ずーと、つかず離れずの付き合いをしている女性がいる。かつて低所得者向けの公営住宅に住んでいた頃からの知り合いなので、もう50年近く前からの付き合いであるが、彼女は日本人なのか、それとも在日韓国人なのかどうか分からない。先日偶然数年ぶりにスーパーで出会って、少し立ち話をしたが、今尚分からない。

 

 夫は独身の頃に、客商売をしていて、カウンターで酔客の相手をしていると、時々「向こうの人なのか?」即ち韓国人なのかと問われたそうで、「見た目で分かる人がいるらしい」というが、ホンマかいな、なんて私は思う。

 在日韓国人バリバリ?の私が分からないのに、日本人に分かるはずが無いと思うのだ。実際に、私の弟が、私の知人を見て「お姉ちゃん、あの人は在日の人だね」なんて言ったことがあるが、その人は正真正銘日本人だったことも有る。日本人だって、見るからに同じ在日の人に見える人はごまんといるのである。

 

 確かに一世ともなれば風貌や言葉の訛りで分かるが、もう二世ともなれば日本語は普通に話すし、と言うか、韓国語が分からなくて、日本語が母語なのだから日本人にしか見えない。

 細かく観察すれば、韓国人と日本人との容貌には差異がある。私なんかは、時々目の色が茶色いと言われる。不思議なことに日本人以外の外国人の方が、私が日本人には見えない時があるようで、かつて英会話を習っていたアメリカ人の若者が「あなたの目の色はダークブラウンで、日本人の目の色とは違っている」なんて言われて驚いたことが有った。

 その他に、日本人だが美術教師をしている人にも「あなたは日本人には見えない」なんて不思議そうに言われて、さすがに絵を描く人の眼は違うと舌を巻いたものである。

 義父が晩年入院していて見舞いに行ったが、義父の顔をまじまじと眺めると、目の色が薄いというか茶色で、そう言えば義弟も目の色が薄くて、やはり日本人の顔ではないなと実感したことも有った。

 

 ところで、前述の彼女だが、年齢も近いことから、自然に立ち話をするようになって、自宅に招かれたことも有ったが、そこの家の中が奇妙だった。あまりにも整理整頓されていて、コップ一つテーブルや流しに置かれてなくて、全てが食器棚などにしまわれているのである。私がずぼらな性格なので、我が家の部屋の中は特に乱雑ではあるが、それにしても彼女の家の中はあまりに不自然に見えた。

 彼女の夫は鉄道会社に勤務していて、当時は幼い息子が二人いたので、もっと散らかっているのが普通じゃないかと思うのである。彼女は私の義姉によく似ているので、何となく同じ在日ではないかと推測するのだが、夫の職業を聞くと、そうでもないかなと思ったりして、今だに何も聞けないでいる。

 勝手な推測ではあるが、日本人男性と結婚していて、韓国人の嫁だと言われて後ろ指を指されないために、一生懸命家の中を整理整頓しているのかなと考えたりもする。

 それに彼女の方も何故か私を気にしている素振りで、会えば嬉しそうに近寄って来るのも怪しい?し案外彼女も、私を在日韓国人だと思っていたりして、なんて思う。

 

 まあ、聞かぬが花でってことで、過ごして行くけれど、疑問は残る。