今日も春のような日差しだ。
日のあたる駅のホームで目を閉じる。
遠くから工事のハンマーの音が聞こえる。
あたたかくなってくると、大気の中の音の伝わり方が変わってくるのだろうか、やわらかな丸みをおびた音に感じる。
幼い頃、日のあたる部屋で読書しながら耳にしていた、田んぼのむこうの工場の音と同じだ。
遠くの車の音は、春の大気に含まれる細かな粒子に影響され、やわらかなさざめきのようになっている。
スローモーションのようにも感じるゆるやかさ。
これから仕事に行くということも忘れそうな、まどろみの時間。
ものぐさな俳句詩人(廃人とも言う)は、ここにたたずむ幸せを感じる。
毎年思うことだけど、冬から春にかけての時期は感動的だ。
まだ芽吹いていないけど、道端の桜の木々などはもうはちきれんばかりにプリプリした木肌を朝の陽射しに光らせている。
むずむずしている木の気配が伝わってくる。
たっぷりと地中から養分を吸い取り、やがて青い空にエネルギーを放出するかのように、芽や花を出すのだろう。
今日もいい日になりますように。
今朝の一句
陽の当たる坂道手と手引き寄せる (新宿区某所にて)