アルコール依存勝者になる!!~奄美病院 アルコール依存症治療チームより~ -4ページ目

アルコール依存勝者になる!!~奄美病院 アルコール依存症治療チームより~

鹿児島と沖縄の中間あたりの離島、奄美大島にある精神科;(公財)慈愛会奄美病院でアルコール依存症の方を対象とした治療プログラム(ARP)を行なっているTeamによるブログです。
お知らせや飲まない仲間の集えるブログになればいいなと思ってます★

 11/14の家族会の資料です。今回のテーマは、『家族はどのように対応するとよいか』 です。


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(2)家族はどのように対応するとよいか 

 どのような病気であっても、家の中に病人がいると、周りの家族は影響を受けます。経済的な問題が生じたり、それまでの生活習慣を変えることが必要になったりして、家族は常に不安を感じるものです。

 アルコール依存症は、とりわけ家族を巻き込む病気です。家族の一人がアルコール依存症になると、家族全員がこの病気の影響を受けます。家族ばかりでなく、友人や知人、職場の人たちにまで影響は及んで、飼っているペットまでが情緒不安定になったという話もあります。

 患者が周囲の人に影響を与えるのはもちろんですが、人間関係とはお互いの関係なので、周囲にいる人たちも患者に影響を与えています。家族が患者に対して過保護になりすぎてしまい、本来ならば患者自身が自分の責任で処理すべきことを、家族が肩代わりしてしまう。それによって患者の回復が妨げられることがあります。

 夫が問題を起こすたびに、妻が夫の代わりに後始末をしている家庭を想像してください。「夫の不始末は妻の責任である」 あるいは 「家族の一員のおかした過ちは家族全員で償わなくてはならない」 という考え方は、日本の社会で広く認められています。 (もっとも最近はそのように考えない人も増えているようです) この考え方を否定するわけではないのですが、アルコール依存症の患者に対しては、接し方を変えたほうががうまくいきます。
 
 依存症者は「お前が○○したから、俺はイライラして飲むのだ!」と、飲酒問題を他人(特に妻)に責任転嫁しますし、親戚や隣近所の人たちは「妻の気配りが行き届かないから、あそこのご主人はアルコール依存症になったのだ」と噂をしたり、直接妻を批判することがあります。そのため、「夫がアルコール依存症になったのは、自分が妻として十分にお世話しなかったからである。私は妻失格だ。」と信じこんでいる女性をよくみかけます。このような人は、「自分の夫をアルコール依存症にしてしまった」ことに強い罪悪感をもち、恥ずかしいとの思いが強いため、他者に助けを求められなくなってしまいます。少し冷静に考えれば、妻がちょっと気が利かないくらいで夫がアルコール依存症になるはずなどないことくらい、すぐにわかりそうなものですが、いったん依存症者に巻き込まれると冷静な判断はできなくなってしまいます。

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 夫が泥酔状態で帰宅して寝室まで自分ではたどり着けず玄関で寝てしまった場合に、普通ならば、妻や子供が本人を寝室まで連れて行ってあげるでしょう。失禁していれば、着替えさせるはずです。「あ~あ、どうしてこの人はいつもこうなのだろう。お酒さえやめてくれればいい人なのに。」と思いながら。

 泥酔状態のときにおきたことを本人は覚えていませんから、翌朝目が覚めると、きれいな服を着て、きちんと自宅のベッドに寝ていると安心します。「ああ、昨日はよく飲んだ。途中から記憶がないけど、ま、大丈夫だったのだろう。」と考えます。たとえ家族が「昨日はお父さん、大変だったのよ!もうちょっと飲むのは控えてくださいね。」と注意しても、気にする様子はありません。ましてや、「あなたはアルコール依存症だから、病院を受診してください。」などと説得しても、まず受診してくれません。むりやり病院につれて行き、入院治療をすることに渋々同意させたとしても、患者は心の中では「俺は依存症なんかじゃないのに、むりやり入院させられた。」と考えていることが多く、家族は逆恨みされることになりかねません。

 ご家庭によっては、酒をやめさせようと思って、家にあるお酒を全部捨ててしまったり、どこかに隠していないか探し回ったりすることもあるようです。これらの行為も、本人の治療意欲を損ねる結果となります。

 もっとも本人は、自分に飲酒問題があることをうすうす感じていることが多いのです。でも、自分の気にしていることを他人に指摘されると、誰であっても不機嫌になるものですし、何より家族が患者のお世話をすることで、患者自身が問題に向き合えない状況になっているのです。人間はどうしようもなく困ったときや、切実な状況に陥らない限り、自分の過ちや自分に都合の悪いことは認めたくないものですし、長年なじんだ習慣を変えようともしません。

 では、患者が自分からすすんで治療を受けるように仕向けるためには、家族はどのように行動すればよいのでしょうか。 それは、

 『患者に、自分に飲酒問題があることに気づかせる』 

      ことです。そのためには、

 『飲酒にかかわる問題は、本人に責任をとってもらう』
 『家族が尻拭いをしない』 

      ことが大切です。

 ときどき、「こんな大酒のみのダメ人間は、私が面倒を見ないとどうしようもない」とばかりに、患者の人生の全責任を負う決意をしたような家族を見ることがあります。家族(多くの場合、妻)が頑張らないとこの人(多くの場合、夫や子供)はダメになると信じ込んで、家族の愛情で患者を立ち直らせてみせようと、異常なほど過保護になります。暴力を振るわれても耐え忍ぶ家族の姿もよくみます。「うちには子供が2人と大きな子供が一人いるのよ」と夫を子供扱いしてすべての面倒を見る妻もいます。これはこれで母親的な愛情にあふれて、素晴らしいことです。万事がうまくいっているならばよいのですが、アルコール依存症者に対しては、いわゆる母親的な愛情で接していてもほとんどの場合、状況は悪くなる一方です。

 『飲酒にかかわる問題は、本人に責任をとってもらう』
 『家族が尻拭いをしない』

別の言い方をすれば 『愛情を持って見放す』 ということです。

具体的には
 ・飲酒についての小言をいわない
 ・家にある酒を探し回ったり、勝手に捨てたりしない
 ・病院に無理やり連れて行かない。だまして連れて行かない。
 ・患者の汚したものは、本人に掃除させる・・・吐物、失禁など
 ・患者に代わって職場に連絡したり、
 ・飲酒問題についての話し合いは、しらふのときにおこなう
    「あなたはアル中なのだから、入院しないとダメよ!」と感情的に話すよりも、
    「あなたの状態を心配しています。」
    「私はあなたに病院を受診してほしいと思っています。」
     のように伝えるほうがうまくいきます。
 ・守れない約束はしない。約束したら必ず守る。
    たとえば、実際には離婚する気がないのに
     「今度飲んだら離婚する!」
    などと言わない。
    このようなことを言ってよいのは、本当に離婚する覚悟ができたときです。
    あなたが本気であることは、必ず相手に伝わります。
   (逆に、あなたがいつも変わらぬお説教モードであるときも相手はよくわかっています)
 ・ひとりで抱え込まない。なるべき問題をオープンにする。いろいろな人に相談する
    ・・・保健所、民生委員、病院など 
 
 酒を飲み続けるか断酒するかの決断は、本人にしかできません。家族ができるのは、本人が飲酒問題に気づいて治療を受け断酒することを願いながら待つことくらいです。
とはいっても、家族が受け身の被害者であり続けるのではありません。本人が飲酒問題に気付けるように、対応方法を変えることはできます。もし本人が飲酒をやめず問題を起こし続けるならば、その人のもとを去る決意をすることもできます。

 もし暴言や暴力の被害にあっているならば、一刻も早くその場から逃げないといけません。警察を呼ぶことも必要です。家族の問題に警察を介入させるなんてと思われるかもしれませんが、警察を呼ぶことによって「警察が来るほど大きな問題を自分はおこしている」ことを本人に気づかせることができるのです。近所の人に迷惑をかけるからとか、恥ずかしいから警察なんて呼べないと考える人もいます。でもあなたの家族にアルコール依存症者がいることは、近所の皆様はすでに知っています。今さら隠そうとしても無意味です。

 残念なことなのですが、仕事を失い、家庭を失い、すべてを失うまで、飲酒問題に気づけない(あるいは、気づいていても断酒することができない)人は少なくありません。どこかで気づいて断酒しなければ、アルコール依存症者は短命です。石原裕次郎(享年52歳)、美空ひばり(同52歳)、横山やすし(同51歳)・・・  アルコール依存症で亡くなった方を思い浮かべてください。平均寿命は52歳といわれています。

 
 患者自身に責任を取らせるべきである、家族は尻拭いをしてはいけないという話を聞くと、人によっては、ここぞとばかりに極端に患者を放置することがあります。「酒を飲むか断酒するかは本人次第。生きるも死ぬも本人次第。ならば、アルコール依存症者なんて家族にとって邪魔で迷惑なだけだから、いっそのことたくさん飲んで早く死んでほしい。」と常々感じておられたのでしょう。飲酒問題に振り回されて疲れはてると、そのように考えるのは珍しいことではありません。 

 でも、アルコール依存症は治療が可能な病気です。治療をすれば、回復できます。

 アメリカの古い冗談に、このようなものがあります。

 『 最も不幸せな家庭は、アルコール依存症者のいる家庭である。
   最も幸せな家庭は、回復した依存症者のいる家庭である。 』

 近所の人などに過剰に迷惑をかけないように心を配りながら、愛情を持って見放すのはとても難しく、かなりの忍耐力を必要とすることです。すぐにはできないかもしれません。少しずつできることから始めましょう。

 ・飲酒についての小言を言わない
 ・酒を探し回らない  酒を捨てない
 ・病院に無理やり連れて行かない
 ・暴力の被害にあいそうになったら、その場から逃げ、警察を呼ぶ

ということから、始めてみませんか?

2012/11/14 佐藤(伸)
11月から「アルコール依存症 家族会」を始めました。

毎週水曜日の午後2時から3時まで
場所:奄美病院 家族相談室
料金:無料

担当は 佐藤(伸)です。

毎回の資料は、このブログにのせていきます。
家族会に参加したいけど時間がとれない方々や、家族が酒乱で困っているけど、精神病院は敷居が高くて…という方々。お暇な時に読んでみてください。


<< 第1回(2012/11/7)の資料です >>
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(1)アルコール依存症とはどういう病気? 

 アルコール依存症は、飲酒習慣を自分の力ではコントロールできなくなる病気です。
アルコール依存症を治療するというと、みなさんは、「治療すれば、周りに迷惑をかけない程度に飲めるようになるだろう」「体を壊さない程度に飲む方法を学ぶのではないか」とか「長い期間入院させれば、完全に飲まなくなるだろう」と想像するかもしれません。でも残念ながら、そうではありません。

 いったんアルコール依存症になってしまうと、コントロールして飲める状態には戻りませんし、酒を飲みたいという欲求が完全になくなることもありません。

アルコール依存症による問題には、以下のようなものがあります。

 ① 長年にわたって大量のアルコールを飲むことによって身体が傷つく … 胃、肝臓、膵臓、脳神経など全身の臓器が影響を受けます。また、それまで大量に飲酒し続けてきて突然断酒すると、手が震える、眠れなくなる、イライラするといった症状が現れます。これを離脱症状(禁断症状)といいます。

 ② 飲酒することによる社会的な問題、家庭内の問題 … 二日酔いで仕事を無断で休む、家族に暴力をふるう、物を壊すなど

③ 飲酒問題が明らかであるにもかかわらず、断酒を続けられない


 家族は振りまわされて疲れはてていますが、依存症の本人はなかなか問題を見つめようとしません。自分から進んで病院を受診することはまれです。やっとのことで病院に連れて行ったとしても「俺はアル中じゃない!」とか「治療なんかしなくても俺は大丈夫」などと言って、治療を拒否することがよくあります。そして断酒治療を始めたあとも、何度も再飲酒をくりかえして家族を絶望させることになります。

 アルコール依存症は治りません。飲酒欲求が完全になくなることはありませんし、お酒を適度に飲めるようにもなりません。でも、回復することはできます。

回復するとは、断酒を続けることによって社会的な信頼を取り戻し、家庭の平和を得て、それなりに幸せな生活を送るということです。
 
 体から酒を抜いて健康な状態に戻すことだけが依存症の治療ではありません。体から酒を抜くだけならば、1週間ほど断酒すれば可能ですし、2,3ヶ月くらい規則正しい生活をすれば身体は健康になります。

 むしろ大切なのは、断酒を続ける方法を身につけることです。そして断酒を続けながら、それまでに失ってきた社会的信頼や人間関係を修復していくことです。この過程をお手伝いするのが、私たちのおこなっている依存症の治療です。 

 家族のみなさんが依存症について学び、適切な対応方法を身につけることは、本人を回復に導くための大きな手助けとなります。どうぞ家族会に出続けてください。
(2012/11/7 担当:佐藤伸)
 


おはようございます。


本日は、一人寂しく事務作業に追われています。

このブログをUPしたら<font size="3">10:00~11:00 奄美病院家族会室で「アルコール依存症者家族教室」開催です。

水曜日の本人向けの前にも家族向けプログラム行ってますが、それはそれこれはこれアップ


参加者がいない場合は、一人寂しく戻ってまいりますしょぼん



土曜日バージョンは、何らかのテーマで学ぶ!よりも、本人様を支える中で感じたことなどを吐き出してもらうことに重きをおいていこうと思ってます。

とは言っても吐き出してくださるご家族がいらっしゃるか…(めっちゃ弱気)あせる

待ってますラブラブ!


待ってます(念押し)べーっだ!


では10:00に家族会室で音譜


Teamメンバー 智でしたにひひ