見合いに関しては、こんな経験もした。

 

 ある時、見合い相手の父親が、見合いの前に私を見に来ると言うのである。見合いする当人である息子の前に、娘、私の事だが、を見極めたいらしいが、その理由が振るっている。その家は家族で事業を営んでいて、それに役立つかどうかを見るらしい。このことは、当時の在日韓国人の嫁取りが、まるで奴隷奉公みたいに考えていることが如実に表れているということである。嫁いでは夫の家族に隷属するということである。

 

 今の私なら怒って断るところだが、当時は訳が分からずにその日を迎えたのだが、その父親はやって来て、私はあえなく落選だったので、難を逃れたのだった。

 

 その頃の私はすごく痩せていて、それが体力が無いように見えて、家業に適さなかったようだった。

 その父親が帰る時に、タクシーを呼ぶ段になって、私がタクシー会社に電話をしたのだが、上手く呼び寄せることが出来て、そばで見ていた母がほっとしていた。まるで入社試験の一項目の様でもあった。

 

 まだある(笑)

 姉の紹介で見合いをすることになったのだが、仲介者の老婆が姉の元にやって来て、こう言ったそうである。

 「赤い口紅を塗って見合いの席に来ないように、妹に言いなさい、赤い口紅を塗るような女は、遊んでいる不良娘と思われて、見合いが上手くいかないから」

 元々、化粧が苦手な私だが、殆どスッピンで見合いに出かけて、どんな生真面目な男が来るのかと待っていたら、何と茶髪に染めた相手が現れてのけぞったものである。おまけに会話が上手くつながらない。早々に商談?イヤイヤ、会話を終えて一緒に喫茶店を出て来たが、直ぐに彼が車のキーを置き忘れていたことに気づいて店に戻ると言い出した。私はその場でさっさと別れを告げて帰ったが、案外彼は緊張していたのかな、なんて少し同情もして、茶髪もお洒落のつもりだったのかも、なんてとも考えたのだが、先に仲介者の老婆が余計な事を言って、こちらの気分を害していたので、見合いは盛り上がらなかったのである。

 

 ということで、何度も見合いはすれど、いつもすれ違いで結婚までには至らずに、見合いの回数は増えて行くばかりの年月が続くのだった(苦笑)