制作秘話
〜「不思議な宿屋」の舞台裏〜
閲覧していただいてありがとうございます
著者前田亮が綴る不思議な宿屋を舞台にした壮大な物語
この記事ではそんな「不思議な宿屋」という物語一話毎に焦点を当て
”どのようにして出来上がっていったのか”
その舞台裏を著者本人が当時の記憶を思い出しながら書いております
ここまで来ていただいたあなたに贈る「不思議な宿屋」と著者の舞台裏をどうぞ!
HPから来ていただいた方も、前田亮のブログから来ていただいた方も
どうぞごゆっくりとこちらのコンテンツをお楽しみください♪
目次
- 「第一話 不思議な宿屋」はこうして紡がれた
- 登場キャラクターと作品たち
- 込めた想い
- 感想
- 収録裏話
1.「第一話 不思議な宿屋」はこうして紡がれた
YouTubeサムネイル没画像
2019年7月23日
手元に残っている資料によると、今から5年前の夏に第一話を書き上げている。
この日のことは今も鮮明に覚えてます。
次から次へと浮かんでくる映像を文字に変換する作業がとても楽しくて、できる限り解像度を上げて読者が自分と同じ景色を思い描けるようにと言葉を選んでました。
だけど実際にかかった時間は1時間弱くらいで、書き上がった一話目を何度も読み返してはこの先の展開がまた怒涛のように頭になだれ込んできて、早く読んでもらいたいとすぐさま友人に連絡を入れましたね。
そして何を隠そうこの時連絡を入れた友人こそが、この「不思議な宿屋」という物語を書くそもそものきっかけを作ってくれた人なんです。
こちらのHPでも↓
(ブログから来ていただいた方はどうぞ一度足を運んでください)
ギャラリーの作品の説明文でも↓
(『女将』の作品の説明文をご覧ください)
それぞれで触れている作品の生みの親であるこの友人と、初めの頃はファミレスでそれはそれは沢山の話をしました。
その当時はオンラインサロンという概念が世の中に浸透し始めていた時期で、この物語を軸にみんなで一つの物語を作るためのオンラインサロンを立ち上げようみたいな話もしてました。
誰を幸せにできるか、誰に訴求があるのか、誰が面白いと思ってくれるのか。
それはこれから自然と分かっていくことかなと思いますが、学生時代の発表会のための話し合いみたいな青春を感じられて楽しかったのは確かです。
音楽の世界では「YOASOBI」というグループが小説投稿サイトとコラボして、公募で募集した物語を元に音楽を作ったりしていますが、僕らがやろうとしているのはそれの小説版です。
広く作品を募集して、その作品を物語に反映させた小説を書いていく。
当時はまだ「YOASOBI」というグループのことも、そういった誰でも物語を投稿できるサイトの存在も知らなかった僕は、「これは物凄い革新的なことをやろうとしているんじゃないだろうか!」と興奮してました笑
この物語の核となるのは当然深い森の奥に塔のようにたたずむ一軒の宿屋ですよね。
この”宿屋”という舞台設定は、先に宿の女将(八雲)が出来上がり、”その女将がいる場所”ということで決めました。
元々日本独自の文化だったり寺社仏閣、伝統やら歴史やら構造物から、日本語、漢字に至るまで、日本という国そのものに興味関心があり、【和】という雰囲気を全面に押し出した物語を書いてみたいと思っていた気持ちも相まって、今でも書いていて全く飽きるということがないのはそれが理由だなと思います。
また第一話を書くにあたって、今後も登場人物や舞台設定などを自分からではなく、誰かの作品から受けたインスピレーションを元に創っていこうと構想を練っていたので、柔軟に設定やキャラクターを動かせるように頭に『不思議な』という文字を付け足しました。
こうすれば例えばこの先の物語の中に甲冑に身を包んだ中世の騎士を登場させることもできますし、理解できる言語を話す動物だって、自分の意思で自由に動き回ることができる無機物だって登場させられます。
カウボーイが出てきても大丈夫。魔法のような効力がある道具が出てきても問題なし。
やろうと思えばどうにだって物語を展開させられる自由度というのもまた、この「不思議な宿屋」という物語の特徴だと思います。
・自分の作品が物語に登場する。
・自分の込めた思いが作中の誰かの人生を変えることになる。
・作品に生命が宿る。
「不思議な宿屋」という物語の作り方だからこそお届けできるこういった経験は、きっと経験した人にしか分からない何かをもたらしてくれると僕は思ってます。
今後も作品募集をしていきますので、よかったらあなたの作品を提供してみませんか?
2.登場キャラクターと作品たち
女将の元になった作品
「第一話 不思議な宿屋」の作中に登場するのは
・謎の男
・女将
・黒い影の渡し守り
・白装束の女
ですね。
この「不思議な宿屋」という物語の書き方が、”他者の作品を物語に反映させる”というのは既に多方面で解説済みですが、その特徴から第一話の執筆の時点で「この物語はいくらでも書き続けることができる」と超長期的な展望を抱いた上で書き始めました。
今でもそう思い続けてますが、この物語の執筆は僕の人生のライフワークの一つになります。(書きたいものが明確にあるというのはラッキーだなと毎度思います)
そうした視点で書き始めたこの第一話には、この先書き続けていれば必ず回収できるだろうと随所に伏線のようなものが散りばめました。
そのいくつかは上に記した登場人物の書き方にも表れています。
この中で言及できるのは今のところ”女将”と”黒い影の渡し守り”の二人だけです。
まずは全ての始まりである『女将/八雲』というキャラクター。
作中でも宿泊者や従業員の間で「女将さん」だったり「八雲さん」だったり二つの呼び方で呼ばれている女将ですが、そもそもこのキャラクターを”宿の女将”という設定にしたのは、元になった作品に込められた『脳で繋がっている』という想いを自分なりに解釈した結果です。
まだ構想段階では「不思議な宿屋」ではなく、『クレイのフーとペー』という話になる予定でした。
『クレイのフーとペー』の元になった作品。あなたはこの作品から何を想像します?
こちらも同じ友人の別の作品を題材にした物語でした。
今後この作品から生まれた”フーとペー”というキャラクターを本編に登場させるつもりですが、その内容は小説というよりも児童文学のようなもので、話を膨らませたり展開させるのが難しいなと思ったんですね。
そこでその話の中から【不思議な空間/不思議な生物】というアイデアを抜粋して、そこに前述の【和】という要素を足して、さらにそこに【脳で繋がっている】という作品を当てはめた結果、
「脳で繋がっているということは二人以上必要で、不思議な空間にいる脳で五感と思考を共有している不思議な生き物がいる話。そこまで繋がっているということは相当親密度が高いはずだから恋人か夫婦か血縁者……それを許容できているという器の大きさからして若者ではないだろうな。ということはある程度年配の夫婦?和の要素を加えていくと………あっ、女将!」
こうして不思議な宿屋にいる不思議な女将というキャラクターが生まれたわけです。
宿屋の細かな設定にもフーとペーの作品とその友人からのアイデアがふんだんに盛り込まれてまして、作中にも登場する『脳味噌の木』というものは、作品の中に実は描かれています。
この脳味噌の木を登場させるのならば森が必要で、だとしたらきっと明るい森ではなく、深い霧に覆われた暗い森であるはずで、ならば宿屋はその森の中にあったら面白そうだ。
こうして少しずつ宿屋というものが形になっていきました。
このイメージは公式HPのヘッダーの画像や物語の全体的な雰囲気にも繋がっていますね。
また前田亮という人間の生み出す世界観を絶妙に表してくれるようにもなりました。
こうして宿屋という設定が固まっていき、そこに存在する女将というキャラクターが生まれたのですが、女将の別称である『八雲』という名の由来は、
八雲=八つの空(世界)全てを受け入れられるほど懐が深いということからそう呼ばれるようになった
という設定があります。
どうです、カッコいいでしょ笑
この女将/八雲の設定にもたくさんの伏線というか深掘りポイントがあります。
それもまたこの【制作秘話を読む】というコンテンツで少しずつ明かしていければと思います。
次に”黒い影の渡し守り”です
とは言っても、このキャラクターで掘り下げることはほとんどありません。
掘り下げるべきはキャラクターというよりも舞台となる宿屋だと思います。
謎の男が赤い橋の手前で見たこの黒い影の渡し守りですが、目の前の川に浮かべた小舟に白装束の女を乗せどこかへ行ってしまいました。
これは大分先の話で判明することですが、実はこの宿屋があるこの空間は【浄土・彼岸(天国)と穢土・此岸(現世)】【現世と冥府・地獄】こうした概念の中間に位置する場所にあるという設定があります。
これが理解できれば謎の男が見た黒い影の渡し守りの正体も、波紋一つない明鏡止水の川が何を表しているのかも分かってくると思います。
つまり宿屋を囲うように流れているあの川は、あの世とこの世を結ぶ三途の川を想定して書いてます。
手前にある河原は賽の河原(さいのかわら)で、六文銭を持って渡し船に乗り、あの世へと向かう。
黒い影の渡し守りは白装束の女を乗せてどこに向かったのか。
そういうことです。
ちなみにあの宿の前を流れる川にもちゃんと”八道の川(やどうのかわ)”という名前があります。
名の由来は、六道(天道・人間道・修羅道・餓鬼道・畜生道・地獄道)にオリジナルで”次元道・神道”を足して八道にしました。
これもまた八雲の名の由来と似ていて、「全ての命の行き着く川」という意味を込めてあります。
今後ちゃんとこの川にもフォーカスが当たりますのでお楽しみに。
3.込めた想い
Instagram用に作った画像の一部です(作:なつきさん)
この「不思議な宿屋」という物語に作者として僕がどんな想いを込めていたのか。
この制作秘話というコンテンツの中で少しずつ話していこうと思いますが、第一話の中に込めていた想いの大部分は、
一緒に物語を作りませんか?
という一文で表すことができます。
初期の初期に友人と会議しながら、また家で鼻息荒くこの先の展開を想像して書き殴っていたメモには、至る所に「想像力を取り戻す」とか「読書を手軽に」とか「副業を提供する」とか「アーティストの発掘」とか、一緒に物語を作っていく上でどのような影響や波紋が広がるのかということが書いてあります。
活動の根幹となる理念には今でも一切ブレはなく、それは
想像力を取り戻す!
という思いです。
SNSやそれを提供するスマホというのが当たり前になっている今、便利になったその代償として僕らの中から想像力という人間が人間であるために必要不可欠な要素がなくなってきているなと感じていました。
ほんの少しでも先の展開を想像することができていれば防げた事故や事件や争いなんかが多過ぎて、そしてもちろん色んな原因があるだろうけれど「活字離れ」や「読書離れ」というのも要因の一つではあるはずだなと感じてました。
そんな長年の僕自身の課題というか、どうにかしたい、何かできることはないだろうかという自問への回答の一つが、この「不思議な宿屋」という物語であり、またその創作法でした。
まだまだ認知度は限りなく低いけれど、そして意味があるのかなんかわからないけれど、きっとこの物語や僕らの活動を通して想像力を育み、平和や思いやりの輪を広げることは可能だと、それだけのポテンシャルを秘めた活動だなと思ってます。
この第一話は大半が宿屋の状況描写になってます。
鬱蒼と茂った森に、塔のような不思議な建物。
赤い橋に広大な草原、綺麗な川とそこに現れる不思議な物たち。
第一話を書くに当たって決めていたのは、できるだけ状況描写は丁寧に細かく想像しやすいように、そして人物描写は最低限に自由に想像できるように、です。
これは最新話である第百三十四話時点でも(※2024年1月21日現在)変わらず一貫して意識し続けていることです。
その狙いはもちろん読んでくださっている方に想像しながら読んで欲しいということですが、それ以外にも、読んだ人が自由に想像して二次創作ができるようにです。
これもまた次回以降でお話ししていければと思ってます。
4.感想
第一話を読み返すと当時の自分のことを思い出します。
実はこの当時僕は漢検の準一級を受験するために勉強中でした。
だからなのかそこで覚えた熟語や漢字を使おう使おうとしているんですよね笑
だからやたらと難しい表現というか言葉というか、それで程良く世界観を表せているので結果的には成功だなと思ってますが、自分って単純だなと改めて感じます。
さて、全ての始まりの物語であるこの第一話ですが、ここでは
・宿屋の外観と三途の川
・謎の男と女将
・地獄へ向かった白装束の女
が描かれています。
絶妙に文章だけでそうだったのかと理解できるかできないかじゃないですか?
というかそうだったら嬉しいなって思います。
この創作秘話を読んで初めて「ああ、あれってそういう事なんだ」って思って欲しい
自分の中では特に最後の女将の「いらっしゃい」というセリフが気に入ってます。
これから始まるんだという期待感と不安感や恐怖心も煽ることができて、自分で書いておいてなんですが続きが読みたくなってくる。
ここではまだ言えない”謎の男”と”白装束の女”は、今の最新シリーズ『未蕾編』でも扱えるかどうかという感じなので、まだまだずっと先になるかもしれませんが、きっとその分詳細を知った時には驚いてもらえるようなお話になってますので、気長に楽しみながら待っていただけると嬉しいです!
5.収録裏話
読み聞かせ第一話サムネイル
ここからは物語ではなく読み聞かせ動画の収録や編集、サムネイルなんかの裏話をしていければと思います。
2023年の6月からアップし始めた読み聞かせ動画。
楽しめてもらえてますでしょうか?
そもそもこの「不思議な宿屋」という物語は、僕の中では”物語”というよりも”活動”という意識の方が高くて、それこそこの第一話を鼻息荒く構想して執筆していた段階で既にマルチに展開できる物語にしようと思って書いてました。
マンガ化もアニメ化も実写化も絵本にもできるし、それこそ舞台にもラジオドラマにもありとあらゆる媒体で扱える題材であり、内容であり、メッセージ性でいこうと。
だからこそ当初からいずれこうして音声化する予定でした。
まさか全部自分一人でやるとは予想外でしたが、あとは時が来るの待ちみたいなところではあったんです。
そんな中とある方に「読み聞かせみたいなのもしないんですか?」と言われたのと、ちょうど自分が新たな行動を起こしたいと思っていた時期が重なって実現するわけですが、背中を押してくれたその方には感謝の気持ちでいっぱいです。
こうして始まった読み聞かせ動画作成。
必要なのは【音源】と【編集技術】と【各種サムネイル関連】
最低限これがないと動画は作れません。
今でもそうですが、収録はスマホで録音して、macの中に入っていた動画編集ソフトを使用し、サムネイルなどの画像はこれもまたちょうどその時期関心があった画像生成AIにお世話になってます。
現代で個人で出来ないことはないと言われてますが、クオリティやカッコ良さを抜きにしたら意外とできるもんですね。
要はやる気があるかどうかです。
こうしていざ録音が始まるわけですが、元々演技の心得的なやつは全くやってきていないわけではなくそれなりにある方だったので、収録に関しては初めてにしては特に問題なくできたなというのが感想でした。
ただ今聞き直してみると、やはり探り探りというか、丁寧に話してるしたっぷり間を取っているなと思います。
全然悪くはないし、なんならこの第一話が一番再生されているけれど、もう少し間を詰めても良いんじゃないかなと思ったり。
全体的には雰囲気も出てるし、その間がまた世界観を演出できている部分もあるので、まあこれはこれで一つの完成形だったなと満足はしています。
そんな感じで収録した音源を次は自分で編集するわけですが、この第一話に関しては特にこれといった苦労エピソードは思い当たりません。
それよりもOPとEDの演出がとってもイカしてるなと自画自賛したりだとか、切り貼りするだけの編集ならできるじゃんと興奮していた記憶しかありません。
さあ、そして次はサムネイル関連の画像という段階に入りますが、これがまた画像生成AIとの戦いの歴史の第一歩なわけです。
使ったことある方なら分かると思いますが、画像生成AIは人工知能が与えられた情報から独自に解釈して生成しているわけなので、その情報からどのような画像が生成されるのかはほぼ運なんです。
特に今回この「不思議な宿屋」の画像を生成する上で今でも苦戦しているのは、画像生成AIってほとんど”海外産”なんですよ。
つまりどういうことかというと、例えば大きめの公園とかにある屋根付きの休憩所ってあるじゃないですか?
あれと似たようなものを生成したい時に日本語だと『四阿(あずまや)』と言えば大体理解できるんですが、海外には『四阿』なんて単語は存在していないわけです。
他にも『畳』とか『襖』とか、『お城』と入力しても海外のお城と日本のお城って形も機能も全然違いますよね?
こうした「日本独自の文化」というものを海外産のAIに理解させるのが毎回とっても大変なんです。
宿屋の外観を京都にある五重塔に近づけようと思って『gojyunotou』って打ち込んでもだめで、『Japanese style tower』から始まって補足を色々足したり、足しすぎても後半の情報はほとんど反映されないからうまい具合に引いたりを繰り返し、その中で何度も生成をしてようやくサムネイルや途中の立ち絵のような画像が生まれてきているんです。
毎回出会いです笑
「おお!これかっこいいじゃん!理想通り!」ってなった時の興奮をぜひ経験していただきたい。
各話毎に大体多い時でサムネ候補として十枚ほど、立ち絵ようにまた十枚の合計二十枚くらいは生成して保存してあります。
今後もこの制作秘話の中でその画像たちを紹介していければと思っていますのでそれもどうぞお楽しみに。
ちなみに採用されたサムネイルの採用理由は、ひと目見た時の印象が一番イメージしている宿屋に近かったからです。
ちょっと低いですけど笑
終わりに
というわけで記念すべき第一回目の制作秘話でしたが、みなさま楽しんでいただけましたか?
こんな感じで著者自らが各話を振り返り、その物語の考察や意図などをお話ししていけたらと思います。
知った上で読み返すとまた違った印象を受けるはずですし、この制作秘話が更なる読書体験、そして想像力を刺激させられる一因となれたら幸いです。
何か質問や取り扱って欲しい内容などがあれば、前田亮のX(旧Twitter)へのDM、またはアメブロ、読み聞かせ動画内のコメント欄などでお気軽に申し付けてください。
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(作:れいさん)
それでは第二話の制作秘話でまたお会いしましょう!
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