今2024年はベートーベンの交響曲第9番の初演からちょうど200年に当たるということで、
≪名曲探偵が明かす ベートーベン第九のヒミツ≫という好企画があった。
8月18日(日) 14:00~15:30
於 文京区立千石図書館
講師 野本由紀夫(玉川大学教授/第九指揮者)
講師舌好調で、予定時間を30分も超過してしまい、質問時間も取れなかったのは惜しかった。
色々教わった中で、一つだけ記録に留めるとすれば、第九の4楽章構成が、声楽の先鋒たるバリトンのレチタティーヴォに集約されているという驚くべき解釈である。識者の間では周知のことかも知れないが、当方にとっては衝撃的な指摘であった。
合唱部のさび、いわゆる「歓喜の歌」の歌詞には、自由・平等・博愛のフランス革命3モットーが整然と詠み込まれているという解釈も面白い。シラーによる原詩は親友の結婚を祝う詩だったとのことなので、この解釈は些か強引の感があるが、第九の楽しみ方の幅を広げる効用はある。
その外、冷戦の終結(ベルリンの壁の崩壊)に絡む興味深いエピソードの紹介などもあり、改めて第九とベートーベンの魅力を認識した次第である。
今後、「歓喜の歌」を歌うときは、バリトンのレチタティーヴォを付加することにしよう。