はいれた!!!!www
歌を歌う男の姿がそこにはあった。
語るような歌も、詰るような歌も、愛を語る歌も、すべてが 本物だった。
ライブ中に しゃべりはほとんどなく、そこには 掻き鳴らされるギターの音と 歌だけがあった。
派手なパフォーマンスのひとつもなく、あるのはただひとつの音楽だった。
すべての客が 一瞬たりとも聴き逃さないように集中しているのさえ わかるほどに。
静けさが 痛かった。
照明に照らされた彼の横顔から 光が弾ける。
音楽が
温かい・・・
『えっと、、、まあ、今日はこんな感じ。来てくれてありがとう。』
フロアの照明がついた。
簡素なMCで閉じられた幕に、やっと会場が呼吸をはじめた。
『十瑠!』
『十瑠!!おい!聴こえてんのか?』
『え?あ、、、』
『水』
『あ・・・』
『タオルも』
『す・・すみません』
『あんなあ。水もタオルも、お前が握ってたら、俺は いつどうしたらよかったんだ?』
と笑ながら頭を撫でられて正気に戻った。
『ごめんな・・さい・・でした』
『は?』
『え、、、あ、、すみません。』
とたんに 笑い声が響いた。
『さて、ライブの感想は?』
と 改めて聞かれて俺は 迂闊にも 答えてしまったんだ。
『すごかった、、』
鎮魂歌
ステージ袖にいろといわれても、、とフロアに目をやると、オーナーと目があった。
口パクで(すみません)といい、頭をさげたら、明らかに笑われた。
何かを楽しんでいるようにしかみえない。
まあいい。今日のはさぼりじゃないし、理由はあるし。
そんなことをぐるぐる考えていたら、にわかにざわつき始めた。
ステージに明かりがつく
『悪いな。今日はメンバーは俺ひとりだから』
そんな言葉が客席に伝わっているのかいないのか 黄色い声が鳴りやまない
どんな音楽やったら、こんなことになるんだ?
ライブハウスは スタンディングで満員状態。朝の電車か?全く。
しかし、女子はいい。女子は。
なぜ、男子の客がいるんだ?
っていうか、男女比 変わんないのか、、、ひょっとして。
なんだ??なんで男子までもが この渋滞に身を寄せる?
客席の海をぼーっと眺めていたら、照明が消えた。
イントロが鳴った。
ギターの乾いた音がする。
『え・・・・』
信じられない。
つい何秒か前までは 譲コール で何も聞こえないほどだったのに、、、
あの瞬間。
あの、ギターの鳴った瞬間に、雑音が消えた。
長い 長い ギターイントロ。
まるで、静寂を楽しむかのような ギターの音が ライブハウスに こだま する。
息を吸う音がマイクにのって・・・・
俺は
俺は、俺の短い人生で
初めて
歌を聴いて号泣した。