見たいカードが続々と中止になる厳しい状況が続いてる国内リーグから今節は島根と三河の試合をピックアップ。


島根はトラビスが欠場、三河はコリンズワースとユトフが欠場したので、恐らくダバンテの帰化の可能性も考慮して獲得したであろう実質的には練習生のスタッフであるローレンスが緊急登録。


ローレンスについて全く知らないのでどんな選手なのか注目した試合は2戦とも三河が出だしでリードしながら島根が逆転勝利した。


​1戦目

スタッツを見てみると島根はトラビスがいない影響が攻守で大きく表れたと言えるのではないだろうか。


まず3Pにおいて三河は6/17で35%と確率は良いのだが試投数が少なかったので成功数も6本に留まったのに対して島根は11/27で41%と確率が良かったのはもちろんだが、三河よりも10本多く打ったことが成功数でも大きく5本差を付けることに繋がった。


単純に考えればこれだけで15点差であり、島根はシュートがあまり得意ではないが多めに打つトラビスがいない影響が良い意味で3Pには作用したと言えるかもしれない。


しかも、この試合では金丸がすぐ退場してシュートを打ってなかったにも関わらずチームで41%の高確率を叩き出しているのが素晴らしい。


 2Pでは島根が19/40で47%と悪くない数字だが、三河は27/39で69%と非常に高確率かつ成功数も多い。


さらに2Pの内、ペイント内得点に関しては島根34点で三河54点とどちらもペイント内得点割合が非常に高く、三河に限っては2Pが全てペイント内得点である。


三河はダバンテがいるので元々ペイント内での成功率や得点数が上位であるとはいえ、ポストディフェンスが上手く、ドライブやカットにヘルプやカバーする最終砦のトラビスがいない影響がディフェンス面でも表れた上での数字なのではないだろうか。


FGでは島根30/67で45%、三河33/56で59%と3P%でも悪いわけではなかった三河が高すぎる成功率で圧倒した。


ただし、このFG関係の数字において注目するべき所は成功率よりもアテンプトの方だと個人的に思う。


というのもアテンプトで島根は11本も多く、それだけチャンスがあったというべきであり、そのチャンス差を生み出した要因はリバウンドだとアテンプト差の原因がハッキリ分かるからだ。


リバウンドにおいて、三河はオフェンスリバウンド4本の総数30本で島根はオフェンスリバウンド13本で総数35本とオフェンスリバウンドの獲得率は2倍以上で本数自体は約3倍である。


トラビスがいない島根にここまでオフェンスリバウンドを取られるのは三河にとっては非常にまずく、その島根のオフェンスリバウンドから26点も取られている。


三河がオフェンスリバウンドから獲得したのはたった2点であり、トラビスがいたらとんでもないことになっていたかもしれない。


以前から三河関係の記事で指摘してきたが、ダバンテのディフェンスリバウンドに対する意識はかなり低い。


今節でもディフェンスリバウンドに向かわなかったり、ボックスアウトをせず棒立ちしているがためにオフェンスリバウンドを取られるシーンが目立った。


三河はもう1人のインサイドプレイヤーがシェーファーなので外国人選手とリバウンド争いは分が悪く、外国人同士で争うダバンテがどうにかしないと無駄に得点チャンスを与えることになってしまう。


ダバンテはディフェンスリバウンドへの意識が低いだけでリバウンドの能力自体は低くないと思うので、やるかやらないかの問題だろう。


アテンプトの話に戻ると、三河がアテンプトが12本も少ないのにFG%と成功数で上回っていることからEFGでも島根53%、三河64%と当然三河は大きく上回った。


その他に勝敗に大きく影響したスタッツとしてFTとTOが挙げられる。


FTは三河10/15で67%、島根15/24で62%とどちらも低調ながら試投数の多かった島根が5本多く決めるなどアタックした結果アドバンテージに繋がった。


島根で1番FT試投数の多いトラビスがいなかったにも関わらず24本もFTを与えてしまったのも三河には大きな痛手となった。


そしてTOは島根に10個と平均より多く出させることに成功したが三河は18個と多すぎるミスを犯してしまった。


このTOから三河は12点、島根は21点獲得しており、ここでも島根が優位性を保ったことが表れている。


島根は高い位置ではガードに、ローポストではダバンテにダブルチームを仕掛けてTOを誘発するなどディフェンス面での作戦が機能していた。


三河は柏木を入れて2ガードなどしているが、柏木自体のTOが0でも2ガードの時間帯で停滞やTOが起こるなら意味を見出しにくい。


角野を3番でも器用しているのでローテーションの関係で柏木がそういう使われ方になるのは仕方ない部分もまるのかもしれないが、個人的には柏木を使った2ガードの有用性には疑問を感じざるを得ない。


個人では島根の安藤が3P4/7やFT4/5、ドライブからのフィニッシュでFG54%からチームハイの22点に5リバウンド4アシスト2スティールとマルチに活躍。


TOは安藤にしては多めの3個だったが、38分出てトラビスのいないチームを引っ張った。


ビュホードはFTで精彩を欠いたが、プルアップやドライブなどオンボールからの得点中心にFG54%で21点とチームトップの11リバウンドに5アシスト3スティール1ブロックでTOなしのオールラウンドに貢献。


ケイはペイント内でのオフェンスに苦しんだが、3P3/6などから16点に4リバウンド4アシスト2スティールでTOは1個に抑える活躍。


数字以上にディフェンス面での功績が素晴らしかった。


ニカは18分の出場ながらオフェンスリバウンドやポストプレイからFG70%で15点4リバウンド1スティールでTOなしと効率良く活躍。


負けた三河は初出場のローレンスがカットやドライブ、シュートと内外からFG71%でチームハイの23点にチームトップの8リバウンドと3アシスト1スティール2ブロックの活躍。


フル出場でTOも2個に抑えオフェンス面では良かったが、ディフェンス面では受け渡しミスやフル出場の影響から後半にガス欠でマッチアップについて行けない場面もあった。


ダバンテはハイポストやローポストでのポストアップからのアタック中心にFG67%で19点に7リバウンド3アシスト1スティールで活躍。


ディフェンスでも前半はペイント内で両手を挙げつつ静止して上手く守っていたが、島根が優勢になった後半は焦りからか手が出てしまったりTOを4個も出すなど勿体無い場面もあった。


日本人では西田がカットやブレイクなどからFG71%から11点に3リバウンド2アシストとTO2個を記録。


シェーファーはダイブやカットからFG50%で10点に2リバウンドでスティールとブロックとTOが1個ずつ。


細谷がシュートやドライブからFG67%で10点と2リバウンド5アシストでTO1個と得点、ゲームメイク両面で活躍した。


​2戦目

三河がリバウンドとTOをどこまで修正出来るかが注目ポイントだったが、リバウンドにおいて前日以上の脆さを見せてしまう結果となった。


前日同様に三河は出だしこそ良かったものの、それ以降は完全に島根がペースを握って圧勝した。


チームスタッツでは3Pが三河7/23の32%、島根が10/29で34%と両チームともに低めながら前日同様に多く打った島根が確率と成功数で上回った。


この日は2Pでも島根が26/38の68%で三河の23/45から51%を上回り、ペイント内成功率でも20%以上島根が上回るなどトラビスがいなくてもペイントを上手く攻めた。


FGも島根が58%で三河は45%、EFGでも島根61%で三河50%と確率と効率で島根が大差を付けている。


三河の課題の1つであったリバウンドにおいては三河がオフェンスリバウンド9本で総数26本に対して島根はオフェンスリバウンド15本で総数44本と島根が圧倒した。


島根のオフェンスリバウンド15本は三河のディフェンスリバウンド17本とほぼ同じと言っていい数字であり、島根のオフェンスリバウンドと三河のディフェンスリバウンドは島根のシュートミスを争った結果である。


ゾーンをしているわけではない限りディフェンスリバウンド側が有利なのは言うまでもなく、トラビスのいない島根にオフェンスリバウンド獲得率が5割近くで獲られるというのは非常にまずいだろう。


ただし、この日は15本もオフェンスリバウンドを島根に取られながらセカンドチャンスポイントは12点と意外に少なめであり、前日の失点数や三河の得点数である8点と比べても本数の割には失点を抑えている。


つまり、オフェンスリバウンドを取らせないという直接的な課題克服は出来なくとも、オフェンスリバウンドから得点させないという点である程度のリカバリーには成功している。


リバウンドと同じく前日の三河の反省点だったTOにおいても島根は9個と通常運転くらいだったが、三河は5個と頑張りが見えた。


もちろんTOからの得点においてもチャンスの少なかった島根は6点に留まり、三河は14点と上回り、TOに関しては昨日から修正出来たと言える。


速攻での得点においても三河が島根を11点上回っている。


FTでも三河は11/14で79%、島根は13/15で87%と両チームとも確率を上げたが、三河は前日ほど島根に試投を与えず、成功数も2本差に抑えるなど、この点においても前日から見ると修正したと言える。


ではどこでやられたのが1番大きかったと言えば、最初に戻ってしまうが単純にFGが高確率だった点からハーフコートで簡単に失点したことではないだろうか。


それと相関してアシストは三河19本に対して島根は27本と非常に多く、島根がFGの75%をアシストから決めていることからチームでフリーや得点しやすい状況を作ったことが読み取れる。


島根と三河の3P差は9点で2P差は6点、これにFTの2点差を足すとちょうど試合の得点差である17になる。


もちろんこんな単純なものではないが、三河が前日からの反省点であったTOとそこから発生する失点、相手のオフェンスリバウンドとそこから発生する失点。


このうちオフェンスリバウンドの本数以外は前日より成果が出ていたことを考えると、トラビスのいない島根相手にはハーフコートでの失点はもう少し減らしたかったのではないだろうか。


個人ではケイがフル出場で3P5/6やタイミング抜群のカットなどからFG83%でチームハイの23点に11リバウンドと4アシスト1ブロックでTO僅か1個と驚異的なパフォーマンスを披露。


スクリーンやディフェンスなど数字に残らない部分でもとにかく上手さが目立った。


ビュホードはハーフコートやトランジションからのドライブなど持ち味の身体能力を活かしてFG47%から21点とリバウンドとアシストでチームトップの14本と13本でトリプルダブルを記録。


スティールも2個にブロック3本でTOは僅か1個とオールラウンドな活躍だった。


日本人では安藤がシュート、ドライブともに高確率で71%から16点に2リバウンド3アシストでTOは多めの3個ながら得点面で大きく貢献。


金丸もFG36%と確率は悪いながら難しいシュートとFTを決めて14点に2アシストでリバウンドとTO1個ずつを記録。


島根はただでさえPTが長い選手が多いのでこれ以上主力選手に抜けられると本当に厳しくなってしまい、トラビスの早急な復帰が待たれる。


負けた三河はダバンテがハイポストやローポストのバックダウンやブレイクからのフィニッシュなどペイント内とFTのみでチームハイの21点にチームトップタイの7リバウンドとアシスト、スティール、TOでそれぞれ1個ずつを記録。


ローレンスはシュートやドライブでバランスが崩れてもフィニッシュ仕切るなどFG50%で14点と7リバウンドに4アシストでTO1個のみで日本デビューを終えた。


日本人では長野が二桁の10点だったが、ドライブでの被ブロックやフィニッシュミスが目立ちFG25%と低迷した。


ただ、アシスト3本と2スティールでTOは0個と得点面以外では良い活躍が見られた。


シェーファーはダイブやカット、シールなどからFTも貰いつつFG56%で13点と1ブロックを記録。


ビッグマンでありながらリバウンド0だったのはディフェンスリバウンドをサボりがちなダバンテの存在も相まって三河にとっては厳しい。


シェーファーがいるお陰でコリンズワースやローレンスのような選手を運用出来るという恩恵もあるだけに三河にとっては難しいところかもしれない。


さらにユトフに続いてコリンズワースのIL入りが決まり、保険であったローレンスが想定外の形で登録されるなど何とか最悪の事態は免れたが、海外から自由に補充できない以上は2人が最短で戻ってきたとしても今シーズンは非常に厳しくなってしまった。


両チームともにこれ以上怪我人が出ないことを願うばかりだ。