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ランドリー室。

穴が開き血で染まったシャツを眺める。


(あぁ、もう捨てなきゃダメか)


「にのちゃんって、意外とエゴイストだね」


「翔さんっ?!」


後ろからの声に心臓が跳ねた。


「俺が、エゴイストって」


「さっきの女性、

サトシくんの心臓じゃなくて良かったね」


「ッ」


翔さんに全て見透かされてる。

それならもうとっくに

俺の心は真っ黒だとバレてるんだろう。

智さんの『心臓』になれないのなら

『心臓』が見つからなければ良いと

思っていることも。


その手を差し伸べてくれるだけで良かったのに。


傍にいたい、

永遠に、

俺だけのものにしたい、


もっと、もっとって欲深くなった。



「軽蔑、しましたか?」


「ううん。良いんじゃない?」


そう言った翔さんは

初めて見る顔をした。


「でも、そんなに心配しなくても

サトシくんの心臓は」


「ショウ、余計なこと言うな」


「っ?!智さんっ!」


気だるそうでいて

怒りがこもった声に振り向けば

顔色がいつもより悪い智さんが

壁にもたれて立っていた。


思わず駆け寄り

頬に手を伸ばす。


「寝てなくていいの・・・?」


「カズが隣にいてくれたら寝る」


そう言って

頬に触れてる俺の手を握り

もう一方は腰に回る。


「ッ///智さ、ん」


「じゃ、俺は帰るね。あ、にのちゃん」


「?」


《「明日、雅紀のとこにサトシくん連れてってね。

店は臨時休業ってことで」》


そう耳打ちする。

耳打ちしたって智さんには丸聞こえだろうに。

雅紀のとこってのは病院のことだ。


「お疲れ様〜」


ひらひらと手を振って

歩いていくその背に

「お疲れ様ですっ」と言うのが精一杯だった。

智さんに手を引っ張られ

俺はどこかへ

連れて行かれるところだったから。