前回



✧*。*・゚࿐*⋆*🫧*・゚࿐*⋆*🫧✧*。















自室ではない天井が見える。

ぼーっとしたまま

記憶を辿る。


(大野さんに会いに行って、

そん時に、抱かれて・・・)


かぁっと身体が熱を帯びる。

誰に見られてるわけでもないのに

思わず顔を手で覆う。


「いや思い出しただけでコレって・・・

子供じゃあるまいし///」


「思い出した?なにを?」


「ッ・・・!!」


いつからそこに居たのか

大野さんの声に驚きすぎて

声も出ない。


「そんなに怖がんなくても・・・あぁ、まぁムリねぇか。

悪い。あんな風にスるつもりはなかった。

怖がらせたなら謝る。」


「ッ!違っ・・・!だってアレは、俺が」


(俺が望んだんだ)


言葉を途中で辞めて

黙り込んだ俺を

「カズ?」と、

心配そうに

俺の顔を覗き込んでくる。


「っ・・・! あの、ここは?」


あの後から俺の記憶はない。


「あぁ・・・俺の家だ。

気ぃ失ってるお前を

どこに送ればいいか分かんなくてな。」


気を失ってる、その言葉に

なぜだか恥ずかしくなる。


(いや、でもだからって自分の家は

いくら何でも不用心じゃない・・・?)



「ぁ、えっと・・・ありがとう、ございます」


「・・・お前、俺の記憶あんのか?」


そう言ってベッドに腰掛けてくる。


「ぇ・・・」


大野さんのどこか寂しそうな声色に

声の方を見つめる。


「大野、さん・・・?」


「敬語だし、あとその、大野さんって呼び方」


「違う、の?」


「ッ!・・・いや、やっぱいい」


急に口元を隠し

視線を逸らした大野さんが

どこかへ行こうとする。

その手を掴む。


「っ」


「なんでっ 教えろよ。

俺は・・・っ!

おおの、・・・アンタだけは

記憶喪失なっても覚えてた。

名前だけだろって思うでしょ?

それだけでも、どうしよもない気持ちになった。

会いたい理由がそれじゃ、ダメなのかよ・・・」


「・・・思い出したくねぇ事があるから

記憶喪失なったんだろ?」


そう言って俺を見つめ

頭を撫でる。


「でも、思い出したくないのは

アンタのことじゃない」


「忘れたまんまの方がいい事だってある」


そう言い残して大野さんは

部屋を出ていった。