前回


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side N












───  翌日。




この日、俺は姉さんの事件で動いていた。


姉さんはあの日


帰宅中に拉致され、暴行された後、


銃で心臓を撃たれた。


手がかりは姉さんが握りしめていた


蝶をモチーフにしたネックレスだけ。


裏に『 T. 』という刻印があり、


ブランド品ではなく、


個人が作っている物だと判明した。


だが未だに


どこで入手出来るか分かっていない。


だから、


犯人もまだ目星すらついていない・・・



カフェで情報を整理していると、


スマホに通知が来る。


課長からだった。


『Sの情報通り

取引があり、

現場を抑えた。』


との事だった。


大野の情報はかなり大きい。


だが、


丸山の事以来、


エス工作に不安を感じていた。


はぁ・・・と溜め息が出る。



「溜め息は幸せを逃すよ」


と後ろから声をかけられる。


驚いて顔をあげると、


爽やかな笑顔の男性が立っていた。


「生田さん・・・」


生田斗真さんは姉の婚約者だった。


姉が亡くなってからも、時々会っている。



「久しぶりだな、カズ。」


「そうですね」


「仕事中だったか?」


「いえ、大丈夫です。」


「そうか。・・・つうか敬語はやめてくれ」


「あぁ、うん。」




久しぶりに会ったから


話し込んでいるとスマホが鳴る。



『O』と表示され、


一瞬眉間に皺がよる。


断りを入れ、席を立ち電話に出る。


外に出ようとして、体の異変に気づいた。



(あれ?お酒飲んでないのに・・・)



目の前が歪む。


『どうした?』


大野の問に答えたいのに、


うまく声が出ない。


「・・・なんか、へん、・・・」


意識が遠のきそうになる。


『二宮?』


「大丈夫か?!」


そう聴こえた後、


俺は意識を手放した。