Moi! 暑くて溶けそうな東京を脱出し、先週半ばからフィンランドに来ています。
昼間は涼しくて快適なのですが、夜は15度くらいに冷え込み、ユニクロのウルトラライトダウンを持ち歩いています。

さて、前回まで3回に亘って紹介してきたJoão Donato(ジョアン・ドナート)特集は、今回で一応最後とします。

今日ご紹介するのは、Nasci Para Bailar(踊るために生まれてきた)です。
ポルトガル語で踊ると言う動詞は、Dançarが一般的で、あまりBailarは使いません。
一方、スペイン語では、Bailarが最もよく使われる表現です。

歌詞に登場するボレロやチャチャチャは、キューバ音楽のリズムです。
ブラジルとキューバは、いずれもナイジェリア周辺から奴隷として連れて来られた人々の子孫で構成されており、宗教、音楽、食文化など類似点が多いのです。

この曲を最初に歌ったのはNara Leão(ナラ・レオン)で、1982年にリリースされた同名のアルバムに収録されています。

João Donatoは、毎年キューバの首都ハバナで開催されているFestival Internacional Jazz Plazaに参加するため、2008年に同地を訪れ、キューバ音楽界を支えるミュージシャンとの交流を行いました。
その模様を撮影したドキュメンタリー”Nasci Para Bailar”が、テテ・モライスの監督により映画化され、2009年に公開されています。

七つの山を越え
海に辿り着いた
踊るために生まれてきたから
細道と格子戸を開いた
通り抜けるために
踊るために生まれてきたから
ボレロを踊る
サンバを踊る
チャチャチャを踊る
踊るために生まれてきたから


ライムンドと合わせて
この世界は方向転換
浅く行ったり
深く行ったり
ある日そこに辿り着く

旗を振り
足技を使い(注1)
引っ掛けて倒す
スルド(注2)と鍋と
アタバケとガンザを叩く
踊るために生まれてきたから
(注1) 足技のくだりは、ブラジルの格闘技の一つであるカポエイラを表すと思われる。カポエイラは、足だけを使い、相手を倒す。
(注2) スルド、アタバケ、ガンザはいずれもサンバの演奏に使用される打楽器。

こちらは前出のアルバムに収められたNara Leãoの歌。



2018年4月に収録されたJoão Donatoの演奏。
楽しそうに歌ってはいますが、ところどころ歌詞を飛ばしたり、音程が外れたりしているのはご愛嬌です。この時すでに83歳でしたからね。


こちらはインストバージョン。


Paulo André Barata(パウロ・アンドレ・バラタ)の歌。ピアノ演奏はJoão Donatoです。


João Donatoと同じアクレ州の出身で、欧州を中心に活躍したNazaré Pereira(ナザレー・ペレイラ)による歌。
1994年にフランスでリリースされたアルバム”Brasileira, tout simplement”に収録されたものです。



ブラジル北部パラー州の州都ベレン出身の歌手Lucinha Bastosの1998年のアルバム”Canta a Amazônia”から。


★ポルトガル語の歌詞とコード進行はこちらをご覧ください。
Principal, Maisのタブでコードの種類を選べます。


※毎週日曜日に掲載します。
8/20は夏休みとさせていただきます。
次回は8/27です。