兄ちゃんが僕を上野に映画を見に連れていってくれた


初めて見た外国の映画は何か悲しかった


ラーメンを食べ、喫茶店でアイスコーヒーを飲んだ


兄ちゃんが後から入ってきたタバコを吸った人たちに


殴られて、お金を取られた


帰りのバス代が一人分しかなく


兄ちゃんは僕をバスに押し込もうとした


僕はバスから飛び降りた


兄ちゃんと歩いて帰った


先をゆく兄ちゃんの背中がゆれていた


僕も泣きながら歩いた



~ビートたけし詩集「僕は馬鹿になった。」より~




・・・心の奥にずっとある古い感情があって、それは


惨めさ


悔しさ


やり切れない怒り


・・・のようなものなのですが

実はもっと奥にもうひとつあって、それは


誇り


です。



どんなときでも、なにがあっても


誇り高くありたい。



誇り高さとは


タバコを吸っている人に理不尽に殴られても


優しい人間であり続けたいということです。