗本駒井氏の地方代官を務めた家柄で、約1000坪の敷地には、主屋、土蔵、長屋、馬屋などを配している。中心をなす主屋は、二階建て瓦葺きの入母屋造り。住宅の大きさは桁行12間、梁行5間(22・65㍍×19・43㍍)で、2階は、養蚕をするため1階よりやや広くとるなど職住一体の豪壮な旧家ぶりを今日に伝えている。特に、1階正面には、陣屋の式台(玄関先に設けた板敷き。客を送迎して礼をする所)を配置したり、西側に陣屋の書院を移築するなど陣屋づくりの建物がしのばれる。また、江戸時代の米騒動に代表されるように、人民が当時の為政者に抵抗して、商人や高利貸、小藩などに押しかけた広域型の一揆、いわゆる「打ちこわし」の形跡をあらわす刀傷が主屋の大黒柱や鴨居に残っていることも旧森村家住宅の歴史を感じさせる。敷地内には、樹齢300年以上も越える大カヤなどが茂る貴重な歴史的空間の旧森村家を広く知ってもらおうと一般に開放したのが「旧森村家住宅春の展示」。今回の展示は、経済的に豊かな商家のシンボルといえる高さが24㌢もある大きな享保雛や地方代官を務めた旧森村家に残る享保雛。いせさき絣の会の着物や生地などの作品群。地元連取町集会所写真愛好会の「旧森村家住宅の桜」「連取の松」「森村家の春」など約40点が展示された写真展を開催している。中でも、旧森村家に残る享保雛は、当時の連取村を知行地にしていた旗本の駒井氏は、明治維新後、領地と職を失い、持っていた享保雛と脇差を、地方の代官を務めた裕福な農家だった森村家に売り払ったという、旗本と農民の立場が逆転した典型的な例で、明治時代に入ると、こうした生活に困窮した元旗本たちは大勢いたという。享保雛は、経済繁栄を謳歌するあまり、年々華美になり、享保の改革で緊縮財政を進めた幕府は、大型の雛人形や金蒔絵の道具などの製作を禁止する触れを出すなど、一般庶民や生活に困った当時の旗本たちの苦悩が伺え知れる意義ある展示となっている。歴史的な古い建物を偲び、今の生活を振り返る温故知新が体感できる。











◆お知らせ: 旧森村家住宅、一般公開
毎月第1、第3日曜日 午前9時〜午後4時
(※日曜日はアイオー信用金庫宮郷支店の駐車場を利用できます。)
ほかにも「きり絵展」など季節ごとに特別展もあります。
くわしくは広報をご覧下さい。
お問合わせ先 伊勢崎市教育委員会文化財保護課
TEL 0270−24−096
