カーニバルの季節が到来しましたね。

キリストの復活の日の46日前の水曜日(灰の水曜日)から、復活祭の前日の土曜日を四旬節と呼びますが、昔は四旬節には断食を行っていました。
その前にお祭り騒ぎをして楽しく過ごしたのがカーニバルの起源で、四旬節の断食の習慣がすたれたのちも、カーニバルだけは残りました。

世界各地のカーニバルで最も有名なのはやはりリオのカーニバルでしょう。
今年は2/9から2/17まで開催されます。

そこで今日は、カーニバルにちなんだ曲をご紹介します。
Chico Buarque(シコ・ブアルキ)が作詞作曲したNoite dos Mascaradosです。

この曲は偶然の産物でしたが、シコの代表作の一つに数えられる名作となりました。
1966年、シコ・ブアルキは、リオのナイトクラブArpègeのショウ”Meu Refrão”のために16曲の作品を準備していました。
しかし、当時は軍事独裁政権の統治下にあり、検閲は必須。そのうちの1曲が発禁処分となってしまったのです。
その置き換えとして作られたのがNoite dos Mascaradosでした。
Noite dos Mascaradosとは仮面を付けた人たちの夜と言う意味。
ちなみに、ヴェネチアなどではカーニバルには仮面を付けて楽しむことで有名ですが、私が知る限りブラジルにはその習慣はありません。

-君は誰?
- 私のことを気に入ったなら、当ててごらんなさい!

今日は仮面を付けた2人が相手を探し、こんなふうに尋ねる
- 君は誰、教えてほしい...
- あなたの手札を知りたいの...
- 君のブロコ(注1)にメロメロなんだ...
- あなたの火で燃えつきたい

- 僕はセレステイロ(注2)、詩人、歌手
- 私はいつも愛を見下してるだけ
- パンデイロ(注3)は持っているよ
- ただギターが欲しいの
- お金なら溢れるほど持ってる
- 私は一銭も持ってない。旗手だったけど、踊り方はわからない
- 謙虚さはさておき、僕はサンバを踊るために生まれた
- 私はとっても女の子なの...
- 僕の時間は過ぎた...
- 私はコロンビーナ(注4)

- 僕はピエロ!

しかし、これはカーニバル!
自分が誰かは名乗らないで!
明日にはすべてが元に戻る
フェスタは終わりつつあり
船は進みつつある

夜は明けるままに任せましょう
今日の私はあなたの望む通り
君が誰であろうと、求めるものは与えよう
神が望むなら

(注1) ブロコとはカーニバルのグループのこと
(注2)  セレステイロはセレナーデを作曲したり奏でたりする人
(注3) パンデイロはタンバリンに似たブラジルの打楽器
(注4) コロンビーナはイタリアでCommedia dell’arteと呼ばれる仮面を使用した演劇の登場人物の一人で女の召使。ピエロの恋人。

この曲はChico Buarqueの1966年のアルバム” Chico Buarque de Hollanda - Volume 2”にJane Moraesとのデュエットで収録されています。


Nara Leão(ナラ・レオン)は1967年にリリースされたアルバム”Vento de Maio”の中でGilberto Gil(ジルベルト・ジル)との掛け合いを披露しています。


こちらはNara LeãoとChico Buarque、それにMPB4による歌と演奏の貴重な動画です。
Naraが早世したことはくれぐれも残念です。


サンバの軽快なリズムに乗って歌うのはSimone(シモーニ)。


お友達の日本人女性Makoさんがパンデイロで参加している女性だけのサンバグループMulheres de Chico(ムリェリス・ジ・シコ)による演奏。
Mulheres de Chicoとはシコの女たちと言う意味で、Chico Buarqueの曲を好んで演奏しています。