* ˙˚🕸 𓆩✝︎𓆪 ˚˙*🕸 * ˙˚🕸 𓆩✝︎𓆪 ˚˙*🕸









「ん・・・」


時間(とき)よ止まれ、

そう思うのは

朝が来ると智は

金木犀の香りだけを残して

居なくなるから。


「・・・」


夜まで時間はある。

もう一度眠ろうと

布団に潜り込む。


うとうとしてきた頃

視線感じて

布団の隙間から

覗いてみる。


「・・・なんだ、潤か。」


「ククク・・・酷いな。

智さんがちゃんと飯喰わせろってさ。

お使い頼まれたの。」


(智がしてくれればいいじゃん)


「だよなぁ。オレもそう思う。」


「・・・勝手に詠むなよ」


「仕方ないだろ、オレも吸血鬼だからさ。

つうかオレだって翔との時間削られてんだよ、

さっさと喰いなよ」


「・・・潤じゃなく、雅紀が作ってくれたんだろ?」


「まぁそうだけど。

オレに人間の料理はムリ。」


肩を竦めて、

ムリってジェスチャーまで。


潤にとって智は

人間で言うと叔父の様な感じらしい。

雅紀は同じ吸血鬼だけど、

家系図には入らないのだとか。

翔さんは人間で、

一度会った事がある。

潤と雅紀の間に挟まれて

大変そうだなと思ったんだっけ。


翔は好きだけど

人の料理だけはオレには合わない。

だとか、ひとりぶつぶつと

話す潤。


この感じだと潤は

俺が食べるまで帰らない、というか

帰れないのだろう。

二度寝は諦めて食べることにした。


「・・・智さんに魅入られてんね」


起き上がった俺を見て

潤はそう言った。


俺には見えないけど

智のモノだっていうのを

纏ってるらしい。


「人間には分かんないだろうけど・・・

智さん怒らせないようにね」


そう言い残して

姿を消した。