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 side N











「ん、んん・・・」


見慣れない天井。

薬品じゃない匂い。


病院、じゃない・・・?


「頭、痛ぁ・・・」


額に腕をのせる。

なんか違和感を感じた。


「包帯・・・?」


手首に巻かれたそれ。

触れてから「しまった」と思った。

手袋をしていなかった。

でももう遅い。



『すまない・・・』


俺に手当する大野さんの姿。

苦しそうで

泣きそうな表情。


なんで、あんたが謝んの・・・?

そんな顔、しないでよ・・・


「・・・調子、狂う」



あの行為に感情なんてない。

ただ、あの熱から逃げたいだけ。

自分でするより

早く逃げれるから

誰かにして貰ってるだけ。


能力の代償、ただそれだけの行為・・・


たとえその行為に愛があったとしても

俺には愛がわからないから

意味なんてないけど・・・



寝返りをうつ。

どこかで嗅いだことのある香りがして

ふと我に返る。


「・・・ッ!ここ大野さん家?」


ガバッと起き上がる。


「ん?そうだが?」


「うわっ!」


まさか居ると思わなくて

心臓がバクバクする。


「身体は?大丈夫か?」


ベッドサイドに腰掛け聴いてくる。

頷くと安心したような顔。


その顔は・・・反則でしょ///


「和也・・・?」


顔を覗き込まれ

反射的に逃げる。


「・・・手袋!してないから

来ないでよ///


言い訳みたいだと

口にしてから思う。


なに焦ってんだ///


その答えは

自分でも分からなかった。