消化管について

消化管は、口から入り、咽頭、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、肛門へ続き、さまざまな付属器官を伴っています。この管となった臓器の構造は、パイプ状ですが、必要に応じて太くなったり細くなったり、ところどころにくびれもあります。また、それぞれの部分で消化吸収の役割分担が決まっています。

この管を構成する壁の構造が、内側から粘膜(ねんまく)上皮、粘膜固有層、粘膜筋板、粘膜下層、固有筋層、漿膜(しょうまく)下層、漿膜という複数でできています。

図1 消化管の構造とGISTの発生する場所(胃の場合)

図1 消化管の構造とGISTの発生する場所(胃の場合)の図

 

GISTは、粘膜の下に腫瘤(しゅりゅう:こぶ、かたまり)状の病変を形成する粘膜下腫瘍の1つです。消化管壁の筋肉の間にある神経叢(しんけいそう)に局在する「カハールの介在細胞(Interstitial Cells of Cajal)」に分化する細胞から発生します。「カハールの介在細胞」自体は、広く消化管に分布し、消化管運動のリズムをつくったり、調節したりする大切な細胞です。

 

 

症状

病変が大きくなっても自覚症状が少ない腫瘍ですが、腹痛や腫瘍からの出血による下血、貧血などの症状があらわれることがあります。切除することが可能な場合は、手術を行います。完全切除できたと思われる場合でも、手術を行った後に肝臓や腹膜への転移を起こすことがあります。

4.疫学・統計

病院で治療されるGISTの発生頻度は、10万人に1~2人と少なく、希少がんの1つに位置付けられます。
日本では、発生部位として胃の割合が70%と高く、次いで小腸20%、大腸および食道が5%となっています。

5.発生要因

GISTが発生する要因として、細胞の増殖に関わるたんぱく質の異常があります。主にKITまたはPDGFRΑと呼ばれるたんぱく質が関わっており、これらのたんぱく質の異常はそれぞれc-KIT遺伝子、PDGFRΑ遺伝子の突然変異によって発生します。

6.予防と検診

1)予防

日本人を対象とした研究結果では、がん予防には禁煙、節度のある飲酒、バランスのよい食事、身体活動、適正な体形、感染予防が効果的といわれています。

 

検診

がん検診の目的は、がんを早期発見し、適切な治療を行うことで、がんによる死亡を減少させることです。わが国では、厚生労働省の「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(平成28年一部改正)」で検診方法が定められています。

しかし、GISTについては、現在、指針として定められている検診はありません。気になる症状がある場合には、医療機関を早期に受診することをお勧めします。人間ドックなど任意で検診を受ける場合には、検診のメリットとデメリットを理解した上で受けましょう。

なお、検診は、症状がない健康な人を対象に行われるものです。がんの診断や治療が終わったあとの検査は、ここで言う検診とは違います。