長野の夜が凍る頃、東京の桜の葉が散ってゆく。


十二月の雨の温かさ。
ビルの谷間に微睡む木枯し。

たった二時間の距離で、季節はまるで貌を変えて。


まるでここには無い冬を愛おしむように、クリスマスツリーが百貨店を彩って。


同じ空の下。
同じ空の色。


十二月が過ぎて行く中、私はそれを眺めるばかり。
やわらかな空色をレンズ越しに捉えて、掌に置いて。
確かにここにいた記録を、こうして残せる事を、残した事を、いつか私は懐かしむのだろうか?

冬はゆっくりと夜を運んで、そっと朝を連れてくる。
微睡の季節。


深い夜の底に沈んだような、銀色の星が欲しくて。
ゆっくり広げた掌に、落ちる雨粒を拾っては溶かした。


明日は、少しだけ動こう。
出来ることは少ないけれど、それが私の小さな歩幅のひとつぶん。

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