今回はBリーグ新外国人選手予想第8弾の佐賀バルーナーズ編。


予想前提


当ブログでは昨季佐賀を取り上げることはなかったが、昇格チームでタレントに欠けるチームでありながらリーグ屈指のディフェンス力で戦う姿勢に中盤あたりから興味を惹かれ始めた。


成績的にも5割目前で個人的な想定を大きく超えるものであり、秋田同様にタレントチームでないチームはディフェンスを核にするのが正解と示したようなB1デビューだった。


しかも佐賀は優秀な帰化選手を獲得、維持しており、アリーナも備えていることでチームとしての今後の伸びしろを大きく感じるチームという点でも期待せずにはいられないチームだと感じたのでシーズン中から今オフの予想に新たに佐賀を加えようと思った。


そんな佐賀の現在確定しているロスターは狩野、相原、井上、満原、岸田、角田、ハレルソン、フィーラーとなっている。


今のところ日本人選手で上積みがないのは痛いが、日本人選手の補強はリーグ全体で難しい部分なので現状維持に近くても仕方ないかもしれない。


しかし、日本人選手の補強が望めないからこそ日本人選手以上に大きくチーム力が変わる外国人選手の編成が重要になるわけである。


佐賀はチャイルズの去就が未定で、ガルシアは佐賀側もガルシア側も公式コメント的に再契約が濃厚としか思えないので入れ替えがあるとしたらチャイルズしかあり得ないというか、メンバー的に好成績とはいえ5割を達成出来なかったチームで外国人選手がそのままというのは考えにくい。


個人的にはガードは安くても世界中に良い選手が多数おり、新しいガードの外国人選手を見たい意味でもガードで予想してた外国人選手枠が没になって欲しくない意味でもガルシアの入れ替えを期待していたが、入れ替えの望みは薄く、予想しても確実に無駄になりそうなので予想する選手はチャイルズの1枠のみとした。


もし、ガルシアと再契約しないということがあれば、当該選手がFAである場合のみ追加で予想するかもれしない。


1人の外国人選手入れ替えで強化出来る部分は限られており、どこを強化するかで獲得する外国人選手も変わってくるのでプレイオフ進出を目指すならどの部分を強化するかという選択も大事になってくる。


それを考察するために佐賀の特徴について見てみると、弱点・課題は2P%、FT%、OR獲得率とセカンドチャンスポイントの低さ、被3PAの多さと3P失点の多さ、与FT率の高さとFT失点の多さなど。


強みは3P%、FTAと獲得率、チーム得点におけるペイント内得点とTOポイントとブレイクポイントの多さ、被FG%の低さ、ペイント内失点とセカンドチャンス失点とブレイク失点の少なさ、 DR獲得率の高さなど。


オフェンシブレーティングが低く、ディフェンシブレーティングはリーグ屈指の優秀さが表すようにオフェンス面の課題が多くディフェンスが持ち味という点で秋田に似ている。


これらを念頭に置いて予想してみたい。



チャイルズ枠


空いている枠がチャイルズの枠で他の外国人選手がガードのガルシア、フォワードのフィーラーなのでハレルソンの負担を減らす意味でもポジションはビッグマン以外が来るとは考えにくい。


ビッグマンで佐賀の弱点強化や強み増大に関われそうな部分という考えをしてみると、まず佐賀は2P%が低く、ビッグマンのハレルソンはシュート主体でペイント内でのオフェンスが苦手な点やゴール下で7割の決定率があったチャイルズがいなくなることを考えると強みのペイント内得点を維持する意味でもフィニッシュ力ある選手が望ましい。


また、佐賀はFTAがリーグトップクラスに多さなのに確率は断トツのリーグワーストで得点機会の損失が激しい。


そのFT%の圧倒的な低さの原因はチャイルズが4割を切るほどFTを大の苦手としていたからであり、むしろチャイルズがいるからこそ佐賀のFT%は低いくらいに影響していたのでFTが6割程度の一般的に苦手なビッグマンに変わったとしてもFT%自体は大きく改善出来る。


ただ、折角チームのFTが多く、ディフェンス型のチームとしては貴重な得点源になり得るFTを活かすならば6割程度の選手で改善を目指すだけでなくFTの上手い選手まで高望みしてもいいように思う。


それからチャイルズはリバウンドが強力で、ORもDRも非常に割合が高く、佐賀のOR獲得率が低くセカンドチャンスポイントも少ない点やDR獲得率がチームの強みである点からもリバウンドの強さは欲しい。


佐賀はTOポイントやブレイクでのポイントも多いのでトランジションで得点出来ると相性が良い。


最後に佐賀の弱点の与FT率とFTでの失点の高さからFT機会を与える可能性を減らすためにファウルは多くない方がベター。


以上からチャイルズを入れ替えるとした場合に新しい選手に必要、あるいは欲しいと思われる要素をまとめると、


①ビッグマン

②フィニッシュ力

③FTの上手さ

④リバウンド力

⑤トランジションで得点出来る

⑥ファウルが多くない


の6点と考え、これらに複数当てはまる選手をリストアップした47名から最終的に予想選手として挙げるのは…


Gabriel Olaseni

(208cm/104kg/32age)



オラセニは高いフィニッシュ力と得点力を兼ね備えるベテランビッグマンでプロ入り後はヨーロッパを中心にプレイ。


昨季は地元ロンドンのチームで国内リーグとユーロカップ合わせて平均23分のPTから平均13点でタレント揃いのチームでも高い得点力を発揮してリーグ優勝とユーロカップベスト4に大きく貢献。


オンボール、オフボール問わず高い攻撃力を持ち合わせており、オンボールでは巧さを感じさせるポストプレイから得点。


オフボールではオラセニの1番の持ち味であるダイブを筆頭に、シールやポストピンからのC&Fなどフィニッシングで存在感を発揮している。


トランジションでも得点が可能で、ビッグマンながらブレイクで先頭を走ったりトレイラーとしてフィニッシュするのも強力な点もTOポイントやブレイクポイントが多かった佐賀に合っている。


3Pはないが、ミドルはオプションとしての順位は低いながらも離していると打ってくる。


これらの得点スキルからヨーロッパでの9シーズン中7シーズンでFGが6割以上と決定率が高く、昨季も6割以上だったのはペイント内得点割合が高くても2P%が低かった佐賀の決定率を底上げ出来る。


効率面で見ても実はゴール下の決定率は高いのにゴール下から離れるとペイント内でも決定率が35%にまで落ちたチャイルズはEFGが5割を切るなど非効率的だったのに対してオラセニはEFGでも6割以上のシーズンが多いなど効率的にも優れている。


FTもヨーロッパ各国で多く貰っている上に直近7シーズン連続で73%以上であり、昨季はキャリアハイの83%でビッグマンとしては非常に上手いのはチャイルズとの大きな違いであり、佐賀のリーグワーストのFT%脱却に寄与できる。


オラセニはリバウンダーとしても優秀で、OR割合はヨーロッパ全てのシーズンで10%以上と非常に高く、ここからのプットバックも強烈だった。


もちろんDR割合も毎年20%前後で良く取れており、佐賀の下位項目だったORとセカンドチャンスポイントの底上げと上位項目だったDRの両方に寄与できる。


残念なのはTOがチャイルズより多めであり、割合的にも15%前後が多く、昨季は17%でキャリアワーストに近い多さだった。


ディフェンス面ではチャイルズについて昨季開幕前総評番外編で高く評価していたが、実際に佐賀でディフェンシブレーティング99と極めて優秀な数値を叩き出した上にファウルも少なかったのでディフェンス力はチャイルズが上かと思う。


それでもオラセニもディフェンスが悪いというわけではなく、これまで述べてきたオフェンス面でのプラスと合わせたらディフェンスでチャイルズに劣る分を差し引いても総合的な実力と佐賀に合うかという観点ではオラセニが圧倒していると感じる。


以上、オラセニについて見てきたが、ずっと前から日本に来て欲しかった選手の1人でもあるので予想選手としてみた。


ただ、昨季所属したロンドンはユーロカップ特集でも述べたようにマイナーリーグのチームとは思えないほどタレントが集まったチーム編成が続いており、非ユーロリーグチームの中では上位の予算があるチームだと思っているのでオラセニはサラリーが高いかもしれない。


その点でハレルソンをキープした上に昨季外国人選手が高かったわけでなさそう佐賀が獲得出来る選手かというと怪しいかもしれない。


チャイルズが残留する可能性もあるが、入れ替えるならば昇格1年目でサプライズ的な成績を残した佐賀が2年目にどのような選手を獲得するか楽しみに待ちたい。