新年の挨拶にあたる記事を更新して以来、一ヶ月半以上ブログを放置してしまった。特に忙しかったというわけでもないが、これと言ってブログに書くような出来事もなく、ただ日々が過ぎてしまった感じだ。緊急事態宣言が出ていたこともあって家の中にいる時間が多く、どこかへ出かけなければ写真も撮らないわけで、ベランダに出て空を撮影することにさえ意識が向いていなかった。
空白を埋めるように、たまには文章を書いてみようと思い、この記事を書いている。アイキャッチの写真は、数日前に図書館のエントランスで撮影したサクラソウだ。思い返してみれば、これが今年最初にGRで撮影した写真になる。春先になって梅が咲き始めると、今年の春はどんな花の写真を撮ろうかと考える。暖かくなって、外を歩くのが心地よくて、カメラ散歩が楽しくなる季節。植物が目覚める気配がして、春になると花の写真ばかりを撮ってしまう。
意識して目を凝らさないと、気づかないうちに、季節は足早に過ぎ去ってしまう。「何かしなければならない」という思いは、時に強迫観念にもなるのだけれど、変化の少ない生活にはある程度必要なものだと感じている。去年、自分が今まで撮影した写真を見返す機会があって、過去にあった色々なことを思い出した。それを思い出したからといって、何かが大きく変わるわけではない。しかし、自分は確かにそこにいたのだと、胸にこみ上げてくるものがあった。
私の人生にはこれ以上増すものがないし、たぶん、喜びよりも悲しみの数の方が多い。別に人生を悲観しているわけではなくて、ただの事実としてそう受け止めている。淡々とこの目で見たものを写真に残して、時々文章を書いて、いつまで続くかわからない日々を過ごす。昔のようにどこか遠くへ行きたいけれど、まだ当分は無理だろう。いつか、もう一度海を越えて、国境を越えて、一度も見たことがない風景を見ることができるだろうか。
パスポートの有効期限は切れたままになっている。更新するのをうっかり忘れていたのだが、今となっては、使う機会が失われてしまったのでこれといった支障はない。いつか新しいパスポートを手に入れる時まで、ありふれた風景を撮り続けようと思う。目的のない散歩もずいぶんしていないし、近いうちにカメラを持って外に出たい。すっかり重くなってしまった腰を上げて、天気の良い日に。
