イカです。

イカ料理は大好きです!


さて、部品が揃ったのでエンジンの回復手術とまいります。
まずは各部品の下処理をします。前回ブログでお話ししましたがシフトアップのカムはカム山にビビリがあるのでコレを修正します。研磨の都合上どうしてもビビリが残ってしまった場合はラッピングという方法でビビリを

ごまかす

のです。
ラッピングとはサンドペーパーやダイヤの粉末を混ぜたテープで研磨面を擦るのです。ようするにポリっシュですね。なぜこんな事がが必要かっつーと、研磨、研削面と言うのは砥石で仕上た状態だと表面を拡大鏡なんかで見てみるとトゲトゲしているんです。大根おろしのおろされてる面だと思ってくださいネ。それらをラッピングしないで組み込むと・・・・研磨面に接する相手の面を削ってしまうんです。
下のギザギザが研磨面で、上の平らな面が相手の面だと思って下さい。
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研磨のみ、もしくは旋盤仕上のみのワーク(部品)はこんな感じです。このままエンジンに組み込んで使うとどうなるか?
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このとうり、相手を削ってしまう事があるんです。クランクシャフトの『ピン』と『ジャーナル』は基本的に研磨仕上げとなりますが、絶対にラッピングを行います。これは私が研磨をやっていたときに古巣の職人さんに言われた事なのだが・・・

『研磨だけだと表面はヤスリみたいになってるから、ラッピングをするかしないかで相手のメタル(軸受け)の寿命が全然違うんだ』

なるほどね~。
ラッピングと言うのは目の細かいサンドペーパー等でパーツを組み込む前にこの悪しきギザギザを落としてやろうって事ですな!
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結局の所、新しいエンジンで『アタリを出す』言うのはこれと一緒。違うのは組んでからアタリを出すのは『部品どうしの接触によってラッピングを行う』ってだけ。現代の部品は一昔にくらべて工作機械の精度が抜群に上がったので昔のように
『オレは車を大事にすっかり1000㎞までエンジンを回さないようにするぜ!』
と言うのは今の世には合わない話だそうです。部品どうしの精度が上がっているため、アタリが悪いって事は殆ど無くて、初期のバリとか金属粉を洗浄するため、始めのオイル交換をやってしまえば後は普通に乗って問題は無い(レーサーエンジンは別ね)。
逆に、部品の寸法精度が悪くて部品そうしが『ゴリゴリ』とお互いを削りあって初めてアタリが出た!って言うのは最悪のパターンです。これがモンゴリ系のエンジンでよくある

「オレのエンジンはいつまでたっても鉄粉まじりのオイルが出るんだよな~」

です。モンゴリ系のノーマルエンジンって2回くらいオイル交換するとほぼ鉄粉はでません。出るのはスラッジ(クラッチのカスとか)くらい。要するにモンゴリ系にかかわらずカスタムパーツを組み込むって事は、部品精度がメーカーの品質規格に合った物では無いため、

『無理やり組み込んでいる』

と思って下さい。つーか、そういう意識の下でカスタムエンジンを扱わないとすぐに壊してしまいます。そう・・・

どっかのイカ見たいにネ!

(´・ω・`)ショボーン

また能書きが長くなりましたが、初期アタリの不具合を軽減するにはどうしたら良いか?あのギザギザを先に取ってしまえば良いんです♪厳密に言えば取るのでは無く、尖がってる所を丸くしてやるってっ事です。
今回のカムシャフトもやっぱりビビリがあるのでそれらを修正します。このビビリって極端に言うと、局面が階段になっていると思って下さい(かなり極端だけど)。
今回ラッピングに使うのはこれ!
世界のトラスコ様のダイアモンドポリッシャー
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てか、これがホームセンターで買えたのは奇跡に近い。トラスコの製品ってあんまり売って無いんだよね~オレンッジブックとかカタログ販売が殆どだし。
今回のカムも写真を良く見ると軸方向に縦筋が入ってるのが見える。コレをラッピングします!コレを落とさないとロッカーアームが削られてしまいます・・・。
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ダイアモンドポリッシャーにオイルを垂らし、
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曲面に対して弧を描くようにポリッシャーをクネクネと動かしながらポリッシャーの自重だけで一方向に磨いてやります。そう・・・例えるなら・・・

初めての女を優しく抱くようにね!

ツ-ホ-((;゚Д゚))スルゾ

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重要ななのは削るというイメージを持たない事です。やさしく撫で付けてやるだけです。
仕上がりがこんな感じに♪
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上々です♪
最終仕上に2000番の耐水ペーパーにオイルをつけてサッと拭いてやれば完成♪

次にロッカーアーム。
これはカタログ上、アペックスμがかけてあるとの事だったのでラッピングが必要無いかと思ったがやっぱり押し子の部分ザラつき感があるのでラッピングをかけます。こちらはリューターで使うポリッシャーを使用。
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こんなんでやったら削れちゃうんじゃないの?って思うかもしれませんが、これは研磨剤を含んだゴムのようなもので、そもそもロッカーアームがめっちゃ硬いのでそう簡単には削れません!
んで、右が仕上げ前で左がラッピン後。これさ、お高いロッカーアームの癖に仕上げが荒いんだよね~表面が研磨傷だらけだ・・・。爪で表面を擦るとやっぱりカリカリと抵抗があるんだわ~。
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それから、ピンが入る穴です。
始めにDLC仕様のピンにオイルをつけて差し込んでみると、やっぱりちょっと動きが鈍い。
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この状態で押し子の部分が自重で下を向くのがベスト。
原因はコレ
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この部分はオイルの潤滑が重要なため仕上後にホーニングが施されている(エンジンのシリンダと同じ)。しかしホーニング面もやっぱり表面はギザギザになっているのでコレもリューターのゴム砥石で軽く磨きます。こんあ感じに↓
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このホーニングの傷はオイルの保持に使う重要な『溝』なので全部取ってしまってはダメ!!ラッピングなのであくまでも面仕上げです。
この手間をかけるだけでこのとうり!
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ロッカーアームは自重で下を向くようになりました♪(動画じゃなくてすまん!)
これが『アタリが出た状態』なのです。厳密に言えば(またか!)完全に出た状態ではないが、エンジンの初期動作としては一番良い状態からスタートできるわけだ♪
ちなみに今まで使ってたピンに通してみたが・・・・ラッピングしても動かず。
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まぁもともと傷があったからな~。でもそう考えると低摩擦高強度のDLCは凄い!これはお勧めのアイテムだ!


次回はやっとこ組み立てに入ります!
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ではまた!
アディオス・アミーゴ!

(ノ゚Д゚)八(゚Д゚ )ノ