恐らくNBAを除いた集合体で最もレベルの高いユーロリーグから今回は互いにリーグ常連かつ国内でもユーロリーグでも上位常連で優勝候補筆頭のCSKAモスクワvsレアル・マドリードの1戦をピックアップ。


今季もここまで国内、ユーロリーグともに上位をキープするレアルに対し、CSKAはVTBでこそ上位なものの、ユーロリーグでは現在中位と苦戦中。


1Q


試合最初のオフェンスでTOから入ったCSKAはカウンターから走ったブーチェビッチのダンクによりレアルに先制を許す。


返したいCSKAだったが連続してTOが出てウィリアムスのドライブ、タヴァレスのダイブとヒヤヒヤする場面が続くが耐えて逆にシェンゲリアのアタックと得点こそならないがハイレベルな攻防が序盤から続く。


レアルがタヴァレスのダイブで3点プレイを決められ早くファーストポイントを上げたいCSKAだったが、再びTOからP&Rでタヴァレスにアリウープを決められ7点差になったところでCSKAがタイムアウト。


タイムアウト明けからのオフェンス3回でも得点出来ず、ウィリアムスにブレイクを決められCSKAは4分間無得点のまま10点差がつく。


いい加減得点しておきたいCSKAはハケットとミルティノフのP&Rから3点プレイでようやく得点。


そのまま続いて差を詰めたいところだったが、ペイントアタックは止められ、シュートは入らないという悪循環の上にクラッツァーとフェルナンデスに連続で3Pを決められ14点差に。


しばらく停滞した後にCSKAがミルティノフのミドルと難しい体勢からのフェイドアウェイと連続4得点して良い流れを作りたいが、レアルもクラッツァーがフローターで譲らず。


CSKAの連続オフェンスリバウンドからのサードチャンスも実らず、グリゴニスのアンスポからFTを1本決められ、直後のポゼッションでもブーチェビッチのダイブからFTで1点取られ悪い流れが続く。


残り1分15秒でクライバーンがCSKA初の3Pを決めたが、直後にブーチェビッチが3Pを決め返しなかなか差が詰まらない。


ポジション争いから得たFTをミルティノフが1本決めて1Qだけで10点取り、Q最後のオフェンスではクライバーンが1対1からプルアップミドルを決めて14vs24で2Qへ。


2Q


開始2分間互いにノーゴールが続いたが、CSKAがエクストラパスからハケットが3Pを決めて先制するとレアルもウィリアムスがドライブからプルアップを返し詰めさせない。


クライバーンのドライブに対してミラーが不用意なファウルからアンスポを取られ、FT2本にポゼッションからシュベドにプットバックを決められ5点差になったところでタイムアウト。


タイムアウト明けにレアルはウィリアムスの3Pにタヴァレスのポストプレイからの豪快なダンクで再び10点差に。


その後の攻防で判定にイラついたレアルがテクニカルからFT1本とポゼッションからのレイアップをゴールテンディングと自滅気味の得点が続く。


プレイのレビュー中に切り替えたレアルがP&Rからタヴァレスが再び豪快なダンクをかませば、CSKAもカバノフがダンクで返す。


続くオフェンスでウィリアムスが高い位置で旨きスクリーンを使うとガラ空きのレーンへドライブからフィニッシュし、直後のディフェンスでタヴァレスが見事なブロックを炸裂。


それでもウォイトマンが果敢にタヴァレスにドライブを仕掛けてFTから2点を加点し、レアルのエアーボールからカウンターでクライバーンがドライブ、レアルローテーションの乱れを突いたパス回しからカバノフの3Pで2点差になったところでタイムアウト。


再開後、ウィリアムスの強引なドライブが不発に終わるとCSKAはトランジションシールからミルティノフがドライブで同点に持ち込む。


数分無得点のレアルは1QのCSKAのようにシュートが入らなくなり、逆にCSKAはランドバーグの3Pでついに逆転。


続くオフェンスでもクライバーンのドライブからこぼれた球をミルティノフがプットバックし5点差に広げる。


レアルはQ最後のオフェンスでリュルが見事なスクープショットを決めて37vs40でCSKAがリードを奪い返して前半終了。


3Q


後半最初のオフェンスがウィリアムスのタフショットで外れて終わったレアルに対し、CSKAはランドバーグがミルティノフとのスクリーン連携からミドルで先制。


レアルがスイッチで出来たミスマッチからテイラーが3Pを決めるとCSKAもカバノフの3Pで返し譲らない。


ガルバのアタッキング・クローズアウト、リュルのドライブでFTを貰うなどレアルがディフェンスでCSKAを止めつつ連続得点で同点に。


CSKAはハケットがドライブでFTを貰い確実に加点すると、レアルはタヴァレスがサイズとフィジカルを使ったパワープレイでダンク、ウィリアムスのドライブと連続し再びリード。


その後、互いに得点が止まる展開が少々続いたところでクライバーンがドライブからFTを獲得したところでタイムアウト。


再開後クライバーンがしっかり2本ともFTを決め同点に戻すが、リュルがトランジションからファウルを貰いに行きFTを1本決める。


CSKAはお手本のようなリロケートからウォイトマンが3Pを決めるも、すぐさまタヴァレスがミスマッチからFTを2本決めて差が付かない。


オフェンスリバウンドからシュベドが3Pを決めると、CSKAがトラップからスティール寸前のところでファウルを吹かれレアルのFTだったがクラッツァーは1本しか決まらず。


その後お互いに決めきれない中でフェルナンデスがジャブステップから3Pで55vs56でレアルが再びリードで最終Qへ。


4Q


開始1分かかってレアルがリュルの1対1からプルアップ3Pで先制。


CSKAはTOや不要なファウルでチャンスを潰してしまい2分間無得点の中、レアルのウィリアムスがヘルプとマッチアップを引きつけるとオープンのクラッツァーへ素晴らしいパスから3Pへ繋がり7点差になったところでタイムアウト。


再開後なんとか得点したいCSKAだったが、レアルペイントに陣取るタヴァレスの存在が大きく上手く展開が作れない。


しかし、CSKAビッグマン見事なリムプロテクトでレアルに得点させず、なんとタイムアウト後の2分半で得点が動かないまま再びタイムアウトへ。


再開して最初のオフェンスでスローインからリュルがレシーブしてすぐのワンドリ・プルアップで3Pを決めて久々の得点で10点差に。


CSKAもスローインからシュベドがすぐさまC&Sで3Pを決め返して約4分ぶりの得点。


その後CSKAは執拗にクライバーンのポストアップを狙うが決まらず、逆にウィリアムスのアイソレーションからミドルゲームで9点差になったところでタイムアウト。


タイムアウト後もクライバーンのポストアップから入ったが、今度は自分で行かず外のランドバーグに出して3Pが決まる。


残り2分切ったところでレアルはペースを落とし、ショットクロックを使いながらウィリアムスのアイソレーションでプルアップからミドルを決め8点差になったところでタイムアウト。


再開後CSKAはクライバーンが強引なドライブからFTを2本決めるが、レアルは再びウィリアムスの時間を使ったアイソレーションでフローターを沈め反撃の芽を潰す。


CSKAは時間を使わず決めたいところだったが、オフェンスリバウンドを続けてとってもなかなか得点出来ず、レアルの時間を使ったオフェンスで残り12秒になりながらもクライバーンがドライブで強引に決めてレアルがタイムアウト。


再開後すぐファウルに行かなかったCSKAディフェンスをウィリアムスが上手く処理して12秒しっかり使い65vs71でレアルの勝利となった。


総括


ともにディフェンスが良いのもあって互いのFG%が低いロースコアの試合となった。


FG%はレアルが41%でCSKAは30%とかなり低い数字となった。


3Pは両チーム9本決めたが確率はレアル31%、CSKA27%とこちらも互いに低調だった。


FTでもレアルは6/13で61%と厳しい数字だった一方でCSKAは14/15で93%とFTでは完璧の近い内容だった。


この試合の最も面白いスタッツとしてリバウンドが挙げられる。


ディフェンスリバウンドではレアル29本、CSKA27本とほぼ同じなのだが、オフェンスリバウンドはレアル6本に対して負けたCSKAは脅威の19本と3倍以上も取っている。


結果、タヴァレスのいるレアルよりCSKAは総数で11本多く取っており、オフェンスリバウンドがこれだけあったのにも関わらず負けてしまったことからもチャンスを活かせずFG%の低さや得点の少なさに直結してしまったのが分かる。


もう1つ面白いスタッツとしてアシストにも注目すると負けたCSKAは14本と少ないが、勝ったレアルはそれよりも少ない11本である。


レアルは1対1からなど個人技での得点割合が多かった上で勝利したと言えるだろう。


TOはCSKA10個でレアルは僅か4個と互いに強度の高いディフェンスをしながら少ないのは流石としか言いようがない。


両チームともにスターターポイントの割合が高く、CSKAに至っては65点中55点がスターターと偏りが出た。


個人ではCSKAのクライバーンが積極的なアタックから得たFT7/8などチームハイの16点と13リバウンドを獲得したが、FGは4/16とシュートが入らないシーンが目立った。


ミルティノフはFT3/3を始め、ダイブやポストプレイで巧さを見せてFG71%で13点の10リバウンドとCSKAで唯一と言える効率の良さでCSKAインサイドを支えた。


ランドバーグはC&S中心に10点だったが、FG4/12と厳しい出来だった。


勝ったレアルはウィリアムスが2P7/14などドライブ、プルアップと高確率で得点しチームハイの17点に6リバウンド、ゲームメイク力の高さも見せて5アシストとマルチな活躍で貢献。


特に終盤での1対1からタイムマネジメントしつつ連続で得点するのは圧巻だった。


タヴァレスは誰がマッチアップしてもミスマッチになるサイズとフィジカルを活かしてダイブやポストアップでローポストを攻めて、FT3/3にFG54%から15点にチームトップの10リバウンドとゴール下の番人ぶりを発揮。


ディフェンスでも切り込んできたCSKAバックコート陣があまりの高さに躊躇するシーンを何度も作り、ブロックも4本記録するなど鉄壁のリムプロテクトが素晴らしかった。


リュルは2桁の10点だったが、FG3/12にFT50%と厳しい数字が並んだ。


ベンチ出場のクラッツァーはFTが50%だったが3P2/3で決めて合計10点と活躍。


CSKAはVTBでは最終的に優勝すると思うが、バランスと実力十分のこのロスターで現状の順位だとユーロリーグでは苦戦が続くかもしれない。


レアルはACBでもユーロリーグでもバルサが最大の障害だろう。


現在ユーロリーグはCSKAに加えてエフェス、フェネルバフチェと優勝候補常連チームが中位以下で固まっており、予算規模が低いオリンピアコスや非常連のユニックスが上位にいるなど面白い展開が続いている。


優勝予想はバルサだが、出来れば毎年の顔触れ以外のチームから番狂わせが起きて欲しいところ。