国内シーズン総評第6弾は今季のサプライズチームの1つである秋田。


シーズン前総評はこちら『Bリーグ21-22シーズン開幕前総評 秋田ノーザンハピネッツ』このシリーズ全チームやるつもりだったけどプレシーズンまでに全チーム終わりそうにない…。ということで、やりたいチームだけやってプレシーズンまでに間に合わせる方式…リンクameblo.jp


​チーム評と個人評


昨シーズン秋田は外国人選手にスコアラーを置かないというトリッキーとも言える編成をしており、スコアラーがいないという点では川崎も同じだったが、川崎には帰化選手にファジーカスがいるからこそ出来る編成だった。


秋田には川崎のファジーカスにあたる選手はおらず、かなり特異な編成でありつつ、コールビーも欠きながら東地区で5割近い勝率を誇っていた。


今季は引き続きコールビーが全休だったが、待望のスコアラーであるグリンが加入し昨季のディフェンスのチームにスコアラーが加わったらどういう風になるんだろうと思っていた部分が見られると開幕前から楽しみにしていた。


昨季より5試合減った今季は東地区で勝率5割以上を達成、それどころかプレイオフ進出の快挙までするとは全く予想出来なかった。


激しいディフェンスは継続しつつ、シュートを高確率で決めてくる戦い方は北海道や大阪とは違った意味で嫌なチーム、戦いたくないチームだったのではないだろうか。


開幕前にもシーズン中の秋田戦の記事でも書いたように、このチームでこの戦い方を確立して結果も出した秋田のHCはかなり優秀だと思っているが、秋田ファンからは評価が低いようなのは謎だ。


個人では新加入のグリンがB2時よりも3P%を大幅に上げつつ、チームトップの平均点でディフェンスの秋田になかった明確な得点源として君臨。


同じく新加入のアイバーソンは怪我に苦しんだが、リムプロテクトやリバウンドで大きな働きをし、苦手なオフェンスではダイブやポストプレイから得点などチーム断トツの±を記録。


秋田ディフェンスの要であるデイビスは流石に昨季のデタラメのような平均スティールやブロック数は維持出来なかったが、マッチアップのカバー範囲の広さは相変わらずで、ディフェンシブアンカーとしても活躍。


オフェンスでは昨季より平均得点を下げたが、これはアテンプトやFTが減ったことに加え、コールビー不在により苦手なオンボールからの展開が昨季より増えたからだと見ている。


日本人選手では古川が唯一の平均二桁得点、田口が3P45%が目立つスタッツだが、それ以外の選手も強度の高いディフェンスや平均3PA1本以上の選手の大半が34%以上の高水準を記録。


確率が悪いと言えるのは大浦のみで、誰もがフリーで打ってくると怖いチームだった。


​チームスタッツ比較


まず平均得点は昨季平均77.5でリーグ14位、今季はグリン加入効果もあり平均78.7に上昇したが、チームが増えたこともあり順位は16位に後退。


平均失点は昨季平均78.1で負け越しながらリーグ5位の少なさだったが、今季は更に磨きをかけ平均75.7まで大きく減らしつつ順位も4位に上昇。


得失点では昨季マイナス0.6だったが、今季はプラス3と大幅に改善。


コールビーがいたら失点は更に少なかっただろう。


3Pは昨季平均リーグ10位のアテンプトから31.9%でリーグ18位の低確率だったが、今季は同率9位のアテンプトから37.8%でリーグ1位の確率まで劇的な向上を見せた。


アテンプトを増やして確率を上げるという理想的な変化だった。


ペイント内決定率では昨季平均54.7%でリーグ18位の下位だったが、今季は平均53.2%に下がり順位も21位まで後退。


3PAが増えたのでペイント内でのアテンプトも減ったのは分かるが、元々下位だったところから更に確率の減少は痛い。


FG%は昨季リーグ5位のアテンプトから43.5%で確率を18位とかなり低かったが、今季はリーグ15位のアテンプトに減りながら確率は44.6%に上昇、ただし順位は19位に下がって依然として下位であった。


ただ、昨季の下位と違って今季は3PAも3P%も増えた上での下位なので、3Pも入らなくて下位だった昨季とは同じ下位でも中身は全然違うだろう。


FTでは昨季18.3本でリーグ同率6位の平均アテンプトから69.6%で確率18位と効率が悪かったが、今季は平均15.8本でリーグ16位までアテンプトは減ったが、確率と順位は75.1%の7位まで大幅に上昇。


アテンプトも昨季と同じくらい貰えたら尚良かった。


ORは昨季平均12.5本でリーグ5位の強さだったが、今季は平均11.1本で9位と昨季トップのリバウンダーだったコールビーの不在により本数も順位も下落。


トータルリバウンドでは昨季平均35.5本でリーグ11位、今季は平均36.1本に増えたが、リーグ全体のリバウンドが増えたのか順位は16位に後退してしまった。


アシストは昨季平均20.7本でリーグ8位、今季は平均20.7で同数だったが、こちらも中位層のアシスト数が増えたのか順位は12位へ転落。


高確率でシュートが決まっていたのでアシストが増えているかと思いきや、意外にも同数だった。


秋田の持ち味であるスティールは昨季平均9.1本でリーグ同率1位、今季は平均8.9本で同率1位とトップ2が2年連続同じ顔触れで改めてチームの特徴であると認識。


厳密には試合数の関係で同率ではなく秋田が2位ではあるが、その他の項目含めて数字が同数であれば同率扱いということで。


TOは昨季平均13.1個でリーグ17位とミスが多かったが、今季は平均13.8個で20位と更にミスが増えてしまった。


ファウル数では昨季平均19.4個でリーグ断トツワーストの多さだったが、今季は平均18.2個まで減らし順位も11番目の少なさまで爆上げ。


だからと言ってディフェンスの強度が落ちたわけではないので見事な修正と言える。


オフェンシブレーティングでは昨季98.3でリーグ17位、今季は100.8で16位まで数値も順位も上昇。


グリン加入やチーム全体のシューティング%上昇がしっかり反映された数字となった。


ディフェンシブレーティングでは昨季99.1で負け越しチームながらリーグ5位の固さを誇っていたが、今季は順位は同じ5位ながら数値は97.3で昨季よりも更に強固に。


攻守でこれだけ数字が上向いていればプレイオフ進出も納得。


伸ばしたいのはFTの少なさとリバウンドで、3P%を維持出来るかどうかも来季の重要なポイントだろう。


​編成


秋田は複数年契約のメンバーがほとんどであり、それ以外の選手も秋田側から積極的に放出するような選手はアイバーソンくらいしかいないのではないかと見ている。


つまり、アイバーソン以外で出て行く選手がいるとすれば選手側から出て行くことになる可能性が高く、中でもグリンは欲しいチームも多そうなので秋田がキープ出来るか別の選手で代用するかは注目。


アイバーソンの所はコールビーが復帰できるならコールビーだと思うが、シーズン全休した選手が元通りプレイ出来るかという点ではリスクを負うことになるかもしれない。


日本人では複数年契約が切れる古川は他からオファーがあれば移籍するかもしれないが、秋田としては残したいだろう。


今季成功したメンバーからそれほど入れ替えがないと思われる秋田が、どのようなロスターで迎えてどれだけ成績を伸ばせるか楽しみにしたい。