当ブログで過去数年、数度にわたり話題としてきた“望月理論によるABC予想の証明”は、依然として混沌としているようだ。
(超難問・ABC予想 ~ パラフレーズ ~ 算数レベルで理解 2017年12月16日) ~
最近目にした新聞記事は、概略次のように述べている(朝日新聞 2024年7月23日朝刊):
望月理論、激しい応酬 「ABC予想証明」とする新理論めぐり
数学の超難問「ABC予想」を証明したとする京都大の望月新一教授(55)の独自理論をめぐって、「理論を修正し、新たにABC予想を証明した」とする新理論が登場した。疑問が指摘され、正しさをめぐる決着に100万ドル(約1・6億円)の賞金がかけられている望月理論にとっては「助け舟」のようにも見えるが、望月教授は新理論を発表した数学者ジョシ氏を望月理論(宇宙際タイヒミュラー理論=IUT理論)について全く無知で、(ABC予想を証明したとする)その新理論は幻覚を連想させると嘲弄した。
当初から望月氏独自のIUT理論に疑義を表明しているドイツのショルツ教授もジョシ氏の「証明」は間違いだと指摘しているそうで、三つ巴戦の様相を呈している。
望月理論の理解者は世界に20人ほどしかいないと言う。その中心勢力は望月教授の在籍する京大に集中しているという異常な状態は理解に苦しむ。
世界の一流数学者たちの殆どがIUT理論に興味を失っているのは、理論の難解さにあり、理論自体にも誤りがあるとの指摘が当初からくすぶっているそうだが、理論理解の輪を広げようとの積極姿勢がIUT派にも見られないように見えるのは、どうしたことか。
論理の積み重ねである筈の数学において、主張の正誤を論理的に詰めることが出来ないなどということがあるのだろうか。まさか、“公理的理論体系には証明も反証もされない命題がある”とかいう不完全性定理を実演しているのではないだろうが。
数学者も人の子、適当な間隔で研究成果を世に出し、実績を重ね続ける必要があるのだとすると、行き先の見えない“超難解な独自理論”にかかわるのは得策ではないとの打算があっても不思議ではない。