どうして今まで気づかなかったのか ―――――。
 
 それは良く晴れた、暖かいある日の午後のことだった。いつもの通りを歩いていた時、神社の鳥居の向こう、その色が目に飛び込んできた。「あれ?」と思って立ち止まりかけたが、済ませなければならない用事があったので、そのまま前を通り過ぎた。
 
 
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 用を済ませて再び神社の前に戻ってきた。帰り道、ずっとこの目で確かめようと思いながら歩いていた。普段は滅多に立ち入らない、境内へと続く石段を上がる。
 
 
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あぁ、やっぱり。あの色だ。
 
 
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しだれ桜が一本、その鮮やかな色を誇るように咲いていた。
 
 
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空から降ってくるような桜の花。春の始まりを告げるようなその姿に、思わず見惚れた。
 
 
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誰もいない境内で一人、しばし桜と向き合った。ほんの数分、ただそれだけの出来事。
 
それが何かを大きく変えたわけではないけれど。
 
記憶の中で鮮明に、たぶん、いつまでも美しく。
 
 
私はその日、春に出会った。