Bリーグ開幕前シリーズ第8弾は川崎ブレイブサンダース。


昨シーズン天皇杯優勝した川崎はプレイオフで栃木の前に完敗とも言える2連敗でシーズン終了。


ここ2シーズンの川崎の強みはオフェンス面だとファジーカスが帰化したことによるオン3で帰化選手のいない相手にはファジーカス、ヒース、パブロ、カルファニのいずれかでインサイドのミスマッチを作ってそこを狙えるというのが大きい。


藤井、篠山の2大PGに加えて辻、ファジーカスもプレイメーカーになれるのでイージーな得点を量産していた。


特にファジーカスはローポスト、ハイポスト、3Pライン外でもカッターやポストピンに対してアシスト出来るので相手チームからしたら厄介。


そんなインサイドでのイージーぶりを裏付けるように川崎のアシストとペイント内のFG率はリーグ1位。


ディフェンス面ではファジーカス以外の選手が激しい運動量でプレッシャーをかけてリーグ上位のスティールを獲得して速攻に繋げる。


ファジーカスは縦や横の動きにはついていけないが、相手のP&Rなどの仕掛けをポジショニングで潰したりローテーションの指示を出すシーンがよく見られ、自分の出来ることをやっている印象。


これらに加えてゾーンも併用することでリーグ上位の失点の少なさとディフェンシブレーティングを記録。


川崎の外国人編成についてはファジーカス帰化のアドバンテージを100%まで活かしきれてないような、ディフェンスに重きを置いたサポーティングキャストで固める編成がここ2シーズン続いている。


個人的にはこの部分が川崎が昨シーズン優勝出来なかった要因と見ている。


というのもディフェンス面では全員がファジーカスを助けているが、得点面ではファジーカスを助けられる選手がおらず負担が大きい。


ヒース、パブロ、カルファニともにスコアラーではなく得点手段もオフボール寄り。


さらに言うと3人とも先述したペイント内成功率の高さと関連して、インサイドでは効率良く得点出来るがヒース以外の2人はシュートが上手いとはいいがたく、2人とも打たされているというような確率だった。


帰化選手がいないチーム相手であればミスマッチが必ず生まれるので問題ないが、帰化選手がいる相手だとギブス、ロシター、スコットのような普段やらない形のオン3相手にもゴリ押されてしまう。


恐らくプレイオフで千葉と当たってもサイズ、ギャビン、ダンカンでオン3されたら厳しかっただろう。


この外国人の得点力不足は最後まで尾を引き、プレイオフ栃木2連戦では1戦目が川崎外国人合計16点に対し栃木29点。


2戦目が川崎19点に対し栃木35点とどちらも差が大きく、特に3点差で負けた1戦目においては栃木全体の点数も抑えていただけに悔やまれるところ。


また川崎はここ数年FTの下手な外国人が続いており、川崎の中では選手獲得の上でFTの上手さは優先度が低いのかもしれないが、これも接戦時を考えるとリスクが高いのではないかと個人的に思う。


そんな川崎の今季のロスターを見てみると、シューター兼プレイメーカーの辻がいなくなったのが大きいが、前田とジャニングが入ったのでシューティング面では影響は少ないと見る。


新加入のジャニングはオフスクリーンやオンスクリーン、トランジションシューティングなど様々な形からシュートが打てるシューター。


獲得時の川崎コメントではシューター以外にも役割を持たせるような感じに見えたが、ハンドラーなどシューター以外の役割での活躍は余り期待しない方が吉。


パブロ以外の外国人が一定以上のシュート力を持っているのでフロアバランスは昨シーズンでも悪いわけではなかったが、より良くなったのではないかと思う。


ただ、やはりシューターという一芸スペシャリストタイプのジャニングよりも、シュートもドライブも出来るスイングマンやゲームメイクと得点力を兼ね備えたコンボガードなど、広い役割をこなせる選手の方がファジーカス帰化の恩恵を最大限受けられるのではと思わざるを得ない。


「パブロを残すならジャニングではなかった」

「ジャニングを獲るならパブロを残すべきではなかった」

とも思っているので、この素人考えを裏切って欲しい。


とはいえ怪我人続出で外国人がボンズ、シモンズになっても借金を作らないくらい地力も組織力も圧倒的に高いので今季も優勝を狙えるくらい強いのは変わらないだろう。


注目選手はヒース。


ディフェンスがとにかく素晴らしく、ポストディフェンス、ヘルプ、スイッチしてもチェイスダウンからブロックをかます献身的なビッグマン。


オフェンスでもシュート、ダイブ、プットバックと理想的なロールプレイヤー。


地区上位からプレイオフ進出と予想。