今回はBリーグからシーズン総評第5弾のサンロッカーズ渋谷編。

 

昨季シーズン総評はこちら『Bリーグ21-22 シーズン総評 サンロッカーズ渋谷』シーズン総評第3弾は群馬と同じく外国人選手の怪我に苦しめられた渋谷。開幕前総評はこちら『Bリーグ21-22シーズン開幕前総評 サンロッカーズ渋谷』Bリーグ開幕…リンクameblo.jp

 

今季開幕前総評はこちら『Bリーグ22-23 開幕前総評 サンロッカーズ渋谷』Bリーグ開幕前総評第8弾はサンロッカーズ渋谷。昨季シーズン総評はこちら『Bリーグ21-22 シーズン総評 サンロッカーズ渋谷』シーズン総評第3弾は群馬と同じく…リンクameblo.jp

 

 

チーム評

 

はじめに渋谷の今季編成やロスターを見てみると、日本人選手は広瀬と高橋が退団し津屋と小島が入るというプラスしかなさそうな補強に成功。

外国人選手は昨季怪我で1試合しかプレイ出来なかったケリーが戻る代わりにハレルソンが退団してマカドゥとジョーンズが残留するということに。

ハレルソンはリバウンドとポストディフェンスが優秀で意外にも平均1本以上ブロックを記録するなどリムプロテクターとしても機能していたが、ケリーがいなくなってしまったことでオフェンス面で物足りなくなってしまったのでハレルソン退団は妥当だったと思う。

同時にケリーが従来通りプレイ出来るならばマカドゥ、ジョーンズ、ケリーは強力でオフェンス面ではフロアバランス的にも良さそうな編成だと開幕前に感じた。

ただ、渋谷は何故かアジア枠を活用せず、渋谷の日本人選手より安くて実力ある選手もいるであろうアジア枠を使用しない結果が今季の成績ではアジア枠を使わなかったのは失敗と言えるだろう。

また、昨季ケリーの不在でショット%が軒並み悪かった部分はケリー復帰と最初からジョーンズがいることで持ち直せたが、代わりにディフェンスが崩壊してしまい、失点が非常に増えた。

その結果、今季の渋谷は28勝32敗でプレイオフ戦線に絡めないどころか、勝率5割を切るという個人的に予想外すぎる成績で終えることになった。

途中でHCの交代があったが、それでもチームが上向くことはなく最後までディフェンスは崩れたままで不安を残すシーズンとなった。

オーナーチェンジが起きて前オーナーよりはお金を使ってくれそうな気がするのは個人的に楽しみでファンの人からしても今季唯一プラスに捉えられる希望かもしれない。

 

 

個人評

 

主力選手や気になる選手について見てみると、


・マカドゥ

チームの大黒柱で攻守ともに渋谷を支えるスーパー外国人選手。

特にディフェンスはポストディフェンスはもちろん、ペリメーターディフェンスも素晴らしく、ハイフラットにも対応してスティールはビッグマンでありながら平均1.5本とPTが下がったのに伴って昨季より減ったとはいえ異常な数字になっている。

オフェンスでもシュートは打てないが、ダイブやカットはタイミング抜群でフィジカルやボディバランスが優れているのでコンタクトを受けてもフィニッシュする強さでリムを攻める。

ポストプレイも得意ではないというかロールマンなので本来の持ち味ではないのだが、日本でプレイする分には問題なくポストプレイからでも得点やFTに繋げる。

そのFTが苦手で弱点でもあるのだが、あれだけディフェンスが出来てリバウンドも強い選手なのでFTくらいの欠点があっても他でお釣りが来る故に個人的には気にならない。

渋谷で最も重要な選手だろう。


・ジョーンズ

昨季緊急で獲得して驚異的なシュート力と得点力を見せてそのまま残留すると、今季も高いシュート力と得点力によりオフェンス面で活躍した。

途中まで4割を超えていた3Pや難易度の高いフェイドアウェイをねじ込むだけでなく、得意なわけではないがポストアップからフックも沈めたりもしていた。

FTが苦手なことやリバウンドが強いわけではない点、ディフェンスもサボらないが上手いわけではないのが難点かもしれない。


・ケリー

復帰して持ち前の得点力を発揮したが、3P%は来日以降最低でリバウンドも少ないなど他の外国人選手も得点力があるだけに得点力だけの選手になってしまった。

マカドゥは得点力だけでなくリバウンドやディフェンスも優秀でジョーンズは得点力とシュート力と穴にならない程度のリバウンド力とディフェンス力を備えているが、ケリーは3P%とリバウンド数が落ちてディフェンスでも穴になりがちだったので得点以外の活躍がないケリーは2人に比べると個人的に見劣りした。


・ベンドラメ

相変わらずシュートが入っていないが、チームトップのアシストや豊富な運動量と読みの鋭さからなせるディフェンスで良い活躍をしている。

ドライブからファウルを貰いにいこうとしてファウルを貰えず相手にポゼッションを奪われるシーンが多い気がするのとキャリア平均を下回ったFT%が勿体無かった。


・津屋

三遠では高確率でシュートを決めていたので期待していたが、3PはイマイチでFTに関しては6割未満の相当に厳しい数字だった。

ただ、決める力は持っているはずなので来季に期待したい。


・関野

オフェンスではあからさまにシュートを打たされて確率も低いなど機能していない面もあるが、ディフェンスではフィジカルに当たって激しいディフェンスで削る役割をしっかりとこなしている。

HCが変わる渋谷に残るなら新しいスタイルでどのようにプレイするか気になる選手でもある。


・西野

シュートはFT含めて入らなかったが、ゴール下でのフィニッシュ力は非常に高く、カットやミスマッチから良く決めていた印象。

3番でも4番でも起用されていて、サイズのある井上よりも4番起用されていた。

ポテンシャルを感じる選手なので需要が高そうとも感じる。


・渡辺

リバウンドの意識が高く、リバウンドを取れるのはいいがPGとしてはコントロールでもゲームメイクでも強みが感じられず、ディフェンス要員という印象。

離されてもわざわざドライブするなどシュートへの自信のなさが度々見られた。


・小島

もっとPTがあると思っていた選手で、予想より少ない時間ながらアシスト平均3本で3P36%、FTも8割以上で新天地でも安定した活躍だった。

ただ、東京時代から怪我で稼働率が低いのは変わらず、渋谷でも10試合以上欠場することになった。


・石井

渋谷2年目以降はずっと3P%が3割前半に収まっており、シューターとしてはかなり厳しい確率になっている。

今季も34%で昨季より上がったとはいえ低い数字に変わりなく、数年で急激に衰えてしまった印象。


・井上

もっとPTがもらえると思っていた選手で、ケリー3番起用の要かとも思っていたが、代表のようにアジア人ビッグマンが相手ではなくなることを考えたら当然だったかもしれない。

シュートもほとんど入らず、フィジカルでもフットワークでも外国人選手についていけないので井上よりフットワークのある西野が4番起用されるなど苦しいシーズンとなった。
 

 

主要チームスタッツ比較

 

・平均得点

平均得点は昨季が78.8点でリーグ15位、今季は82.7点でリーグ5位に得点と順位が大きく上昇。

ケリー復帰と得点力ある外国人選手を3人揃えたことで平均得点は大幅に上がった。


・平均失点

平均失点は昨季が78.9点で少ない順でリーグ9位、今季は85.2点でリーグ20位に失点数が増えて順位も大きく下落。

得点とは反対にリムプロテクトで貢献していたハレルソンの退団とディフェンスの苦手なケリー復帰の効果なのか失点も大幅に増えた。


・平均3P

平均3PAは昨季27.8本でリーグ3位、今季は26.1本でリーグ8位にアテンプトと順位が下落。

平均3PMは9.2本でリーグ6位、今季は8.7本でリーグ12位に成功数と順位が下落。

平均3P%は昨季が32.9%でリーグ22位、今季は33.4%でリーグ13位と確率と順位が上昇。

ケリー復帰と最初からジョーンズがいるのに意外にもアテンプトは減っており、確率は低すぎた昨季から上がってはいるが、当てにしていたケリーの確率が高くなかったのでケリー復帰で上昇というよりもリーグ全体で確率が落ちたことによる方が順位上昇に寄与したと感じる。


・平均2P

平均2PAは昨季が39本でリーグ18位、今季は40.6本でリーグ8位にアテンプトと順位が上昇。

平均2PMは昨季が19.6本でリーグ18位、今季は21.7本でリーグ6位に成功数と順位が大きく上昇。

平均2P%は昨季が50.1%でリーグ19位、今季は53.4%でリーグ9位に確率と順位が大幅に上昇。

2Pに関してはアテンプトと成功数、確率 l全てで順位が大きく上がっており、ミドルの上手いケリーやハレルソンよりポストプレイの上手いジョーンズが最初からいることが要因だろう。


・平均FG

平均FGAは昨季が66.8本でリーグ4位、今季は66.6本でリーグ6位にアテンプトと順位が僅かに下落。

平均FGMは昨季が28.7本でリーグ16位、30.4本でリーグ7位に成功数と順位が上昇。

平均FG%は昨季が43%でリーグ21位、今季は45.6%でリーグ9位に確率と順位が大きく上昇。

アテンプトが昨季より減っても成功数と確率は上がったということは精度が上がったということであり、アテンプトも維持出来ていたら得点はもっと増えていた。

ジョーンズとケリーがいる影響はオフェンスでやはり大きかった。


・平均FT

平均FTAは昨季が18本でリーグ8位、今季は19本でリーグ2位にアテンプトと順位が上昇。

平均FTMは昨季が12.2本でリーグ14位、今季は13.3本でリーグ8位に成功数と順位が上昇。

平均FT%は昨季が67.7%でリーグ21位、今季は69.7%で19位に確率と順位が上昇。

FTはリーグトップクラスのアテンプトであるが、確率は上がったとはいえ下位のままであり、折角多く打てて得点源に出来るチャンスなのに勿体無い。

原因はチーム全体でFT確率が低く、アテンプトが少ない選手を含めて平均7割を切っている選手が7人もおり、8割以上は2人のみで100本以下の選手という部分だろう。

特にマカドゥがFTが苦手なのは仕方ないにせよ、さらにFTの苦手なジョーンズで外国人選手を2人揃えてしまったのは得点源の損失に繋がった。


・平均リバウンド

平均オフェンスリバウンドは昨季が13.4本でリーグ2位、今季は11.1本でリーグ15位に本数と順位が下落。

平均ディフェンスリバウンドは昨季が23本でリーグ22位、今季は24.2本で22位と本数は増えて順位は同じだったが最下位は脱した。

平均トータルリバウンドは昨季が36.4本でリーグ12位、35.3本でリーグ22位に本数と順位が下落。

ここはリバウンドの取れるハレルソンがリバウンドの取れないケリーに代わったことで大きく本数と順位を落とすことになった。


・平均アシスト

平均アシストは昨季が19.1本でリーグ18位、今季は21.3本でリーグ9位に本数と順位が上昇。

平均2.2本も増える大幅な増加となっているが、やはり得点力ある外国人選手が揃ったことでアシストが増えたのではと考える。


・平均ターンオーバー

平均TOは昨季が12.9個で少ない順でリーグ14位、今季は11.4個でリーグ9位まで個数を減らして順位も上げた。

ケリー復帰で増えると思っていたTOも大幅に減っており、どういう理由で減ったのか分からないが大きなプラス要素だろう。


・平均スティール

平均スティールは昨季が8.9個でリーグ1位、今季は7.4個でリーグ3位に個数と順位が下落。

リーグ全体でスティールが減っているので渋谷も個数は減っているが、順位は上位のままなのでネガティブではないと思っている。

ただ、スティールが減ったので失点が増えたという部分もあるかもしれない。


・平均ブロック

平均ブロックは昨季が2.5本でリーグ11位、今季は2.4本でリーグ13位に本数と順位が僅かに下落。

リムプロテクターとして機能していたハレルソンがいなくなった全くタイプの違うケリーが復帰したのに下落幅がこれだけで済むなら問題ないだろう。


・平均ファウル数

平均ファウルは昨季が19.3個で少ない順でリーグ17位、今季は18.5個でリーグ16位に個数を減らして順位も上げた。

ファウルが減ったというのはディフェンスの強度や激しさが下がったと言えるのかもしれないが、FTを与える可能性も減らせるのでファウルが減ること自体はいいことだと個人的には思う。

ただ、渋谷はファウルが減っても失点が増えすぎているので関係ないかもしれない。


・オフェンシブレーティング

オフェンシブレーティングは昨季が107.7でリーグ15位、今季は111.6でリーグ7位に数値と順位が大きく上昇。

やはり得点力ある外国人選手を揃えたことで大幅に数値が上がった。


・ディフェンシブレーティング

ディフェンシブレーティングは昨季が107.9少ない順でリーグ9位、今季は114.9でリーグ20位に数値も順位も大きく下落。

こちらも予想通りでオフェンシブレーティングとは逆に大幅に下落した。

以上24項目中、昨季より順位の落ちた項目が9個あった。

スタッツ順位の分布は上位が10個、中位が9個、下位が5個で意外にも上位が最も多かった。

見れば分かるようにオフェンス関係の項目では上がっていることが多いが、反対にディフェンス関係では下がっていることが多い。

オフェンスに寄せすぎてディフェンスが疎かになってしまったのかもしれない。

特に改善が必要だと感じるのは失点数とFT%とリバウンドの3点。

 


​来季編成

 

渋谷は現時点でコーチ陣が全入れ替えとなり、ジョーンズ、渡辺、石井、田渡、井上、西野がリスト入りとなっている。

そのうちジョーンズと西野のみ交渉継続で4名は退団が確定している。

4名の退団は妥当であり、石井に関しては渋谷での活躍を見るに1年遅いくらいに感じる。

継続が既に発表されている選手はケリー、マカドゥ、津屋、小島の4選手で新加入は永吉となっている。


正直言って永吉を獲得するくらいだったら若い井上を育てて欲しかった。

また、意外だったのはケリーの継続とジョーンズとの交渉継続で、個人的にはマカドゥだけ残して外国人選手は入れ替えると予想していたし、それがベストだとも思っていた。

ケリーはやはり怪我が心配なのと得点が取れてもリバウンドとディフェンス面は不安要素なので絶対ないくらいに思っていたが、発表の早さからしてマカドゥともども複数年契約なのかもしれない。

そしてジョーンズとの交渉継続であるが、既にマカドゥとケリーの継続は決まっているのでジョーンズとの交渉が成功した場合は外国人選手はそのままで来季も戦うということになる。

最もチームの実力が変わる外国人選手の部分で勝率5割を達成出来なかったチームがそれを変えるつもりがないというのは正直ガッカリしている。

渋谷はオーナーチェンジしてバスケに資金を投下してくれるのではという期待があったのでランクの高い外国人選手が見られるかもとも思っていたのと、代表のコメントで「編成もワクワクさせる」とあったので永吉の獲得とジョーンズとの交渉継続の時点で既にワクワク感は喪失気味になってしまった。

なので個人的にはジョーンズ以外の選手を獲得する方向に動くことを期待したい。

もう1人交渉継続の西野は契約解除ということで複数年契約を蹴っているわけであり、前例がないとはいえ西野の需要が高そうなので再契約の可能性は低いと見ている。

その他発表のない選手で絶対に残したい選手はベンドラメくらいだが、関野と盛賽は今季くらいのPTであれば十分に役割があると思うのと既に4人退団して更に2人も放出して全て上位互換にするのは難しそうなので渋谷側も残留に動くのではと予想。

そうなると気になるのは今季使わなかった帰化・アジア枠であり、流石に今季は最低でもアジア枠は使うと見ている。

また、HCも誰になるのか気になる部分でああるが、ウファクやオブラドヴィッチあたりが来たら最高に面白いが可能性は低いと思うので誰になるか楽しみにしたい。

セガサミー体制での最初のオフ人事で渋谷がどれだけ本気か分かると思うので選手やHCにお金をかけてくれることを期待。