今日ご紹介するのは、 Vinícius de Maraes(ヴィニシウス・ジ・モライス)Toquinho(トッキーニョ)のコンビで作られた作品の一つ、Regra Trêsをご紹介します。
ToquinhoはViníciusより33歳年下で、1970年にViníciusのブエノスアイレスでのツアーに初参加した時はまだ25歳でした。
しかし、この2人の間に結ばれた友情は強固で、1980年にViníciusが亡くなるまで続きました。

Regra Três(3の法則)とは、スポーツのゲームで3人までの交代が許されることを意味します。
この曲が作られた1972年は、サッカーでも交代できるのは3人まででした。(今は5人まで)

Regra TrêsはViníciusとToquinhoの作品の中で最も知られている曲ではありますが、Toquinhoは歌詞がお気に召さなかったと言われています。
なぜならば、歌詞に描かれたのは、Toquinhoの実体験だったからです。

君が色々やらかすから
彼女は疲れてしまったんだ
それは君のせいだよ、若者よ
3の法則を悪用したけど
それは多用しないことに価値があるんだ


初めて彼女は泣いたけれど
一緒にいることを決めた
幸せな瞬間が
彼女の痛みの上に根を張っていたから
その後彼女は希望を失った
許すことにも疲れてしまったから


砂漠を楽しみたいならそうすればいい
いつか家庭が崩壊する日が来る
でもランプはつけておきなさい
ある日悲しみが訪れるかもしれないから
そして近くには酒を
君はきっと泣いてしまうに違いないから


当時Toquinhoには妻がいましたが、超売れっ子の彼を巷の女性たちがほっておく訳はなく、彼女は常に三角関係に悩まされていたのです。

Toquinhoは後年、インタビューでこのように述べています。

- Regra Três は、何かを主張したくて作られたものではありません。私がメロディーを書き、Viníciusは私があまり好きではない歌詞を付けました。
しかし、私が最初のバージョンが気に入らなかったことに彼は少し腹を立てて、歌詞を書き直しました。
その頃はたくさん恋をしましたね。エイズもなく平和な時代で、人々はより心穏やかに恋愛をすることができました。
Regra Três の歌詞は、当時の私のような人物に対して、「気をつけなさい、いつか傷つくから」と伝えています。
そこには警告の精神が含まれており、私が彼の最初のアイデアを拒否したことへの苛立ちが少し感じられます。-

Toquinhoは最終的にViníciusの書いた歌詞を承諾しましたが、彼によれば、Velho Sarava(老いたサラヴァ、Viníciusのこと)も、2か月毎に新しい女性と付き合う生活をしていたそうです。
ただし、Viníciusは、一度に2人の女性とは付き合わないことをモットーにしており、そのため生涯に9回結婚したと伝えられています。

こちらはViníciusとToquinhoの1973年のライブ録音です。
このアルバムは2000年を記念したミレニアムバージョンで、私も2000年の年明けをブラジル(の元カレの家)で祝った時に購入しました。



1972年のアルバム”Doris”に収録されたDoris Monteiroの歌。ブラジル音楽にハマり始めた頃、彼女のCDを毎日聞いていました。
昨夏に逝去したのは残念なニュースでした。


Viníciusをして、メンバー全員と結婚したいと言わしめた女性4人のグループQuarteto em Cyによるコーラス。


サンパウロのサンバグループ、Demônios da Garoa。先週もご紹介しましたが、こちらは2012年のリリースなので、雰囲気はだいぶ異なります。


Pamela D’Amicoは、ブラジルのサルバドールでイタリア系移民の家系に生まれ、現在はルーツであるイタリアで活躍するシンガーソングライターです。
ギターは彼女ではなく、Massimo Aureliの7弦ギターです。



★ポルトガル語の歌詞とコード進行はこちらをご覧ください。
Principal, Maisのタブでコードの種類を選べます。

 
※毎週日曜日に掲載します。
次回は3/31です。