過去の話です
でも男性は渡ろうとしません。
男性は完全に立ち止まったので、
先に行ってくれ
と目配せしているように思ってしまい
私がゆっくりと発進した途端に
その男性はふらふらと
私が運転する車に突っ込んできたのです
気づいたらその男性は
ほとんどスピードが出ていない私の車の
ボンネットの上で頭はこちら、
足はバンパーの方でクルクルと
身体を横に回転しました
フィギュアスケートのジャンプで
両腕を頭の上にあげて
回転しているような回り方です。
人間ドリルのよう。
そしてボンネットを端から端へ回り切ると
転ける訳でもなくヘナヘナと
地面に座り込みました。
その間、スローモーションを
見ているようでした
すぐにブレーキは踏んでいたので
男性が回転しているうちに車は停まっています。
男性の様子を見ていると
男性は立ち上がり、
コンビニの方へ歩いて戻ったのです。
そのまま通り過ぎようかと思うほど、
咄嗟には私は自分が悪いとは
露ほども思えず。
でも自分の車のボンネットの上で
回転した人を放っておけないし、
ひき逃げとか言われたら嫌なので、
目の前のコンビニに車を停めて
男性に声をかけました。
「大丈夫ですか？」
男性は目は合うのですが、
何も言わずうすら笑いをしながらも
顔をしかめているだけです。
ボンネット上で回転しただけで
怪我をすることも無いと思いましたが、
その男性の態度に違和感を感じ、
何かあってもいけないと思い、
男性に声をかけてから110番をしました。
そして馴染みの車屋さんにも連絡しました。
「少し遠いところにいるので
すぐには駆けつけられない」
とのことでしたが、
たいしたことにはならないだろう
と思っていたので、
「大丈夫やと思う」
と言って電話を切りました。
けんさんにも連絡しました。
その間、その男性は
コンビニの駐車場の端っこで座ったままです
つづく…