春の中に君がいた 湿り気を含んだ風が吹いて さっきまで一つだった雲は分かれ 空の青が戻ってくる やけに色鮮やかな菜の花を横目に 自転車は滑るように坂を下りていく ブレーキから両手を放し スピードは加速していく まるで舞台のフィナーレみたいに 段々と胸はざわめき始めて そうだ、君に出会った時も 僕はたぶんこんな風に 失う事に鈍感で まだ別れさえ知らなかった 光と風と緑と花と 春の中に君がいた photo by acworks