平和、災害、障害者らに心寄せ
国立沖縄戦没者墓苑で供花される天皇、皇后両陛下=2018年3月27日、沖縄県糸満市【時事通信社】
バブル経済やリーマン・ショック、2度にわたる大震災、宗教団体による連続テロ事件―。昭和天皇の逝去を受け、1989年1月8日から始まった「平成」も残りわずかとなった。2019年4月30日には天皇陛下が退位され、翌5月1日に皇太子さまが即位、新元号が適用される。30年4カ月で幕を閉じることになる平成という時代に天皇、皇后両陛下が果たした役割とは。
平和への思い
2018年3月、沖縄県を訪れた両陛下が真っ先に足を運んだのは、これまでと同様、糸満市にある国立沖縄戦没者墓苑だった。先の大戦で大規模な地上戦が行われ、住民も含め約20万人が犠牲になったとされる沖縄は、皇太子夫妻時代も含め計11回訪問。戦後から50、60、70年と節目の年を中心に、広島、長崎、サイパン、パラオ、フィリピンなど、被爆地や激しい戦闘が行われた戦地への「慰霊の旅」も重ねてきた。
「先の戦争のことを十分に知り、考えを深めていくことが日本の将来にとって極めて大切なことと思います」
戦後70年の2015年の誕生日会見で天皇陛下が述べたのは、平和への揺るがない思いだった。
1995年1月に起きた阪神大震災。両陛下は震災からわずか2週間後、自衛隊機とヘリなどで兵庫県西宮市や神戸市長田区、震源地の淡路島を訪問。帰京後、「計り知れぬ困難の中にあって、被災者各人が復興に向けての希望を失うことのないよう、そして一日も早く被災地の生活が立ち直り、人々の上に安寧がもたらされることを切に祈っています」とする感想を発表した。
2011年3月の東日本大震災では、発生から5日後に異例のビデオメッセージを公表し、「一人でも多くの人の無事が確認されることを願っています」と述べた。3月末からは、岩手、宮城、福島各県や東京都内、埼玉県の避難所などを7週連続で訪問し、被災者を気遣った。
このほか、1993年の北海道南西沖地震、2004年の新潟県中越地震、16年の熊本地震、広島や茨城、福岡・大分の豪雨災害でも被災地を訪問した。
障害のある子どもやハンセン病患者だけでなく、障害者スポーツにも早くから理解を示し、皇太子時代の1964年に開かれた東京パラリンピックでは名誉総裁を務め、97年の長野冬季パラリンピックにも臨席した。
2018年2月、韓国・平昌パラリンピックが開催されている時も、「開会式だけでなく、(可能な限り)全ての競技を見ていらっしゃる」。宮内庁のある幹部は、両陛下がお住まいでも障害者スポーツに関心を持って過ごしている様子を明らかにした。
同年3月には、テニスやバスケット、駅伝といった四つの車いす競技大会に、新たに天皇、皇后杯が授与されることが決まった。先の幹部は「本当はもっと多くの競技に授与されたいという気持ちを持っていらっしゃったが、4大会に限定された」と内幕を語った。
両陛下の即位後の歩み(平成元~10年)
地震による火災で焼け落ちた神戸市長田区の菅原市場跡を視察される天皇、皇后両陛下=1995年1月【時事通信社】
【1989(昭和64・平成元)年】
1月7日 昭和天皇逝去(87歳)に伴い第125代天皇として即位
1月8日 元号「平成」施行
2月24日 昭和天皇の「大喪の礼」
【90(平成2)年】
6月29日 秋篠宮さまが紀子さまと結婚
11月12日 即位の礼
11月22日 大嘗祭(~23日)
【91(平成3)年】
2月23日 皇太子さまが立太子の礼
7月10日 雲仙・普賢岳噴火(長崎県)の被災地訪問
9月26日 タイ・マレーシア・インドネシアへ。即位後初の外国訪問(~10月6日)
10月23日 秋篠宮家に長女眞子さま誕生。初孫に
【92(平成4)年】
10月23日 歴代天皇初の中国訪問(~28日)
【93(平成5)年】
4月23日 歴代天皇初の沖縄訪問(~26日)
6月9日 皇太子さまが雅子さまと結婚
7月27日 北海道南西沖地震の被災地、奥尻島訪問
10月20日 皇后さまが誕生日に倒れ、言葉が話せない状態に
12月8日 赤坂御所から皇居・御所へ転居
【94(平成6)年】
2月12日 太平洋戦争の激戦地、硫黄島など小笠原諸島訪問(~14日)
6月10日 米国訪問(~26日)
12月29日 秋篠宮家の次女佳子さま誕生
【95(平成7)年】
1月31日 阪神大震災の被災地を訪問
7月26日 戦後50年で長崎、広島、沖縄、東京を巡る「慰霊の旅」(~8月3日)
【98(平成10)年】
2月7日 長野冬季五輪で天皇陛下が開会宣言
5月23日 英国など訪問(~6月5日)
両陛下の即位後の歩み(平成11~20年)
宿舎前の海岸で、サイパンでの激戦について元日本兵の説明を聞かれる天皇、皇后両陛下=2005年6月、米自治領サイパン島【時事通信社】
【99(平成11)年】
11月12日 即位10年記念式典
【2000(平成12)年】
5月20日 オランダなど訪問(~6月1日)
6月16日 香淳皇后逝去(97歳)
【01(平成13)年】
7月26日 地震被災地、伊豆諸島の新島と神津島訪問。噴火活動が続く三宅島も上空から視察
12月1日 皇太子ご夫妻の長女愛子さま誕生
【02(平成14)年】
9月28日 皇后さま、国際児童図書評議会の大会出席でスイスを単独訪問(~10月3日)
【03(平成15)年】
1月18日 天皇陛下が前立腺がん手術
12月4日 雅子さまが帯状疱疹(ほうしん)で入院。退院後、長期療養入り
【04(平成16)年】
5月10日 皇太子さまが会見で「雅子のキャリアや人格を否定する動きがあった」と発言
7月30日 宮内庁、雅子さまの病名を「適応障害」と発表
11月6日 新潟県中越地震の被災地訪問
【05(平成17)年】
6月27日 戦後60年でサイパンへ「慰霊の旅」(~28日)
11月15日 長女の清子さん、黒田慶樹さんと結婚
11月24日 皇室典範に関する有識者会議が女性・女系天皇容認の報告書
【06(平成18)年】
9月6日 秋篠宮ご夫妻に長男悠仁さま誕生。皇室に41年ぶり男子
【07(平成19)年】
8月8日 中越沖地震の被災地新潟県を訪問
【08(平成20)年】
12月11日 ストレスとみられる天皇陛下の胃と十二指腸の炎症について、宮内庁長官が「皇統などの問題を憂慮されている」との見方
両陛下の即位後の歩み(平成21~29年)
東日本大震災を受け、国民に向けたメッセージを述べられる天皇陛下=2011年3月16日、皇居・御所[宮内庁提供]【時事通信社】
【09(平成21)年】
1月29日 宮内庁が負担軽減方針発表。式典でのお言葉は原則なしに
4月10日 結婚50年
7月3日 カナダ・米ハワイ訪問(~17日)
11月12日 即位20年記念式典
【10(平成22)年】
7月22日 皇居・御所での宮内庁参与会議で、初めて退位に言及
【11(平成23)年】
3月16日 東日本大震災を受け、天皇陛下が国民に向けてビデオメッセージ
3月30日 東京都足立区の避難所へ。以降、東北3県を含め7週連続で被災者お見舞い(~5月11日)
11月6日 気管支肺炎で入院(~24日)
【12(平成24)年】
2月18日 心臓の冠動脈バイパス手術(3月4日退院)
5月16日 エリザベス女王の即位60年記念行事出席のため英国訪問(~20日)
7月19日 前年に震度6強の地震があった長野県栄村を訪問
【13(平成25)年】
11月14日 両陛下の意向を受け、土葬から火葬への変更など「陵と葬儀の在り方」を宮内庁が発表
【14(平成26)年】
11月23日 新嘗祭。この年から天皇陛下の深夜の拝礼取りやめ
【15(平成27)年】
4月8日 戦後70年、慰霊の旅でパラオを訪問(~9日)
8月15日 全国戦没者追悼式のお言葉で、「深い反省」と初めて言及
10月1日 関東・東北豪雨で被災した茨城県常総市を訪問
【16(平成28)年】
1月26日 フィリピン訪問(~30日)。戦没者を慰霊
5月19日 熊本地震の被災地訪問
8月8日 退位の意向をにじませたビデオメッセージを表明
【17(平成29)年】
2月28日 ベトナム・タイ訪問(~3月6日)
6月9日 天皇陛下の退位を認める特例法が成立
10月27日 九州北部豪雨の被災地福岡、大分両県を訪問
11月16日 鹿児島県の屋久島、沖永良部島、与論島を訪問(~18日)
12月1日 皇室会議で19年4月30日退位固まる(8日に閣議決定)
【18(平成30)年】
3月27日 11回目の沖縄訪問。日本最西端の与那国島も訪れる(~29日)
6月9日 福島県を訪れ、最後の植樹祭に出席。東京電力福島第1原発事故による避難住民らと懇談(~11日)
8月3日 北海道を訪問。利尻島などを訪れ、札幌市で北海道150年記念式典にも出席(~5日)
9月14日 西日本豪雨で大きな被害を受けた岡山県倉敷市を訪問
9月21日 西日本豪雨の被災地、愛媛県西予市と広島県呉市を訪問
9月29日 国体総合開会式出席のため福井県を訪問
10月28日 高知県を訪れ、最後の全国豊かな海づくり大会に出席



![東日本大震災を受け、国民に向けたメッセージを述べられる天皇陛下=2011年3月16日、皇居・御所[宮内庁提供]【時事通信社】](https://www.jiji.com/news/handmade/special/feature/v4/photos/201804heisei/1804heisei-jpp026880144_310.jpg)

