ヒルマの点滴の最中、突然おじいさんが怒鳴り出しました。
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ヒルマはトップハム・ハット卿が怒るから…という理由で、アニメの「トーマス」が見られないほど怒っている声や人が苦手なので、（ものすごく心臓が「どっきんこ」するらしいのです）わたしは慌てて平静を装いました（固まったとも言えます。笑）
すると続けておばあさんの声がしました。
おじいさんに負けず怒鳴る、
怒鳴る（笑）
白熱した怒鳴り合いがはじまりそう─と思ったら、
おじいさん、弱ッ!!! （笑）
これが認知症なのでしょうか。
おじいさんはその後も検温や投薬にくる看護師さんに、ツバを吐くかのような勢いで怒鳴りつけては、おばあさんに叱られていました。
そしてここは病院で、病気を治してもらいに来たことをおばあさんから知らされると、消えそうな声でまた「……あぁ、そうか」とつぶやくのです。
わたしにはどちらが本当のおじいさんなのかよくわかりませんでした。
ただ、おじいさんをつなぎとめているのは点滴でも本人の気力でもなくて、おばあさんの大声なのだなあと、
ヒルマの3本目の点滴が落ちるのを眺めながら、それだけはわかったような気がしたのです。
