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 10月に入ってから空ばかり見ていた。夕方になると部屋がオレンジ色に染まり始めて、その夕日の色に誘われるように、思わずベランダに出て空を眺めた。夕暮れの空は刻一刻と表情を変え、気がつくと夕日が沈んでいた。

 昼は暖かく、季節の変わり目が曖昧になっているように感じていた。金木犀の香りや、歩道に散らばったどんぐりや、夕暮れを見ることで、あぁ、今は秋なんだと確認していたような気がする。

 秋という季節は、少なくとも私にとってはということだけど、新しく何かを始めるというような季節ではない。これから訪れる冬に向かって、ひっそりと準備をするというイメージがある。リスが巣の中に木の実を蓄えるように。

 そのせいかどうかはわからないが、特別なことは何もない、淡々とした日々が続いている。ふと、どこか遠くに行きたいなぁと思うけれど、漠然として具体的なことは何も考えられない。

 どうしても辿り着きたい場所、というものが、私にはない。昔はあったような気がするのだが、それがどこだったのか、いつの間にか忘れてしまった。二つに分かれた道のもう片方には何があったのだろう。

 どれを選んだとしても、私は秋の空を眺めていたのだろうか。たぶんそうだろうと、何となく思う。ぼんやりと、涼しくなった風に吹かれて、そこに何があるわけでもないのに、私は。