ヴェネツィアは東方貿易で莫大な富を得て、かつては“アドリア海の女王”と言われるほど繁栄した海洋国家。“アドリア海の女王”という言葉を聞くと、私は宮崎駿監督の『紅の豚』を思い出す。世界大恐慌時のアドリア海を舞台に、飛行艇を乗り回す空賊と、それを相手に賞金稼ぎで生きるブタの飛行艇乗りの物語だ。


イメージ 1


 そんな華やかなイメージがあるヴェネツィアで、溜息の橋(ponte dei Sospiri)と名付けられた橋がある。16世紀に架けられ、ドゥカーレ宮の尋問室と古い牢獄を結んでいる。尋問を受ける囚人たちが溜め息とともにこの橋を渡ったという逸話からこの名が付けられた。

 溜め息の橋からの眺めは囚人が投獄される前に見るヴェネツィアの最後の景色だった。その憂いから囚人たちが溜め息をついた、ということもあるのかもしれない。そんな溜め息の橋も現在はヴェネツィアの観光名所。私が訪れた時は外観が工事中だった。実際この橋を渡ってみたが、暗く冷たい牢獄へと続く橋と、美しいヴェネツィアの眺めが、確かに溜め息を誘うような感じがした。


イメージ 2

イメージ 3

イメージ 4

イメージ 5

イメージ 6


 ラグーナを離れて、少し街の中を歩いてみた。今は観光者のためのホテルや店が多いが、かつてはどんな雰囲気だったのだろうと思う。最も繁栄していた頃の水の都。これからはどんなふうに変わっていくのだろう。それともこのまま何も変わらずに、今のままの姿であり続けるのだろうか。


イメージ 7


 一日だけのヴェネツィア観光はこれで終了。ボートに乗って次の都市へと向かう。“花の都”フィレンツェへ。

 最後に溜め息の橋のもう一つのお話。映画『リトル・ロマンス』でも描かれているが「溜め息の橋の下でキスをすると結ばれる」というジンクスがあるのだとか。日没の瞬間、ゴンドラに乗ってというのが条件らしい。本来の橋の意味を考えるとどうしてだろう?という疑問が浮かぶ“サン・セット・キス”の伝説でした。