K型経緯台の締め込み | 昭和な望遠鏡で昭和な星見

昭和な望遠鏡で昭和な星見

昭和な機材で昭和な星見&ときどきギター

更新は不定期です

梅雨時は機材のメンテに勤しむ、と言う星見屋には当たり前のことが昨年までは出来なかったが今年からはやりたいだけできる。爆  笑
で、今回はガタついたK型経緯台の締め込み。
先月いっぱいで(めでたく)放免となった単身赴任のアパートは、星を見るには全く不向きな間取りで見えるのは東の空のみ、かつ高度20°~80°くらいの範囲だけだった。
それでも望遠鏡を持ち込んでひそやかに星見を楽しんではいて、その望遠鏡の架台に使っていたのがこのミザールのK型経緯台。

搭載していた鏡筒は主にTS(改)60と勝手に呼んでいるTS50の対物レンズを60mm-800mmのアクロマートに換装したもの。
小口径とは言え昔の高橋製作所製、近年の軽量8cm短焦点鏡筒より重く振れ回りモーメントも大きいのでK型経緯台で支障なく使える限界に近かったかもしれない。
K型経緯台は2015年に一度分解して強めの締め込みをしているが、その後は放置プレイだったのでちょっと前から水平軸がかなりガタガタになっていた。
で、我が家に戻ったのを機に再締め込みを行ったのでその様子をネタにしてみた。

 

K型経緯台はいわゆる軸のシャフトと言うものはなく、鋳物を追加工した円筒部を填め合わせ、軸方向から圧力をかけて押さえ込む構造になっている。
摺動面の寸法精度は高くないし面仕上げも特別滑らかなわけではないので大量のグリスで動きを確保している、と見ている。

水平軸を調整するときはまず底面の3本のM5六角穴付きボルトを抜いて底板を外す。
 

構造は上方から通っているM6の六角ボルトを、金色のすべり板とナイロンワッシャを介してナットで締めこんでガタつかないようにしている。
このナットを締めこんでやれば水平軸のガタは基本なくなる。


もちろんナットだけ回してもボルト側も回って締まらないので反対側のボルトの頭をレンチで押さえて締めないといけない。

 

今回はガタつきだけでなく微動の遊びも減らしたいのでウォームのアタリ調整も行う。

 

ナットを外すと台座部とウォームホィールがはずれ、ウォームハウジング固定ネジを外すとウォームハウジングはずれる。

 

アタリ調整に軸全体をばらす必要はないのだがちょっとお見せしたい箇所があるので良い機会だからばらすことにした。


 

↓画像のウォームハウジング固定ネジは六角穴付きボルトになっているが、元々はプラスネジでスプリングワッシャも無かった。


ウォームハウジング固定ネジは構造上ウォームのアタリ具合を調整できる唯一の部位。
しかしネジ頭の上に空間が狭いので元々のプラスネジでは短寸ドライバーでさえ斜めに挿しこんでネジ頭をナメてしまわないよう気を使って回さなければならない。
ユーザーが触るところではないからわざと作業性を悪くしている!とか言い訳するかもしれんがたぶん違う理由だろうな。
 

ウォーム部分についてはもう一つ、バラさなければ分からないチョンボと言い切れる部分がある。
ウォームハウジング側のタップが段付き部分に被って切ってあり、内側(薄肉側)ネジは有効2山しかない

こりゃーダメでしょ!!
まぁ勝手にバラした段階で「メーカーは保証しないもんね」なんだろうけど、こりゃ明らかな設計のチョンボで容易に斜めにボルトを締めこんでしまえる=ねじ山潰れる危険なエラー
この状況に加えて作業が困難なプラスネジを組み合わせてるんだから、メーカー畑を歩いてきた人間からすれば看過できない設計不良。
まぁミザールらしいと言えばミザールらしいけどね。

とブツブツ言いながら再組み立てし最後はウォームとホイールのアタリをとって総合的にガタを最小限にする。
もちろんそんなアタリ調整機構などないので、ウォームハウジング固定ネジを少し緩めで組み立てておいてウォームハウジングの横から木槌で強めにトントンと叩き、緩すぎず硬すぎず(でも気持ち硬め)の位置でウォームハウジング固定ネジを締め込む。

そんなわけでウォームハウジング固定ネジにはスプリングワッシャを効かせておかないとすぐゆるゆるになってしまう(実際なった)。

以上で水平軸の締め込み終了。


高度軸は基本偏加重状態で使うのでウォームとホイールのアタリ調整だけでOK。
ウォームハウジングのネジも普通に回せるのでここはプラスネジのままで作業。
作業要領は水平軸と一緒で、ウォームハウジング固定ネジを少し緩めて、ウォームハウジングの下から木槌で叩き、具合の良いところで締め込めばOK。

 

と言うことで全体に強めの締め込みで新品以上に剛性は出ている(と思う)が、このK型経緯台の具体的な使用目的は未定。

なにせ架台だけでもK型以外に5台あるからなー。


うーん、とりあえず今度ポルタとの剛性勝負でもやってみようかな(←使用目的の意味が違う😅)。