2009.04.10 Friday
パガニーニとリストについて (5)
 パガニーニの特異性格である中でも彼の利益や金銭に執着するその欲望の大きさも並外れたもので、同時代やそれ以後に活躍した大作曲家達と比べてもこれほどの人物は他にはいません。
 しかし、パガニーニほど同時代以降の名だたる作曲家達に多大な音楽的な影響を与えた作曲家もいません。パガニーニが当時鬼神とまでいわれ、パガニーニのバイオリン演奏は多くの演奏家たちにとってもあがめ奉る対称であった事も間違いがないと思えます。
 大演奏家であれ、大作曲家であるパガニーニの残した遺産の最大のものはやはり「パガニーニの主題」であり、当時の他の作曲家がこれを用いた作品がなんと数多くある事に驚きます。
 多くの当時の有名な作曲家のなかでも、シューマンとリストは特に多くの作品があります。
 その中の一人である、リストにとってもパガニーニは音楽の世界では神様であり、大先生であったに違いなかったわけです。
 ここにパガニーニの主題を用いたリストの作品を挙げてみると次のものがあります。
 
 パガニーニによる超絶技巧練習曲S.140 (6曲)
 パガニーニによる大練習曲S.141 (6曲)
 パガニーニによる超絶技巧練習曲S.140より第6曲イ短調「主題と変奏」
 パガニーニによる大練習曲S.141より第6曲「主題と変奏」
 パガニーニの「鐘」による華麗な大幻想曲S.420
 パガニーニによる超絶技巧練習曲S.140より第3曲変イ短調「ラ・カンパネッラ」
 パガニーニによる大練習曲S.141より第3曲嬰ト短調「ラ・カンパネッラ」

 リストにとって、パガニーニの存在はあまりに大きくリスト自身も「ピアノのパガニーニになる」という大目標を掲げて奮起して超絶技巧の猛練習をしたと言われています。
 先日の小生ブログにおいて、NHKの名曲探偵アマデウスの番組で扱われたリストの「ラ・カンパネラ」を題材にした話がありました。その時ピアニストの小山実稚恵が出演してこの「鐘」にまつわる説明がありましたが、その3曲のピアノ曲が上記の作品の最後の3曲であります。
 そのうちの1曲目は思うところ、リストがあまりに超絶技巧に走り過ぎてしまい、その超絶技巧を見せるだけのもので、難曲には違いないのですが、果たしてこの曲が名曲といえるかどうかは意見が分かれるところです。ピアニストの小山実稚恵も人前でこの曲を演奏する事はほとんどないという話でした。現実に一般の演奏会でも演奏されてはいないようです。
 2曲目の「ラ・カンパネラ」はリストは1曲目の反省を込めて書き改めているのですが、この曲はパガニーニの主題が濃く出されていて、超絶技巧もほどほどにして、ほんとに大人のピアノ曲といえるものになっている感じがします。
 その曲にもう一段と磨きがかかったものが、3曲目の作品で現在一般的に演奏されている曲でこの曲にいたるまで、20年も悩み抜いた末の名曲に作り上げたものです。
 この曲をもしパガニーニが聴いたらどんな反応をしたでしょうか、考えてみるだけでも何か面白いことですね。