ボイスドラマSTARGAZER番外編 最初の数日 初めての会話 | 天音鈴の人生楽しまなきゃ!!

結局 バイトに収まった俺は 毎日くるあのバンドのボーカルともなんとなく顔見知りになった。
けど、全くそれは 「バイト」と「お客」で、こっちを気にするでもなく 会話もなし。
ま、それは 光栄なことだ。
明らかに 彼の周りには面倒なことばかりが揃っている。

あのバンドのボーカル 「柿坂 譲」

彼のfanが多いことと 彼の揉め事が多いことは ライブがなくてもわかってしまう。

練習の日っていうだけで、出待ちの女の子がいるくらいだった。
正直 彼らのバンドの日は そういった雑用も増えるから なおさら気に入らない。

「十瑠??顔、眉間にしわが入ってるわよ?」

そんな風にオーナーに笑われる日々。

「そうだ!来週 ライブ入れてるんだよね~。けど、大問題」

オーナーはやや呆れ顔で言い放った。

「え??まさか、あのバンド 今のこの状態で ライブやるんですか?」

俺がこの店に面接に来て その日にもめてた女の子は どうやらバンドのドラマーの彼女だったらしい。その日以来 ドラムはなし。それと関係があるのかないのか、ベースの人もあれから来ていない。唯一来て 彼を説得しようとしていたキーボードの女の子は たった今 

「もう、本当に知らないからね!!」

と 去って行ったばかりだった。 

「ねえ、どうなると思う??」

と 俺に聞いてくるオーナーに

「いや、、、それは、、」

どう答えろって言うんだろう、、、、、

ただ、どう考えても ライブなんか無理だってのはわかるから
「その日のライブ、キャンセルにしたほうがいいんじゃないですか?」
と、俺がオーナーに口を挟んだときだった。

「お前、何者?」

それは ここに来て2週間目にして はじめて俺に向けられた言葉だった。


ガンッ・・

オーナーの後ろから 思い切り不機嫌そうに椅子が倒れる音がして 見ると 彼が立っていた。

「さて、俺のライブを中止してくれようって話は どこからきとんねん」

黒い不機嫌そうなオーラを纏って俺を見るその眼に 思わず直立不動になる。

「えっと、、、でもね、譲。十瑠くんの意見は 別におかしいことじゃないと思うわよ??ほら、今は メンバーさえままならないわけで、、、、ねえ、、、」

間に入ろうとしてくれるオーナーを避けてわざわざ俺の前まで来て 彼はこういった。

「十瑠か。。お前 来週のライブ 一番前でみとけよ?」

なぜか 笑いながらそう言い放つと

「オーナー ってなわけで、ライブはやりますから。
チケットもはけてるし、文句ないっしょ??」

という言葉を最後に 彼は出かけて行った。

「なんだ??」

という俺に オーナーが大笑いしながら 確かにこういったんだ

「気に入られたわねえ、、譲に」

そのときの俺には 何がどうなったらそんな言葉が出てくるのかも見当がつかず、ただ 何が起こったのかを判断することさえ できずにいた。