つい先日2019年のドイツ年間ボードゲーム賞が発表されました。

そのエキスパート部門の大賞に見事選ばれたのが「ウィングスパン(Wingspan)」ですが、こちらの日本語版の発売がアークライト社から発表されています。

「ウィングスパン(Wingspan)」は非常に珍しい野鳥を扱ったボードゲームで、そのコンポーネントの質やアートワーク、ゲーム性などから、発売後に世界中で話題沸騰し、世界的に売り切れが続出していたほどの超話題作です。

 

そういうわけで、今回はこの話題のボードゲーム「ウィングスパン(Wingspan)」について紹介します。

 

(2019年10月追記)

あまりにも予約の売れ行きが良すぎてプレミア価格でしたが、既に追加再販がかかっています。

入手し損ねた方はチェックしておくことをおすすめします。

 

重大なエラッタは無さそうです。

流石にボードゲーム大賞受賞の話題作なだけあって気合を入れて調整したのでしょうか。

事前頒布とかもしてましたし、その時点でアークライト社としては外に出せる自信ありということなのでしょう。

まぁ、元々の英文を知らないとエラッタも何もわからないですけどね(笑)

エラッタ関連の情報は、気になる方も多いと思いますので、随時更新したいと思います。

 

以下軽微な気になるエラッタ等です。

 

本家との違いとして、日本語版特有の調整(野鳥の日本語名と英語名、ドイツ語名の長さが違うことによる調整)があるのがわかっています。

これは版元と確認した結果調整されたとのことなので、そこまで気にする必要は無いかと思います。

 

「カンムリウズラ」などの起動時効果:あなたの鳥は卵1個を産卵し、この鳥の上に置く。

これは英語版では「Lay 1 卵 on this bird.」、つまり「卵を1個この鳥の上に置く」という文になります。

この文がどうしてこうまどろっこしい日本語になったのか(笑)

エラッタとは言い難いですが、他の鳥も産卵するような書き方は完全に誤解を招きますね。

なんとも微妙な日本語訳。

 

「ニシマキバドリ」などの起動時効果:各プレイヤーの鳥は卵を1個産卵し、[特定の巣]を持つ鳥の上に置く。あなたは更に追加で1個の卵を、[先ほどの巣]を持つ鳥の上に置いても良い。

英語版「All players lay 1 卵 on any 1 bird [with a specific nest]. You may lay 1 卵 on 1 addittional bird [of the same nest type].」。つまり、英語版であれば、「各プレイヤーが特定の巣の鳥1体の上に卵を1個置く。あなたは同じタイプの巣にもう1個卵を置ける」という効果なのに対して、これまた日本語版では、全ての鳥が卵を産んで大量に卵を置くかのような効果に勘違いします。

「カンムリウズラ」と同じように、まどろっこしい日本語にした結果、完全に誤解を招く効果に。

これはエラッタと言われても仕方が無いですね。

All players layとなっているのが曲者ですね。

「全てのプレイヤーは卵を1個産卵する」だと確かに違和感ある日本語だが、「全てのプレイヤーの鳥は卵を1個産卵する」だと今回のようなエラッタ疑惑になる。

 

個人的には全く見当違いな酷い誤訳とまでは思いませんが、何とも言えない感じです。

今見つかっている2件とも似たようなミスなので、こういう記述にしてしまった理由があるはずで、何故こうなったかはファンとして気になります。

再発防止のため「なぜなぜ」分析をお勧めしたいですね。

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↓今年1番の話題作の日本語版が遂に発売

ウイングスパン 完全日本語版

2019年の超話題作「ウィングスパン(Wingspan)」遂に発売!

↓これまでのボードゲームには無かった雰囲気を感じさせるコンポーネント群

「ウィングスパン」の話題性

今回紹介するウィングスパンは、発売当時から、世界中でかなり話題沸騰の話題作で世界的に品薄が続いていたほどの作品です。

それこそドイツ年間ボードゲーム賞でエキスパート部門の大賞を受賞する前からです。

 

このゲームのデザイナーはアメリカ在住の女性デザイナー「Elizabeth Hargrave」さん。

元々全くボードゲーム作成とは縁の遠い仕事をされていた方だったらしいですが、趣味のボードゲーム好きと自然や野鳥観測好きが相まって、野鳥を扱うこのボードゲームの着想を得て、ボードゲームデザイナーに転身したらしいです。

女性ボードゲームデザイナーって、実はあまり名を聞かない気がするのですが、本作品が妙に女性ウケが良いのは女性ならではの目線で作られているからかもしれないとふと思ったり。

 

発売当初からかなり話題になっていたので、2019年5月にボードゲーム大賞ノミネート作品が3つ発表されたときは、やはりといった感じでした。

当然多くの方がこの「ウィングスパン」が大賞を取るであろうと予想していたようです。

そして、期待を裏切らず見事エキスパート大賞を受賞。

(他にノミネートされていたカルペディウムとディテクティブもかなり面白そうではありましたが・・・)

 

↓2019年ドイツ年間ボードゲーム大賞関連の記事

https://ameblo.jp/amappai/entry-12462943664.html

 

デザイナーに転身してから単独で作成された1つ目の作品がいきなり見事のボードゲーム大賞受賞。

非常に素晴らしく夢のある話ですね。

ただ、たまたま運で取れるような賞では決して無く、しっかりしたゲームデザインに裏付けされた結果だと思います。

 

↓GENCON2019でのデザイナーインタビュー

https://www.youtube.com/watch?v=Mo3M8Zv_AH4

「ウィングスパン」のゲーム概要

このゲームの概要について説明していきます。

 

「野鳥」をテーマにしたゲームです。

 

ゲーム中には150種類を超える野鳥カードが登場します。

また、それらは1枚1枚が別の野鳥になっており、生息地や体長、見た目にフレイバーテキストの説明など、全てが実際の野鳥のデータを元にしているというから驚きです。

カード1枚1枚を見ているだけで楽しくなるゲームでしょう。

テラフォーミングマーズなどもそうですが、被りが無いカードをかなりの枚数用意するのはかなり大変だと思います。

ただ、昨今のボードゲーム業界では、それがかなり高く評価されているようです。

 

↓1枚1枚が全て異なる、見るだけで非常に楽しくなる野鳥カードたち

 

それらの野鳥の食料として「麦」「魚」「果物」「ネズミ」「ミミズ」トークン、生息地として「湿地」「草原」「森林」が登場します。

色とりどり(!?)の卵トークンなんかも登場します。

巣に見立てたダイスロール用のダイスタワーも入っています。

 

この辺の要素は、ミミズやネズミなどリアルに基づいているため好き嫌いありそうですが、正直好き嫌いせずに一度プレイしてみるのをお勧めします。

プレイしたことが無いのは勿体ないレベルで、絶対に面白いという感想になると思います。

 

ちなみにプレイヤーは野鳥観測者の立場です。

「野鳥」達は「餌」を求めてプレイヤーボード上の「生息地」にやってくる。

「野鳥」が卵を産んでまた「野鳥」が増える。

様々や野鳥やそれらの卵で徐々にボード上がにぎやかになって行く。

 

全体の雰囲気を表現すると、そんな感じの流れを楽しむゲームです。

「ウィングスパン」のコンポーネント

このゲームの大きな魅力の1つがここです。

私はそこまでコンポーネントは気にしない方なのですが、このゲームにはかなりやられました。

 

コンポーネントへのこだわりは素晴らしいの一言です。

コンポーネントが頑張り過ぎていて、遊ぶだけで楽しくなるゲームですね。

 

元も子もないことを言えば、サイコロなんて振れれば良いだけじゃないですか。

なので、別にダイスタワーは入ってなくて良いんですよ。

それをわざわざ鳥の巣を模したダイスタワーとしてコンポーネントに入れる。

 

同様に、鳥の卵にしても、卵を表すチップなり汎用的なコンポーネントでも良かったんですよ。

それをわざわざ卵型のコマにして更に楽しさを出すために色もカラフルにする。

 

これらのこだわりの結果、遊ぶ方はもの凄い没入感を持ってこのゲームを遊ぶことが出来るわけです。

ペラペラの紙トークンでも遊べるっちゃ遊べるわけですが、折角遊ぶならやっぱり豪華なコンポーネントで遊ぶとやはり楽しさも増します。

 

これが作者の野鳥への愛が感じられる素晴らしいこだわりだと思いますし、このゲームが高く評価された要因の1つなのは間違いないでしょう。

 

ちなみに、卵を入れるための巣型のトレイや、5種類の餌トークンを更にリアルにしたトークンなど、コンポーネントアップグレード品がサードパーティから販売されていますが、これらも非常に大人気のようです。

もしコンポーネントに更にこだわりたいという方がいればそちらに手を出してみるのも良いでしょう。

 

↓卵トークンを置いておくための巣型のトレイ。より雰囲気が出ますね。

 

↓コンポーネントへのこだわりも魅力

ウイングスパン 完全日本語版

 

「ウィングスパン」のゲーム性

見た目はわかったからゲーム性はどうなんだ?って話ですが、

ゲームとしては、各種野鳥カードが、置いて発動する即時効果、他人のプレイで発動する効果、自分のプレイで発動する効果、などを持っており、それらを組み合せることで野鳥が更に増える仕組みを作って行く、というエンジン構築型のボードゲームになります。

 

野鳥カードの効果で徐々にやれることとその効果が増えていき、次のターンが楽しみになるというのはある意味ボードゲームの王道ですが楽しいですね。

コンポーネントの質の高さも魅力的ですが、ゲーム性は普通に良くできているゲームだと思います。

鳥が特殊能力を持っていてそれらでエンジンビルドする、という点は流石に若干違和感ですが、それ以外の部分はゲーム性と野鳥というテーマは上手くマッチしていると思います。

 

プレイヤー間のインタラクションは、他人のプレイで発動する鳥カードを置いている場合に発動する位で、そこまで多くはありません。

そのため、ドミニオンのようにソロプレイ感は若干感じるゲームかもしれません。

「ウィングスパン」のプレイ人数

このゲームのプレイ可能人数は1~5人です。

BGGによると、ベスト人数は3人となっています。

これはドミニオンのようにソロプレイ感が若干強いため、人数が増えると、楽しさよりもプレイ時間が増えるデメリットの方が大きいからでしょう。

ただし、プレイヤー間で競い合う勝利点や他プレイヤーの行動で発動する効果などのインタラクションもあるため、2人ではやや物足りない、3人プレイベストっていう評価なんだと思います。

 

ちなみにソロプレイも可能になっています。

確かに他のプレイヤーがいなくても自分だけで野鳥の住処を作ることの出来るシステムになっていますね。

私のようにソロプレイ好きな方は要チェックです。

いつもアークライト社製品のように裏箱に「ソロプレイ可能!」って書いてあることでしょう(笑)

「ウィングスパン」のプレイ時間

公式のプレイ時間は40分~70分

ただ、ボードゲームって公式時間内ではまず終わらないので、実際には60分~90分位でしょう。

長考しすぎる人がいなければ、2時間はかからない感じ。

重量級に片足を突っ込んだ中量級という感じですね。

 

他のプレイヤーのプレイ中はあまりやることが無く、プレイ人数に依ってもプレイ時間は変わります。

3人プレイで60分位で終わるのを目指してプレイするのが気持ち良くプレイするにはベストでしょう。

 

重量級特有の重すぎて疲れるというのが無く、疲れ果てる前に終わってくれるので、かなり気楽にプレイできるプレイ時間だと思います。

「ウィングスパン」の発売について個人的な感想

私がこのゲームを初めて知ったきっかけ、英語版を買ってきた知り合いがいたからです。

 

いきなり持ち込まれた謎のゲーム。

非日常感あるボードゲームが好かれる昨今で、「野鳥」という全くイメージのつかないテーマのゲーム。

最初は「野鳥のゲーム?」「それ楽しいの?」という感じであまり魅力に感じていませんでした。

 

しかし実際にプレイしてみると、非常にわかりやすく良くできており、テーマもゲーム性に上手くマッチしており、何より綺麗なコンポーネントや非常に新鮮なテーマで、このゲームの魅力に気付くには時間がかかりませんでした。

普段重めのゲームは敬遠するような女性の方からの評判も非常に高く、幅広い層にウケる魅力を持っているボードゲームでした。

 

当時は気になってチェックしている作品の1つになっていましたね。

 

そして2019年5月のボードゲーム賞のノミネート発表では、満を持してエキスパート大賞にノミネート。

数々の重ゲーが出ている中で、あのゲームがノミネートされたかとワクワクすると共に、ノミネートされたことに関しては、あれだけの話題作だしやっぱりかという感じで、そこまで驚きはありませんでした。

個人的には重量級ボードゲームとまでは行かないので、通常のドイツ年間ボードゲーム大賞でも良かったんじゃないかとは思います。

 

そして当然のごとくボードゲーム大賞のエキスパート大賞受賞。

テーマ・コンポーネント・話題性などが当時満点のゲームで、大方の予想通りやっぱりかという感じです。

 

気になっていたのは本作の日本語化の話。

自分でも欲しいが英語版を日本語化するくらいなら、日本語版を待ちたいという思いがありました。

流石にボードゲーム大賞にノミネートされており、更に世界中で話題沸騰になっていた本作品。

どこかが日本語化してくれるとは思って待っていました。

そして遂に重量級ゲームを出すことに定評のある、アークライト社から日本語化されることになったわけです。

 

当初は2019年11月発売予定となっていましたが、少し早まって2019年10月中旬に発売となりました。

同じくエキスパート大賞を受賞したクアックサルバーに比べると若干遅めの発売でしたが、来年とかにならずに遊べそうで良かったです。

 

カードのテキストが多いゲームなので、いつものようにエラッタが気になるところですが、最近の同社の質の改善への取り組みぶりを見ていると、質に関しては期待しても良さそうです。

この辺に関しては、気が付いたら追記したいと思います。

 

最近こればっかり言ってますが、ここ最近のアークライト社のラインナップは凄まじいですね。

毎月のように欲しい気になるボードゲームが出てきます。

毎月の出費もかさみますが嬉しい悲鳴ですね(笑)

 

ウィングスパンの値段自体は、ゲームボリュームやコンポーネントを考えると妥当な値段かと思います。

英語版と比較しても特に高いわけでも無く、むしろ安い位です。

もう少し強気な値段設定にしてくるかと思いましたが、控えたんですかね?(笑)

 

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以上、2019年の話題作の1つ「ウィングスパン」の発売情報でした。

間違いなく今年の話題作の一つですし、2019年のおすすめゲームの1つです。

かなり珍しいテーマの野鳥ゲーム、気になる方は是非プレイしてみてください。

 

現在発売前にしてすでに品薄気味ですが、アークライト社の報告では近々増産した分が届くそうです。

話題作ですし当然と言えば当然ですが、焦らずに待ちましょう。

 

↓今年1番の話題作の日本語版が遂に発売。超人気作のため早くも品薄気味…

ウイングスパン 完全日本語版