Osvaldo Molesは主にラジオで大きな功績を残し、数々の賞を受けた優秀なジャーナリストで、Adoniran Barbosaにラジオでの活躍の場を提供しました。
タイトルのTiro Ao Álvaroとは、アウヴァロ(男性の名前)を撃つと言う意味。
射撃の種類の一つであるTiro ao Alvo(ブルズアイ射撃)をもじったものです。
軍事独裁政権下では、政権に反対するものはAlvo(標的)と呼ばれました。
そこで、検閲を逃れるために、タイトルをTiro ao Álvaroとしたのでした。
この曲は1966年にOs Maracatinsによって初めてレコーディングされました。
しかし、アドニランの悪い予感は的中し、1973年に軍事独裁政権の検閲により、しばらくお蔵入りとなってしまったのです。
指摘されたのは、サンパウロ方言とも言える、automóvel(自動車)をartomorveと書いた部分などで、全くいちゃもんとしか思えないものでした。
次にレコーディングされたのは1980年で、アルバム”Adoniran Barbosa:70anos”にElis Reginaがボーカルとして参加しています。
このリリースから2年後の1982年、Adoniranは72歳で、Elisは36歳で逝去しています。
君の瞳にたくさん射抜かれて
僕の胸は・・・どうしてか分かる?
アウヴァロの標的には
もはや穴を開ける場所がない
ライフルの弾丸よりも
ストリキニーネの毒よりも
バイーアのペイシェイラ(注)よりも
多くの人を殺す
君のまなざしは
車にひかれるよりも
多くの人を殺す
リボルバーの弾丸よりも
多くの人を殺す
(注):Peixeiraは、魚を捌く時に使う刀で、殺傷能力もある。
そして、1980年のAdoniran BarbosaとElis Reginaのデュエット。
サンバ界の巨人 João Nogueira(ジョアン・ノゲイラ)を父として生まれたDiogo Nogueira(ジオゴ・ノゲイラ)の歌うTiro ao Álvaro。
次回は5/12です。