
昼は暖かく、季節の変わり目が曖昧になっているように感じていた。金木犀の香りや、歩道に散らばったどんぐりや、夕暮れを見ることで、あぁ、今は秋なんだと確認していたような気がする。
秋という季節は、少なくとも私にとってはということだけど、新しく何かを始めるというような季節ではない。これから訪れる冬に向かって、ひっそりと準備をするというイメージがある。リスが巣の中に木の実を蓄えるように。
そのせいかどうかはわからないが、特別なことは何もない、淡々とした日々が続いている。ふと、どこか遠くに行きたいなぁと思うけれど、漠然として具体的なことは何も考えられない。
どうしても辿り着きたい場所、というものが、私にはない。昔はあったような気がするのだが、それがどこだったのか、いつの間にか忘れてしまった。二つに分かれた道のもう片方には何があったのだろう。
どれを選んだとしても、私は秋の空を眺めていたのだろうか。たぶんそうだろうと、何となく思う。ぼんやりと、涼しくなった風に吹かれて、そこに何があるわけでもないのに、私は。