
最近、宇宙や夜空の写真をよく見ていたせいか『四月、星が降る夜に』というタイトルがふと頭に浮かんだのだが、これと言って書く事が思いつかない。ブログ用の写真は某フリー素材のサイトを探して良さそうなものがすぐに見つかった。あとは文章だけという段階でこうして書き始めたもののまだ内容が決まっていない。
自分でテーマを決めて自由に文章を書くのは割と得意な方だと思っていた。明確な道筋さえ見えれば言葉を並べるのはさして難しい事でもない。しかし、今回のようにノープランだと話は違ってくる。そもそもこれは全く書く必要のない文章だ。小学校の時に出された作文の宿題とは違う。ましてや夏休みの日記でもない。
早くもこの文章を全部消してしまいたくなってきたが、ここまで我慢して読んでくれた方のためにもう少し頑張ろうと思う。私が初めて満天の星空を見た時の話でも書いてみよう。
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ただそこにいるだけで楽しかった。大学の卒業旅行。友達と2人でオーストラリアのケアンズに行った。2月のオーストラリアは真夏だ。日本が冬だなんて事はすぐに忘れてしまった。緑が濃くて、空が青くて、海が綺麗で。理由もないのに笑えるような旅だった。
記憶が少し曖昧になっているが、森に住む動物のウォッチングをして、バーベキューをした帰りの事だったと思う。ツアーのバスが広い平原のような場所に着いて、ガイドが観光客を外へ出るように促した。外の空気を吸って少し休憩するのかなと私は思った。
それがどういう時間だったのか実はよく覚えていない。どうして自分達はあの場所でバスを降りたのか、そこがケアンズのどこだったのか。本当に起こった出来事だったのかさえも。一つだけ鮮明に覚えているのは、はっとするような友達の一声だけで。
“見て! 空!”
満天の星空。あんなにたくさんの星を見たのは初めてだった。それまで、夜空を埋め尽くすような数の星はプラネタリウムでしか見た事がなかった。私の目は星空に釘付けになって、胸の中が言葉に出来ない感情で満たされていくのがわかった。自分はこの瞬間を、たぶん一生忘れないのだろうと思った。
人生には、嘘みたいに世界が美しく見える瞬間がある。その中の一つがあの時の星空だと私は思っている。限りある中の一つだったのではないかと。
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私の物語はこれでおしまいです。今でも、出来ればもう一度あんな星空を見てみたいと思う事があります。今の自分がそれを見てどんなふうに感じるのかはわかりませんが・・・。最後まで読んでくださってありがとうございました。
photo by acworks