ストレスが原因で起こる体の症状

我々の心がストレス(悲しみ・苦しみ・憎しみ・不安・緊張・などのマイナスの感情)を感じると自律神経のバランスが乱れます。自律神経には交感神経と副交感神経の2系列があり、このうち交感神経の方が優位に働くのです。交感神経が優位になると体の様々な器官に変化が起こります、例えば心臓は動悸が起こり、肺は気道開放という状態になって息苦しさや胸のつかえが起こります、胃や腸は働きを止め、吐き気や胃痛・腹痛・下痢・便秘・ガスが溜まる・などが起こるのです。

このこと自体はごく普通に起こることです、誰でも怖い体験をすれば動悸が起こるでしょうし、仕事で悩んでいる時に胃が痛くなることは経験した方も多いでしょう。しかしこの状態は、恐怖や仕事の不安というストレス要因が解決されてしまえば自然と治まるものです。

ところが、このストレスが慢性化してしまうと問題です。本来ストレスを感じる必要のない場面でも交感神経が優位になり、何でもない場面で動悸がしたり吐き気や息苦しさが起こったりします、これが「自律神経失調症」の状態です。

又「パニック障害」は、たまたまストレスや体調・環境など様々な要因が絡み合って、爆発的に自律神経のバランスが崩れ発作が起こり、その恐怖感や不安感を脳が学習してしまうことで起こります。

ストレスが原因で起こる心の症状

ストレスの慢性化は、まず体に症状が出るのが一般的です。その慢性化がさらに進むと今度は心に症状が表れます、この状態が「神経症」と呼ばれるものです。神経症には抑うつ神経症(うつ病)・不安神経症・強迫神経症・など、いくつかの種類がありますが、この原因はストレスの慢性化による脳細胞の機能低下と考える説が有力で、このため脳内伝達物質(セロトニン・ノルアドレナリンなど)の分泌異常が起こり、目の前に問題があるわけでもないのに、無気力感・不安感・落ち込み・恐怖感などの現状に適さない感情が自動的に起こります、これが長期間継続している状態が「神経症」の症状です。

性格改善

人はそれぞれ固有の性格を持っています、それは十人十色というくらいで一人一人違うのです。性格には良い悪いという区別はありません、どんな人にも良いところがあるし、どんな人でも至らない部分はあります、性格が良い悪いを考える必要はありませんが、ストレスを感じやすい性格と感じにくい性格は存在します。

自分の周りを見渡せば「この人はなぜ何に対してもこんなに気楽に考えることが出来るのだろう」と思う人もいれば「なぜこの人はこんな小さなことをいつまでも気にしているのだろう」と感じる人もいます。

ストレスを感じやすい性格が悪いわけではありませんが、日常生活の中で感じるストレスがあまりに多すぎると、それが慢性化して「心の病気」の発症につながる危険があります。

 

うつ病などのこころの病で病院にかかっているが、家族としての対応は?

病気の理解と基本的な対応

 

「治療にはご家族の協力が重要」などといわれますと、大きな責務を感じて、ついつい力が入りがちですが、あまり特別なことを考える必要はありません。一つ一つ言動に気をつけるあまり、ご本人が「まわりに心配ばかりかけてしまっている」と感じさせしまうこともあります。まずは力を抜き、病気の理解からはじめてみましょう。分かりにくい言葉は「用語解説」のページをご覧ください。

原因探しをしない

「なぜ、この人は病気になってしまったのだろう」「自分たちに何か問題があったのか」など、原因が何なのか家族として大変気になるかと思います。実際は様々なことが関与して特定できないことがよくあります。「今できること」を中心に考えるようにしてみましょう。家族の生活の中で、本人がストレスを感じることがあれば、今は取り除いておくということも大切です。

励まさない

このキーワードはご存知の方も多いかもしれません。すでに頑張りすぎて、こころの病になってしまった場合には、励まされることで「もうこれ以上頑張れない」とか「こんなにまわりの人が自分のために気をつかってくれるのに、何もできない自分は情けない」と症状を悪化させてしまうためです。ただ、励ますことが効果的な時期もありますので、その対応の時期については主治医の先生によく相談してください。

無理に特別なことはしないでおく

ご本人の元気がないと、「気分転換をさせよう、旅行でも連れ出そう、パーッと飲み明かそう」など家族で考えることもあるかもしれません。しかし、こころのエネルギーが消耗している状態ですと、普段楽しめることは楽しめず、むしろ疲労感を増し、悪化してしまうこともあります。また、こうした気遣いに応えられない自分に嫌悪感を募らせ、自殺のリスクも高まる場合もあります。ご本人が、楽しみたくなる気持ちが湧いてくるのを待ちましょう。

大きな決断は先延ばしに

「職場でみんなに迷惑をかけている」など自責的な思いから、退職や離婚などについて口にする場合があります。こころの病では、心理的な視野狭窄ということが起きていて、悲観的な発想しか頭に浮かばなく、その道しか残されてないようにとらえてしまうことがあります。自責な気持ちを汲みつつも、「今はまず健康に留意することを最優先しましょう。その問題は、もう少し良くなったら一緒に考えましょう」と説明してみましょう。

受診に付き添いはお勧めです

毎回の受診に付き添う必要はありませんが、一緒に主治医のお話を聞くことで、ご本人のどんな点に気をつけてサポートするといいのか分かることがあります。また主治医に面会しておくことで、ご本人が調子を崩してどうしても通院できないときに、代理で受診して相談することもできます。主治医にとっても家庭での様子をご家族からの客観的な情報が治療の役に立つこともあります。注意していただきたいのは、あくまで「付き添い」ということです。ご本人と主治医の貴重な接点の場ですので、ご家族がしゃべりすぎないようにしましょう。

自殺のサインは?

基本は、いつもと違う言動に気がつくこと

 

自殺から救うために、ご家族など身近にいる人が、自殺のサインに気がついてあげることが大変重要です。自殺を考えている人は、意識的・無意識的にサインを発しています。サインを発している人が必ずしも自殺のリスクが高いわけではありませんが、下記の自殺予防の十箇条を参考にしてください。特に、「自分は不甲斐ない、駄目な奴だ、責任を果たせずつらい、みんなに迷惑をかけている」などの自責感が強いときはリスクが高まっていると考えてよろしいと思います。主治医がいる場合には、ご家族が連絡して対応について相談をしてもよろしいでしょう。

自殺予防の十箇条

次のようなサインを数多く認める場合は、自殺の危険が迫っています。早い段階で専門家に受診させてください

  1. うつ病の症状に気をつける
  2. 原因不明の身体の不調が長引く
  3. 酒量が増す
  4. 安全や健康が保てない
  5. 仕事の負担が急に増える、大きな失敗をする、職を失う
  6. 職場や家庭でサポートが得られない
  7. 本人にとって価値あるものを失う
  8. 重症の身体の病気にかかる
  9. 自殺を口にする
  10. 自殺未遂に及ぶ
出典:職場における自殺の予防と対応(中央労働災害防止協会 健康確保推進部 メンタルヘルス推進センター 2008.09)

※参考 本サイトの用語解説では、「うつ病とは、精神活動が低下し、抑うつ気分、興味や関心の欠如、不安・焦燥、精神運動の制止あるいは激越、食欲低下、不眠などが生じ、生活上の著しい苦痛や機能障害を引き起こす精神疾患です。」と説明しています。また、うつ病は、数週間~数か月かかることがありますが、治療と休息によりなおるものです。

過労死を予防するには?

 

● 長時間労働など過重な業務による脳・心臓疾患(脳出血などの脳血管疾患及び心筋梗塞などの虚血性心疾患等)を予防するため、ご家庭では、健康状態に見合った食生活、継続的な運動、禁煙などの生活習慣の改善に心掛けましょう。

● 健康状態としては、肥満、高血圧、脂質異常症(高脂血症)、高血糖症などに特に注意が必要で、これらは、脳・心臓疾患の発病の危険を増大させます。

● 働く人が職場の産業医や保健師、あるいはかかりつけ医(主治医)などから健康の維持・改善のための保健指導などを受けているときは、ご家庭でもその情報を共有し、指導された事項の実践に協力することが必要です。