“松本 明慶(まつもと みょうけい)氏のお話です。
松本氏は、
天才仏師といわれ、
17歳のとき、4歳年下の弟の死をきっかけに仏像を彫り始め、
19歳で大佛師・野崎宗慶に弟子入りし、
以後40年以上、仏像彫刻一筋に打ち込んでいる方です。
そんな松本氏が、
師匠から教わった最後の口伝
「一休さんと船頭」をご紹介させて頂きます。
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ある日、
一休さんが船で京都から大阪へと木津川を下る時に、
船頭さんが、
「この世には地獄と極楽があるらしいが、
この世に佛さんが本当におられるのならば、
是非見せてくれ。
あなたは高僧なんだから、
私に佛さんを見せることなんて簡単でしょう」
と訊ねたところ、
「分かりました。
佛さんを見せて差し上げましょう。
そのかわり、
大きな声で、
“佛来い!”と叫びながら船を漕いで下さい」
とおっしゃった。
船頭さんは一生懸命大声で
「佛来い。佛来い。」と叫びながら、
もくもくと棹をさし続け目的地の淀屋橋に着きました。
大阪で用事を済ませた一休さんが、
先ほどの船頭に「おい船頭、佛を見たか。」と訊ねると、
「お蔭様で、佛さんが見えました。」と・・・。
※「佛を見る」とは「幸せを感じる」というような意味です。
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師匠の話はここでプツッと終わり、
無言で仕事を続けられ、この話の先を伺うことはできなかったと・・・
この時19歳だった松本氏は、
師匠の言わんとすることがさっぱり・・・
ようやくその真意が理解できたのは、
時が流れて35歳になった頃と言います。
松本氏曰く、
「佛来い」とは、
自分がどれだけ心の底から求めて、
その道に打ち込んだのかで、
すべてが決まるのだと。
この船頭さんは、
「佛来い」と叫んでいたから、
いつもより力が入っていた。
それに、
佛が見たいから一所懸命漕いだ。
つまり、
自分の仕事に一所懸命になったら、
認められ、評価され、感謝の言葉とおひねりがもらえる。
だからこの世で佛が見たかったら、
自分の職業に一所懸命打ち込めということ。
素晴らしいお話ですね♪
「ロープウェイできた人は、登山家と同じ太陽を見ることはできない」
とは、
フランスの哲学者アランの言葉です。
「なんの苦労もせずに簡単に登ってきた人が見る太陽は、
厳しい鍛練を重ねて自分の足で頂上にたどり着いた人が見る太陽とは別物だ」
ということですね♪
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