愛国心の話題は、identity=帰属意識の話題と同一にしていいものか。自分が、どのグループに帰属しているのかの、identityの問題といいかえてもいいだろうと思う。identityによる帰属意識が、そのグループに対する忠誠心や愛着を生み出して、自己犠牲を引き出していく。この議論でいくとというか、極論になるとそれが1世紀前の軍国主義になりかねない。国家への帰属意識が統治政権や統治するideologyへの忠誠心に置きかわってしまったときのリスクを回避するために、戦後の教育基本法では愛国心を避けた。愛国心に代わって、平和憲法に記述されている国際平和主義が採用された。日本国民というidentityを廃棄して国際平和主義に基づいて、人類の一員というidentityにおきかえ、国際社会の平和に貢献する個人を理想にした教育を実施してきた。現行の平和憲法も教育基本法も、この精神のうえになりたっていると思う。
尊敬する作家の金城一紀さんは著書『GO』の中で在日朝鮮人、韓国人のこと、特にそのidentityについて書いている。もっとも小説であるので、あくまで主人公の意見として見なければならない部分もある。在日の人は日本で生まれ、日本で育ち、日本語を話すこともできる。だけど国籍は日本でない。法律上は外国人として扱われ、外国人登録証明書なんてものも要る。これってやっぱりおかしいのだろうか。正直、金城さんの作品を読むまでは知らなかったし、考えてもいなかった。なぜならそうやって生きてきたから。じゃあそれは悪いことで、いわゆる馬鹿なのかって言われれば俺は反論する。それが環境ってものではないのだろうか。identityの定義はすごく難しい。何をもって帰属なのか。社会の中のどんなグループからそれは含まれるのか。
identityは帰属・属性から本人の根幹をなす思考性や精神性を示す。しかし、ideologyはidentityと異なり、人生経験上ではなく、人間形成された後で学問的に作られる思考性であり、精神性はない。この2つはよく混同されるが全く違うものである。愛国心や愛郷心とidentityは密接に関連し、ideologyは全く関連性がないというもの。権威と帰属の象徴を示す最たるものが国旗や国家であり、世界的なスポーツイベントであるオリンピックや各種スポーツ大会では会場に国旗が掲揚され、試合前には国歌斉唱を行う。他のスポーツは分からないが、高校野球では必ず校旗掲揚と校歌斉唱が行われ、勝利チームには試合終了後の校歌斉唱という名誉や栄光が与えられる。甲子園なんかを想像すれば、それは容易に分かるし、高校野球が1番愛校心を感じる場ではないだろうか。
スポーツの話題になったので、サッカー日本代表のユニフォームに関して。なぜ青が採用されているのかは不明。日本=青というのは伝統のようだが、その明確な理由は分かっていない。代表チームの場合は、多くがその国の国旗の色をベースにしている。ブラジルやアルゼンチンがその好例だが、ドイツ、フランス、スペインなども国旗の色をユニフォームのベースとしている。実際、2006年のドイツW杯で国旗の色とユニフォームの色に相違点を見出せるのは、日本、イタリア、オーストラリア、オランダぐらいである。このうち、オーストラリアは国のナショナルカラーである黄色と緑を採用している。オランダはオレンジ色だが、これは独立軍の軍服の色に由来しており、新国家建設の象徴として国旗の色と同様にオランダ国民に愛されている色。つまり、実際のところ、日本とイタリアだけなのだ。例外的なイタリアは「azzurro」と呼ばれ、国旗にはない青色を採用している。
ここまで、批判的なとらえ方をしてしまったが、日本のユニフォームに青を採用している歴史は古く、1936年のベルリンオリンピックでは、ライトブルーを基調とするユニフォームが最古のユニフォームとされ、以降、初のW杯予選となった出場1955年スイス大会予選の時も青のが採用されていた。中学生の時に、剣道の授業で言っていたのは、紺や青というのは、すがすがしさを想像させ、剣道の袴や防具にそれが採用されているのは、紺や青がすがすがしさと共に、臭いを消すからだと言っていたw まぁ科学的根拠は疑問視されるところだが、浴衣、あるいは武士の武具を見ても黒や紺が圧倒的に多い。また海に囲まれた地理からも青は日本人に馴染みや愛着のある色といってもいいのかもしれない。1936年のオリンピックの時に何故青が採用されていたのかは分からないが、それが最古だとしても70年以上の歴史があるユニフォームと言える。これ自体に誇りを持っていいのではないか。たしかに、サポーターがREDSのようにスタジアムを真っ赤にすれば、それ相応の迫力はあるだろう。しかし、青=日本というイメージは確実にある。それでいいのではないかと思う。問題なのは、サッカー以外のスポーツは国旗に準じた色を採用していること。オリンピックを見れば一目瞭然。この問題は引き続き言われていくことだろう。個人的にはカッコよさでいえば、圧倒的に現状維持。理屈めいたことを展開していけば、白赤を採用してほしい。一新するならGOLD。黄金の国、ジパングだから。まぁ、青でいいのでは。この件とidentityが関連するかといわれたら疑問。ちなみに、1996年に青地に炎のエンブレムのユニフォームに変更されて以来のコンセプトは、青→日本の国土を象徴する海と空の色、スピード感、白→フェアプレー精神の象徴、チームワークの信頼感、赤→炎、熱い血潮、日の丸の赤だそうだ。
ちょっと脱線したし、長くなりそうなのでまた続きを今度。