今日ご紹介するのは、Edu Lobo(エドゥ・ロボ)が作曲、Torquato Neto(トルクァート・ネト)が作詞したPra Dizer Adeusです。

この曲は1966年にElis Regina(エリス・へジーナ)が元旦にリリースされたアルバム”Elis”の中で歌い、同年2月にはEdu LoboとMaria Bethânia(マリア・ベターニア)のアルバム”Edu e Bethânia”に収録されました。

この曲が作られた頃、EduもTorquatoも22,23歳の若者でした。
Torquato Netoはジャーナリストとして新聞の文化面を担当するかたわら、1960年代の前衛的な芸術のムーブメントであったトロピカリアの最前線に立ち、精力的に執筆活動を行いました。

Pra Dizer Adeusとは、さようならを言うためにと言う意味。

Torquatoは28歳の誕生日の翌日、妻と2歳の息子を遺し、自ら命を絶ちました。
この曲の中でさようならを告げたかったのは、トロピカリア以前の古い文化だったのか、それとも思い通りに生きられない人生だったのか、今となっては分かりません。

後述しますが、この曲は英語詞も付けられ、今に至るまで多くのアーティストにカバーされています。

さようなら
二度と戻らない
僕は知っている
どこに行くとしても
一人で行くことを

本当にひとりぼっち
愛しい人よ
僕が二度と帰ってこないなんて
考えるのはよくないこと

ああ、残念だけど
君をどれほど愛していたかを
どう伝えればいいのか分からない

来てと言いたかった
ただ来てと言うしか知らないんだ
それがさようならを言うためであっても
さようなら

1966年のアルバム”Edu & Bethâniaより。
Edu LoboとMaria Bethâniaのデュオです。



こちらはElis ReginaとZimbo Trioの共演。

エリスはライブでもスタジオ録音でもほぼ音質が変わらず安定していて、さすがと思います。

36で亡くなったことが残念でなりません。



Elizeth Cardoso(エリゼッチ・カルドーゾ)が情感たっぷりに歌っています。



この曲にはSergio Mendes TrioのリードボーカルであったLani Hallによって英語の歌詞が付けられました。歌詞の内容は若干原詞とは異なりますが、音楽の流れに調和した秀逸な訳になっています。



こちらはアルトサックス奏者であったキャノンボール・アダレイ・クインテットが1970年のモントレー・ジャズ・フェスティバルでの演奏を収録したライブアルバム”The Price You Got to Pay to Be Free”に収録されたもので、キャノンボール・アダレイ自身がボーカルを披露しています。



私がElla Fitzgeraldと並んで大好きなジャズシンガー、Sarah Vaughanの1979年にリリースされたブラジルの楽曲だけを歌ったアルバム”Copacabana”から。



フィンランドのギタリストJarkko Toivonen(ヤルッコ・トイヴォネン)のギターで、フィンランド人歌手のSari Ann(サリ・アン)がポルトガル語で歌ってます。



★ポルトガル語の歌詞とコード進行はこちらをご覧ください。
Principal, Maisのタブでコードの種類を選べます。



※毎週日曜日に掲載します。
次回は6/30です。