今回ご紹介するのはDjavan(ジャヴァン)Sinaです。

この曲は1982年にリリースされたDjavanのアルバム”Luz”に収録されました。このアルバムは、表題曲のLuzのほか、Samurai、Açaí、Capimなど名曲揃いです。私はもちろん持っています。

軽快なメロディとは裏腹に、Sinaとはポルトガル語で宿命を表す言葉です。
そう言えば、fadoも元々は宿命を表す言葉でした。今は、ポルトガルの伝統音楽のジャンルとして有名ですけれどね。

同じアルバムに収められたAçaíとSinaとの共通点は、いずれも歌詞が名詞の羅列で構成されていることです。
ポルトガル語は押韻を重要視する言語で、Djavanはそれを巧みに用いて、歌詞に輝きを持たせています。
Açaíの場合は、Solidão - assombração - coração 
Sinaの場合は、mina - sina - rotinaと言った具合に。
しかし、日本語に訳すと、味気なくなってしまうのが悩みです。

父と母、金の鉱脈
心、願望、運命
すべてが純粋なルーチン
ジャズ
その名を奏で
愛を語る
僕のプリンセス
自然のアールヌーボー
すべてが純粋な美しさ、ジャズ

大いなる喜びの光は
運命のネオン

喜びの叫びが
響き渡る時
ヘベヨン(注1)

月の光、ヒトデ(注2)
太陽と恵み
ある日この前線の熱情は
音が出るまで
夢を磨くだろう
まるですばらしく
「カエターノ」したい(注3)
かのように

(注1) Réveillon(ヘベヨン)は大晦日のディナーを表すフランス語が語源だが、ブラジルでは年越しパーティ(多くの場合、やや羽目を外した)を表す。
(注2) ヒトデのことをポルトガル語ではEstrela-do-mar(海の星)と呼ぶ。
(注3) Djavanはこの曲の中で、caetaniar(カエターノする)と言う動詞を創作した。カエターノとは、シンガーソングライターのCaetano Veloso(カエターノ・ヴェローゾ)のこと。

 
まずはDjavanの歌を紹介します。
この曲を歌った時のジャヴァンは33歳でした。
今は74歳ですが、若い頃の体型をキープしていて、昔と変わらぬイケオジです。



Caetaniarと言う単語の語源となったCaetanoとの40年前のライブ共演。2人とも若くて細いなぁ。



Cazuza(カズーザ)からブラジルのビリー・ホリデーと呼ばれたSandra de Sá(サンドラ・ジ・サー)の歌。


Luis Caldasの弾き語り。
なかなか味があっていいですね。
これ聞いたら、Sinaは昔ボサノバギターを習っていた時の課題曲だったことを思い出しました。


フランスの歌手Clémentine(クレモンティーヌ)が歌うSina。あのキュートだった彼女も今は還暦とか。


★ポルトガル語の歌詞とコード進行はこちらをご覧ください。
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※毎週日曜日に掲載します。
次回は10/8です。