2009.03.03 Tuesday
木村伊兵衛と土門拳 (6)
 木村伊兵衛の19歳頃の生活は台湾にいて当時ある大きな砂糖問屋の台南市支店に勤務していたというのであるから、今で言うサラリーマンの生活を4年間程経験しているのである。その中で、同市にあった親戚の写真館で営業写真の技術を自分なりに勉強することは、そう簡単な事ではなかったと思います。経済的には収入の大半は勤務している砂糖問屋からの収入しかなく、親戚の写真館では特別に自由度の高い仕事の仕方をしていたと想像できます。一つの会社の勤務が終わってからの次の仕事というか、今で言うと勤務後の習い事であり、それほど変わったものではない生活スタイルであるが、心の内では、すでに最終の目的は写真の仕事にする事は決心がついていたと思います。勝手に想像している事ですが、おそらく、夜間に写真館の下仕事などもある程度しながら、本来の営業写真の技術の見習いといえども、彼は実祭の営業写真の仕事はまかされていたと想像できます。
 彼は写真の技術の腕前だけでなく、人との交渉事の方の手腕も優れたものを持っていたに違いないと思えます。ということは、もう既に自分で写真館を開業できる力は出来上がっていたといえます。
 その台湾での4年間で木村伊兵衛はその後の人生の進む方向が決められたという事になるのである。その後、日本に帰国して、間もなく東京の日暮里で写真館を開業する事になるのである。