滑走路


このタイトルは

「今いるところから少しでも高く飛び立ちたい」との想いでつけられたそうです

 

 

中学一年から始まったいじめ

そのいじめに耐えきれなくなって部活をやめた


 

彼にとって

癒えることのないトラウマとなり

その後遺症に苦しむ日々



その後は、読書に励み

高校二年生の時に短歌と出会う

亡くなるまでの15年間

短歌を詠み続けたそうです

 

 

数々の賞を受賞して

角川から本を出版するまで漕ぎつけ

あとがきの原稿も書き終えた



それなのに彼は自ら死を選んだ

 

 

早稲田大学卒業後

思うような仕事に就けず

アルバイトや契約社員となった

 


その思いを三十一文字にする



非正規の友よ

負けるな僕はただ書類の整理ばかりしてる

 

夜明けとはぼくにとっては残酷だ 

朝になったら下っ端だから

 

コピー用紙補充しながら 

このままでは終わるわけにはいかぬ人生

 

 

 

実らぬ恋も三十一音に


 

作業室にてふたりなり 

仕事とは関係のない話がしたい

 

かっこよくなりたい 

きみに愛されるようになりたい だから歌読む

 

 

 

いじめによる心の傷

それでも前を向こうとした


 

癒えることなきその傷が癒えるまで

癒えるその日を信じて生きよ


きみのため用意されたる滑走路 

きみは翼を手にすればいい

 

 

 

そして亡くなったその日も

彼は短歌を作っていました


 

あらゆる悲劇咀嚼しながら生きてきた 

いつかしあわせになると信じて

 

 

 

萩原慎一郎 享年33歳

遺作となった滑走路は未来へ続く

希望だったはず


 よく頑張ったよお願い