オウムアムアは地球人を見たか?~星間飛行物体~工作物説 | 愛唱会ジャーナル

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最近興味深く読んだ本:アヴィ・ローブ/著 「オウムアムアは地球人を見たか? 異星文明との遭遇」(松井

信彦/訳 早川書房 2022.4)

 

SFじみた題名だが、真面目な啓発本だ。著者は世界的な天文学者。

 

自然発生の天体ではない、太陽系外由来の工作物である飛翔体が彗星のように飛来し、太陽の近傍を回って去って行ったことが世界中の天文台で観測されたことを一般人に訴えている。解り易く、納得できる内容だ。

 

その意味するところは多々あるが、例えば宇宙人の探査機が地球人の活動を観察したかもしれないということだ。

 

その天体は、2017年10月19日、マウイ島のハレアカラ山頂にあるパンスターズ望遠鏡「PS1」によって発見され、2017年11月6日に、恒星間天体に対する新しい符合分類(I)を適用してその第1号となる 1I/2017 U1 ('Oumuamua)と命名された。

 

Oumuamua「オウムアムア」はハワイ語で、Ouは「遠方へ、遠方から」、muaは「最初の、先だって」(繰り返しは強調)を意味するので、'Oumuamuaは「遠方から来た初めての使者(斥候)」の意味となる。(オウムアムア | 天文学辞典 (astro-dic.jp)

 

オウムアムアの観測結果からは、幾つかの異常な特徴が明らかとなった。特に:

 

1 形状が長短の軸比で10:1と細長いか、非常に扁平であるかと推定され、多くの小天体の形状から遠く離れる。

 

2 太陽から離れ去る際に、引力の法則からは説明できない加速が観測された。ガスの噴出など加速の原因となる現象も観測されなかった。

 

3 太陽光の反射率が滑らかな金属表面を思わせるほどに高い。

 

著者は、これらの異常(アノマリ anomaly)は、現在の科学的知見による限り、オウムアムアは太陽系外から飛来した星間航行体(の残骸?)であるという仮説で説明するのが最善であると結論した。

 

しかし、学会の大勢は否定的で、オウムアムアは、やはり自然の小天体であるとする。その形状の想像図が出回って一般のイメージを形成している。

 

 

今後、別の星間飛行物体の観測データが蓄積され、新しい知見が加わることにより、アノマリがアノマリでなくなる(著者の工作物説が不要となる)可能性はあるが、今のところ、宇宙人の存在を示唆する仮説にロマンを楽しみたい。