11月から「アルコール依存症 家族会」を始めました。
毎週水曜日の午後2時から3時まで
場所:奄美病院 家族相談室
料金:無料
担当は 佐藤(伸)です。
毎回の資料は、このブログにのせていきます。
家族会に参加したいけど時間がとれない方々や、家族が酒乱で困っているけど、精神病院は敷居が高くて…という方々。お暇な時に読んでみてください。
<< 第1回(2012/11/7)の資料です >>
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(1)アルコール依存症とはどういう病気?
アルコール依存症は、飲酒習慣を自分の力ではコントロールできなくなる病気です。
アルコール依存症を治療するというと、みなさんは、「治療すれば、周りに迷惑をかけない程度に飲めるようになるだろう」「体を壊さない程度に飲む方法を学ぶのではないか」とか「長い期間入院させれば、完全に飲まなくなるだろう」と想像するかもしれません。でも残念ながら、そうではありません。
いったんアルコール依存症になってしまうと、コントロールして飲める状態には戻りませんし、酒を飲みたいという欲求が完全になくなることもありません。
アルコール依存症による問題には、以下のようなものがあります。
① 長年にわたって大量のアルコールを飲むことによって身体が傷つく … 胃、肝臓、膵臓、脳神経など全身の臓器が影響を受けます。また、それまで大量に飲酒し続けてきて突然断酒すると、手が震える、眠れなくなる、イライラするといった症状が現れます。これを離脱症状(禁断症状)といいます。
② 飲酒することによる社会的な問題、家庭内の問題 … 二日酔いで仕事を無断で休む、家族に暴力をふるう、物を壊すなど
③ 飲酒問題が明らかであるにもかかわらず、断酒を続けられない
家族は振りまわされて疲れはてていますが、依存症の本人はなかなか問題を見つめようとしません。自分から進んで病院を受診することはまれです。やっとのことで病院に連れて行ったとしても「俺はアル中じゃない!」とか「治療なんかしなくても俺は大丈夫」などと言って、治療を拒否することがよくあります。そして断酒治療を始めたあとも、何度も再飲酒をくりかえして家族を絶望させることになります。
アルコール依存症は治りません。飲酒欲求が完全になくなることはありませんし、お酒を適度に飲めるようにもなりません。でも、回復することはできます。
回復するとは、断酒を続けることによって社会的な信頼を取り戻し、家庭の平和を得て、それなりに幸せな生活を送るということです。
体から酒を抜いて健康な状態に戻すことだけが依存症の治療ではありません。体から酒を抜くだけならば、1週間ほど断酒すれば可能ですし、2,3ヶ月くらい規則正しい生活をすれば身体は健康になります。
むしろ大切なのは、断酒を続ける方法を身につけることです。そして断酒を続けながら、それまでに失ってきた社会的信頼や人間関係を修復していくことです。この過程をお手伝いするのが、私たちのおこなっている依存症の治療です。
家族のみなさんが依存症について学び、適切な対応方法を身につけることは、本人を回復に導くための大きな手助けとなります。どうぞ家族会に出続けてください。
(2012/11/7 担当:佐藤伸)